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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
人族の領に立ち入ってみた
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ケルンの街

コリゼを出たおれはパトラと合流した。


「ご苦労だったな。つかさに全賭けした分がとんでもない金額になって返ってきたぞ」


パトラ曰く、やはり1%はパトラだったようで、昨日の売り上げ全部を注ぎ込んだみたい。

ざっくり60倍になったらしく、一緒に受け取りに行って本に収納しておいた。

なによりも安心、安全なこの本に。


大金を手にしたおれ達は、居住区とは反対方向の3番区画に来た。

ミルクを飲みながら、目的のステージを待っている。


「つかさ、明日には一旦帰るぞ。」


神器もらえたし、大金手に入ったし、目的達成ということだろうか。

特に残る理由もないので、「わかった」と返事をしておく。


パトラと話していると時間がきた。


「さぁ、皆さんお待たせしました。本日のショーを始めます!」


そうやって始まった、3番区画のショー。ショーというより音楽ライブなんだが。

男達のメンバーがバンド演奏したり、アイドルみたいに歌って踊ったりして、盛り上がる楽しいショーだった。


それが終わると、余韻に浸りながら1番区画に移動する。ここでは屋台がたくさん並んでいた。午前中に試合をした男子校生達や、小太り区画長と遭遇して少し話ながら食事を楽しんだ。


(ぼたん鍋おいしかったな)



暗くなってきてお腹も満たされたパトラとおれは、2番区画に来た。大きなテントが設営されており、その中でショーが行われるらしい。

ここで最後の区画。明日帰るならと、各区画を一通り見ておきたかった。

今からここでは、サーカスの様な曲芸で楽しませてくれるようだ。


「皆様、本日はお集まり頂きありがとうございます。我らシザースのショーをお楽しみください。」


アゴの大きな男が話し始めると、観客がざわついたが、ショーが始まると、みなそちらを楽しんでいた。

異世界に来て始めて目にしたものがそこにはいた。

獣人や、エルフ、人の指示に従う動物達。

魔族領で見たことなかったし、この街でもここに来るまで見かけることはなかった。

観客達は驚いている様子はないから、不思議な光景ではないはずなのに、お揃いのネックレスを着けているのが少し違和感に感じた。


演目は無事終わり、宿に戻った。

ビテスを召喚したままだったから、還してお風呂を溜めたかったのに、ビテスの送還は失敗してしまった。

仕方がないのでシャワーだけ済ませた。


「つかさ、早かったな。ビテスと浸からなかったのか?」


シャワーから出てパトラに言われた。

いくら自分の召喚獣とは言え、魚と入るのは抵抗があるし、朝の水なんて冷たくて入ってられんだろ。

なんて思いながら、


「シャワーだけにした」


「刀を持って浸かってこい」


食いぎみにパトラに言われた。

魚と刀と冷水入浴??

意味が分からん。

確かにおれの刀は、刃こぼれせず錆びることもない。

でもそういうことじゃないでしょ。


「いやだよ。」


さすがに断った。

もうシャワー浴びたし、わざわざ戻って浸かりたい訳でもないし。

だからおれは部屋に戻ろうとした。


そしたら、パトラがおれとリクドウを(ビテス)が待つ風呂に投げ込んだ。

焦り、出ようとするが…なんということでしょう。

温かいじゃありませんか。

ビテスも気持ち良さそうに泳いでいる。


魚だからって抵抗あったけど、同じ召喚獣なんだから同じように扱ってやらないとビテスに悪かったな。


「ビテス、ごめんな」


おれはビテスを撫でた。朝会って以来ずっと放置していて、さらに風呂で同じ空間にいても気にかけてやれないなんて… こいつらの主人としての自覚をもっと持って、みんなで楽しく暮らすのがこの世界での目標であることを再確認した。



ふと、刀を思い出す。

手に持って濡れないようにはしてるけど、なんでパトラは一緒に入れたのか疑問に思う。

考えていると、プチにボコられた時に刀じゃなくなったことを思い出した。


「リクドウはなんでかたなじゃなくなったんだ」


無意識に言葉として発していた。

するとそれに答えるかのように頭に声が聞こえて、辺りは何もない真っ白な空間になっていた。

そこには1人の青年が空中であぐらをかいており、腰には棒が2本、背中には黒い球体が何個か浮いている。


「少しだけ答えてやるよ。まず1つ。おれの形態は全部合わせて6個。普通の刀、1度見たことあるのは 畜生の斧。他にも刀2本、鎌、棍棒、霊剣がある。発動条件はもう分かるだろ。次に2つ目。各武器にはスキルがある。普通の刀なら飛ぶ斬撃みたいなことだが、名前は好きにつけていいぞ。今教えれるのはこれぐらいだな。」


リクドウは背中の黒い球を集めて黒板にして、イラスト付きで授業をしてくれた。まずこの青年はリクドウである前提だけど大丈夫だよね。


「つかさ、日々の努力を怠るなよ。それと、たまには顔出しに来いよ。またな」


挨拶が済むと風呂場に戻った。

おれはすぐに部屋に戻って刀の素振りをした。ケルンに来てから素振りをしてなかったから。

50回を終えると再びシャワーで汗を流し、召喚獣達に囲まれて眠りについた。

ただ、モンシューとサージュは召喚に応じず、ビテスは浴槽に残っていた。ラパンもパトラといるため、実質シュバルとバインフーだけだった。



翌朝。出発の時が来た。

その前に、機能のコリゼの勝利記念で新しい召喚獣が契約できるらしい。


イェーーイ


はい。契約にしましょう。


今回も3体契約していいらしい。おれ達は動けない(ビテス)に合わせて風呂場に集まった。

ちゃんとサージュ達もパトラも集合しているので、始めましょう!


「いくよ! サモン、ねずみ、うし、へび。まとめてカモーーン」


悩んだって結局みんな契約するわけで、早く契約できるように頑張れば順番に契約してしまおうという作戦です。


みんな白い体に赤眼。理由は未だに不明だけどみんなかわいい。この蛇はもはや祀られるやつですわ。


「なまえはね、ねずみのスーリ、うしのアステリオ、へびのクテク。みんなよろしくね!」


仲間が増えるのはうれしいことだね!

進化も楽しみだけど、今はみんなで朝食を楽しんで一旦送還した。


送還できないビテスを背負って、ラパンとパトラと小太り区画長の所へ挨拶しに行った。

小太り区画長は名残惜しそうにしていたが、また来ることを約束して別れた。

また来れたらいいと思ってはいる。


街の門にはあいつがいた。


「つかさ、どっか行くのか?」


スーツ男には世話になった。

入ってきた時から、ショーの時、コリゼの司会。ここにいてくれて良かった。


「おせわになりました。ありがとう」


「なんだそういうことか。またいつか来いよ。」


ここでも再来の約束をして別れた。

たったの2泊3日旅だったけど、収穫はたくさんあった。

魔族領に帰ったらやりたいことあるし、早く帰ろう。

お礼と別れの挨拶を済ませてセイロンの祠へおれ達は向かった。

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