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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
争い
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来ちゃったよ、龍族の村

ギリギリセーフで間に合いました。

登竜門を抜けると陸に上がった。そこは豊かな自然が広がっており、ドラゴンが空を飛んでいる。


「なんじゃ、珍しいのう。客なら案内するんじゃけど」


パイプを吸いながら女性が声をかけてきた。

鱗に尻尾、角も生やして威厳のあるこの女性。何者かは分からないが、戦うことは避けたい。


「りゅうのむらで りゅうじんさまに あえるってきいたんですけど…」


腰を低くして丁寧に聞いてみた。

本当は引き返したいぐらいの威圧感を放っている。


「我が龍神、ドーベンじゃけど用事は…まさか神器じゃないじゃろうのう」


おれの装備を見て、不満そうに言った。

その後、おれの首に巻き付いているクテクと、足元で転がっている小さな龍を見て続けた。


「いくつか聞きたいことがあるんじゃが、まずどうやってきた」


「なかまのさかなと、ひかるもんをとおってきた。」


やはり不服そうだったが、嘘をついている訳ではない。強いて言えば魚が龍になったっぽいってだけで。

龍神ドーベンはため息をついて、少しめんどくさそうに話し始めた。


「魔族領の北にタンプルと呼ばれる湖があってな、そこには魚がおるんじゃけどオスしか存在しとらんのんよ。そこの魚がトゥフっちゅう滝を登って登竜門を通ることで、このイヴトに着くわけなんよ。なんじゃけどな、イヴトに着いた時にはメスの龍になっとるはずなんよ」


そこで足元の龍を指して話を続けた。


「そこの龍、オスのまんまじゃないか。それに白い龍なんて見たことも聞いたこともない。蛇もな」


そんなことを言われても、おれには分かりませんよ。おれの召喚獣はみんな白くて、赤い目をしているけど、理由は考えたこともない。


「そこは千歩譲ったとして、おまえもおまえじゃ。不釣り合いにいくつもの神器を持ち歩いて、まるで豚に真珠じゃん。猫に小判じゃん。おまえに神器じゃ!」


なんかすごいバカにされてる。

心なしか少しずつ人格が変わってきている気がして、威厳もなくなってきた。

でもたしかに、やけに神器が簡単に集まるとは思っていたし、ここにも来たらもらえる物だと思ってたけど今回はダメな感じか?


「神器が欲しいっちゅうんなら、勝負じゃ!」


ビシッと決めてきた龍神ドーベン。

全く乗り気ではないおれ。

それなおれを無視してドーベンは3人の龍人を呼んだ。


「こやつらは我の部下の三銃士じゃけん、小童なぞ捻り潰してやるけんの」


龍神ドーベンが喋った後に、3人の龍神が自己紹介をしてくれた。


「私は三銃士の1人、いちきと申します。以後お見知りおきを。」


「うちはたぎつ!よろしくぅ!!」


「たごりだよ。よろしくね、つかさくん」


まだ名乗ってないはずなのに、名前を呼ばれたので自然と警戒体勢になった。


「そんなに力まないでよ。このメガネは神器で、対象のステータスを見ることができるんだ。人族なのにとんでもない魔力量なのもね」


さらに警戒を強めた。

正直おれの戦闘能力は高くないが、ステータスを見られるのはまずい気がする。


「そんじゃあ勝負を始めるぞ!対決の内容は、今から我が作り出す石を取ってくるだけじゃ」


シンプルでよくあるやつだな。

定番なのは偽物が用意されているパターンだから、本物をしっかり目に焼き付けておく必要がある。


「3本勝負!三銃士に見事勝てたら神器をやるけんの。まずはオスの龍の力を見せてもらおうかの」


クタクタのビテスが指名された。

正直心配だが、おれは信じる。

ここに来れているのは、ビテスの努力のおかげである。この勝負もいい成績が出せるはずだ。


「じゃあうちが行くよ!絶対負けないからね!」


黄色い鱗のたぎつが名乗りを上げた。

全体的にサイズ感の問題で不利だが、負けた時の言い訳にはしたくない。

全力で望ませてもらう。


「石が動いたら開始じゃけんの。よーく見とけよ。ほいじゃあ、行くぞ」


そう言うと龍神ドーベンは魔法を唱え始めた。


『アクセルゲート展開、トリプルアクセル。ロックバレット』


魔法を唱え始めると、宙に3つの魔方陣が浮かび上がり、側には拳程の岩が浮いている。


龍神ドーベンが右手を下ろすと、岩は3つの魔方陣を通過するように飛んでいった。


バーーーン!!


その直後、何かに当たったような大きな音がした。

魔方陣の前でたぎつが腕を横に上げている。


「うちの勝ち~!」


たぎつは岩を見せて、ピースしている。

いや、それは勝てなくね?

初見殺しにも限度があるでしょ。


「第1回戦は三銃士の勝ちじゃの。次いくぞ。ヘビ」


こちらの意見を聞く隙を与えないまま、次の対戦に進められた。

また指名。


「クテク、がんばれ」


おれは両手でガッツポーズしながら、クテクにエールを送った。

クテクは胸を張って、得意気な顔でそれに応えた。


「私が行きます。これで勝負は終わらせます」


赤い鱗のいちきが出てきた。

確かにここで負けてしまうと終わってしまう。

だがクテクにも策があるようで、自信満々な様子は変わらない。


「じゃあ次いくぞ。今度は石が飛んでいったら開始じゃけんの。」


『ロックバレット、マシンガン』


ドーベンが魔法を唱えると、今度はドーベンの頭上に先程と同等の大きさの岩が複数個、円を描くように回っている。

そんな中、クテクといちきは岩を見ることなく睨み合っている。

今回もドーベンの右手が振り下ろされた時、複数の岩が順番に正面に飛んでいった。


岩が飛んでいったのに、クテクもいちきも動く様子がない。

周りが不思議そうに見ていると、おれのヘアピンが光って、ねずみのスーリと牛のアステリオが出てきた。


クテクと念話でやり取りしたようで、少しすると岩が飛んでいった方向に2匹は走っていった。


しばらくすると、アステリオに乗ったスーリが帰ってきた。

手には拳ぐらいの大きさをした岩を持っている。


「確かに我の魔力が込められた石で間違いないの。この戦いは人の勝ちじゃ」


「よっしゃー!」


おれは素直に喜んだ。

ヘアピンの効果でおれのスキルをクテクが使って、スーリとアステリオに助けてもらったわけだ。

だが、疑問もある。


「なんでうごかなかったの?」


結局、龍人のいちきはずっとクテクと睨み合ったまま、スーリ達が戻るまで動くことはなかった。


「動かなかったのではなく、動けなかったのです。蛇のスキルによって。悔しいですが、私の負けです。」


クテクにそんなスキルがあるなんて知らなかった。

でも振り返ると思い当たる節はいくつかある。

魔物やシャチ人が動かなかったのはクテクのスキルによるものだったらしい。


「これで最後じゃ。次は我が合図を出すまでは動くなよ」


次が最終対決となる。

勝てば神器がもらえるので、必ず勝ちたい。

なんで神器をこんなに集めているかは自分でも理解していないけど、レア度の高い武器を集めたい。それは変な話ではないでしょう。


最後はおれのステータスを見てきたたごり。

何してくるか分からない上に、こっちの情報を見てくる厄介な相手。

作戦はガンガンいこうぜ、の1択で。

おれは気合いを入れて最終戦に意気込んだ。

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