三銃士との決着
族の村に来て、龍神から神器をもらうために配下の三銃士と決闘中。
2試合が終わって1勝1敗。
これで勝敗が決まる最終戦がいよいよ始まろうとしていた。
「それじゃ始めるぞ。我が声をかけるまでは動くなよ」
『我、龍神ドーベンの名の下に願う。一粒の幸福がこの地に降らんことを。』
空が暗くなり雲ってきた。
『降り注げ、ラッキーストーン』
龍神が魔法を唱え終わると、空から流星群が目の前の大自然をぶち壊していく。
数分後、流星群が降り終わると龍神ドーベンが開始の合図を出す。
「今降った物の中から、幸福の石を持ってこい。ただその石はあるかもしれないし、ないかもしれない。もしかするとたくさんあるかもしれない。なんにせよ、先に持ってきた方を勝ちとする。では、始め!」
龍神の合図が出ると、たごりは走って石を探し始めた。
おれは装備を整える。そうは言っても今回の防具はひとまずスカウターのみ。幸福の石を探す能力を付与して。
たごりのメガネは対象のステータスが見れると言うもの。つまり対象物が見えなければ意味がない。
おれはこのスカウターを使って石を探す。
ピピピッ
音と共にスカウターに光る点が現れ距離が表示されていた。
たごりが向かった方向の20km先にあるようだ。
おれは慌ててシュバルを召喚して、防具にライダースーツとヘルメットを追加した。
焦っていたおれは、ついアクセルを回しすぎてしまった。
あっという間にたごりを抜かし、スカウターの示す場所に到着した。
いくつかあるクレーターの1つに対象の物があった。
見た目は他の石と変わらない。だが神器で作ったスカウターが言うのだからこれだろう。
たごりが追ってくる前に本に収めて戻ろうとした時だった。
「つかさく~ん、今の置いていってよ。」
緑の鱗に尻尾を生やしたメガネの女性がおれを呼び止めると、その女性はみるみる大きくなって、4本足の立派なドラゴンに変貌した。
龍の姿になってもメガネはかけているなんて、異世界だな。
龍相手に勝てるとは思ってないが、今回は倒す必要がない。
この場を逃げ切り、龍神に石が渡せれば勝ちだ。
(シュバル、おれが合図したら龍神の所まで全速力で頼む。)
(モー。任せてくださいや!)
シュバルと念話を終え、姿勢を低くした。
たごりはこちらが仕掛けるのを待っているみたいなので、遠慮なくいかせてもらう。
ヘアピンでクテクのスキルをレンタル。対象を止めておくことができる、とさっき知った。
おれはシュバルを軽く叩き、合図を送った。
バイクモードのシュバルはすぐに、龍神のもとへ向かった。
おれは走行中に本を展開、龍神の前へ着くとすぐに石を取り出し、カード化を解いた。
「どうだ?」
おれは後ろから追ってきている龍にビビりながら、龍神ドーベンに石を渡す。
龍神が石を受け取り、軽く握ると石は激しく光った。
おれは眩しさのあまり、思わず目をつむる。目を開けると龍神の手には首飾りが握られていた。
「悔しいがおまえの勝ちを認めるしかないの。」
龍神ドーベンから首飾りを受け取って、おれ達の勝ちが認められた。
本を展開していたので、受け取ると同時に首飾りはカード化された。
龍の首飾り(神器) 【L】
龍の加護により弱者を寄せ付けない。
おれより弱者がおるかは怪しいが、あると便利そうだ。
思い出すように他の神器もカード化してみた。
リクドウ(神器) 【L】
六道に則り6つの形状を有し、それぞれに固有のスキルがある。
裸にパンツ(神器) 【L】
衣装を任意の姿に変えることができ、注ぐ魔力に応じて性能を追加することができる。ただし、他者からは裸に見える。
ヘアピン(神器) 【L】
強い絆を持つ者同士で、一時的にスキルの共有ができる。
おれは一通り確認して、全ての神器を再び装備した。
「物がカードになったり、カードが物になったり、どうなってんだ?」
たぎつが興味津々に聞いてきたので、指輪の説明をしてあげた。
「そちらは神器ではないのですか?」
いちきに聞かれたが、これは神器ではない。
アイラからもらった物だからな。
簡単に説明が終わったので、待っているであろうアモーラの所へ戻ってあげよう。
「おまえ、そんなに神器集めてどうしたいんだ?争いに参加するわけでもないようだし」
どうしたい、と言われてもなぁ。
「いまはただのコレクション。あつめはじめたら そろえたいだけ、かな」
難しいことは考えずそのまま答える。
「今回の争いはかなりギリギリの戦いっぽいし、手伝ってあげればいいのに」
どこかで争い中のような言い方だったので、少し聞いてみると龍族達に驚かれた。
「知らねぇのか!?今は年に一度の争いが魔属領で行われているんだぞ?今回の人族は獣人や転移者が活躍しているらしく、魔族も余裕がないみたいだぞ」
たぎつの説明で思い出す。
そういえば人族に行く前に魔神が言っていた気がする。
しかも劣性なら急いで加勢に向かいたいけど、おれに何かできるだろうか。
「行ってこい。また来ればいいんじゃけん」
龍神に見送られて、おれは湖のアモーラ達が休んでいる所に戻ってきた。
就寝中のアモーラはバインフーとモンシューとラパンに任せて、おれはシュバルとシャティロンへ急いだ。




