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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
人族の領に立ち入ってみた
17/71

闘技場、コリゼ

なんとか間に合いました。

気持ちよく寝ているおれの頬にペチペチと何かが当たる。


「ほかにもおこしかたあるだろう…」


それを振り払って目が覚めたら、目を疑った。

ベッドの上で魚がピチピチ跳ねているのだ。

おれの人生初の寝起きドッキリはかなり悪質な物だった。


ベッドから降りてその魚をよく観察すると、あることに気づく。

白い鱗に赤い目。はい、うちの子です。

体が白くて赤い目はうちの子達しか見たことないわ。


「つかさ様、辰の卵が孵化しました。名前を決めてあげてください。」


ですよね。

四神獣のセイロンが言っていたのは、この事だったようだ。

正直この魚は何が出来て、どんな龍になるのか皆目検討もつかない。


「なまえは、ビテス。よろしくな」


魚改め、ビテスは相変わらずピチピチ跳ねている。名前とかより水がいるのではないか?

ひとまず、お風呂に水を張ってそこにぶちこんでやった。

ゆったり泳いでいるのをしばらく見守って、パトラと用意してあった朝食を食べた。

その後はパトラと例の闘技場コリゼに向かったのだが…


「はめられた。」


観客席に行くつもりが、パトラとはぐれて参加者受け付けをしてしまった。

しかもパトラはちゃんとラパンと観客席に座っている。


「まもなく会場に移動します」


待合室にいる案内人に言われ移動を開始する。

おれのほかにも何人かいるんだけど…子どもはいませんね。


(場違いなのは自分が一番理解しておりますとも。)


闘技場の舞台に着いたけど、広い。

観客席もラパンと一緒だからパトラの位置が分かるけど、すごい人数で視認は難しい。


円形舞台の隅、4ヶ所にグループごとに分かれて気づいた。

おれだけぼっち。他はみんな4人で1グループになっていた。


「さあ、いよいよ始まります!まずは今回の参加者のご紹介です!!」


観客席の一部から司会が盛大に喋り始めた。見覚えのあるスーツ男。意外と忙しいやつみたい。


「まずは、我らがケルン最強の傭兵パーティー pork teen!」


「「ウォーーーー!」」


傭兵グループが武器を上げて大きく叫んだ。観客もすごく沸いている。

舞台上の1グループは女性で、鼻で笑っており、もう1グループの若い男達は楽しそうに笑っている。

舞台には大きなモニターがあり、そこには確かにpork teenと書いてあったが、アナウンスはポコ◯ンにしか聞こえなかったんだよな。


「続いて無所属女勇者パーティー rose!!」


パーティーメンバーは観客に一礼したり、手を振ったりしている。

これはこれで観客から盛大な拍手や声援が聞こえる。


「そしてこちらは転移者のパーティー 男子校Aチーム!」


「「ウェーーイ!」」


紹介を受けたパーティーは野太い声で叫んだ。観客席からも似たような声が聞こえる。異世界ものであるクラスみんな転移の男子校版かな?すごく楽しんでるっぽい。


「最後に歴代最年少参加、しかも4人編成のところを1人で飛び込み参加。つかさー!!」


シーーーン…


まあそうなるよね。

パトラしか観客席に知ってる人はいないだろうし。一応、一礼だけしておく。


「はい!では本日の人気投票です!!」


Pork teen    45%

Rose       40%

男子校Aチーム  14%

つかさ      1%


モニターに映し出された。

まあ妥当でしょうな。おれの1%はパトラということにしておこう。


「さすがは、pork teen!やはり人気は安定です。今回の優勝商品は人神様からの神器プレゼント!!  それでは始めましょう。ルールは殺さなければなんでも有り。場外はありません。最後に立っているチームが勝利です! では、スターーート!!!」


ドラが鳴って開始となった。

なんだけど、3チームともこっちを見ている。

とりあえず衣装を変えておこうか。裸に慣れてしまっていたな。


今回はしっかりめに対策をしておこう。見た目は鎧。もちろん超軽量。魔力どっぷり使って魔法耐性、物理耐性、自己修復、自動回避、状態異常無効。ここしか魔力の使い道無いし、てんこ盛りにしてやったぜ。

そして武器を構えれば準備万端。


3チームは表情変えずにこちらを見ている。

そしてまずはチーム男子校の1人が口を開いた。


「服着てないと風邪引くぞ。早くパパとママのとこに帰りな。」


パパしかいねぇし、服はごっつ鎧着てますけど。

このカッコいい鎧が目に入らぬかってな。


「子どもに武器を向けたくないから、引いてくれないかな」


Roseのリーダーっぽい人も言ってきた。

だからおれは言い返してやる。


「たしかに、ここにきたのは じこ。でもね、もうおれはまけたくないの。だからみんなに かつ! リーヴァ」


3チームが同時に来たらさすがに対応しきれんかな。おれは刀と本を構えた。

最初に仕掛けてきたのはpork teenだった。


「キーボ、スペルマ合わせろ。トノス、バフを頼む。」


リーダー格が指揮をとりながら切りかかってきた。

前衛の大剣、大盾、後衛職が2人のパーティー。

おれは鎧の備え付け機能により自動的に回避行動をとったが、さっきまで居た場所は舞台が粉々になっている。

今度は後衛職から魔法が飛んできた。

雷の攻撃が弓矢のように飛んでくるが、それもなんなく回避。


(あれはもらえたな)


悠長なことを考えていた時だった。

壁に当たって吹き飛んだ。

正しくは大盾が着地地点に回り込んでいて、吹き飛ばされた訳なんだが…

まあ、ダメージはないかな。


飛ばされた所はチーム男子校の足元。

顔を上げたときには半透明な壁に囲まれていた。


「結界を用意せてもらったよ」


男子校の1人がそう言うと、他の3人と舞台を降りて壁まで下がった。

刀で結界を攻撃してみても、壊れる様子は無い。


「その結界はどんな攻撃も通さない」


別のやつがそう言った。


「3人で展開した物だからね」


また別のやつが言った。


「そしてこれで終わりだよ」


最後の1人が両手のひらをこちらに向けて言った。

すると、おれとチーム男子校の間に透明な壁が多数現れた。


「「スポットライトデス」」


な~んてことだ。ダッサい名前。さすが高校生。

ただ光の合成魔法かな。

太い光がおれに近づくにつれて細くなり、おれの体に届く頃には僅か1cm程度で的確に胸部を貫いている。


予定だったみたい。


「なにが起きた。焦点距離の計算を間違えたか?」


「どこかで霧散してしまったのか?」


「魔力の出力が足りなかったのか?」


「分からない、いったい何がおきた?」


光が消えて男子校生達が驚いているのが、遠目でもよく分かる。

仕方ない説明してやろう。

まずは大きな声で呼び掛けて、内側から結界をノックしてあげた。


「このけっかい、あなたたちの こうげきも とおさないそうですよ~」


よかった。聞こえたみたいだ。

チーム男子校は膝から崩れ落ちた。


「おーーーっと!!これは男子校Aチーム戦意喪失により、戦闘続行不可能!残り3チームです!!」


男子校のメンバーは戦闘不能となったため、舞台から姿を消した。


すると結界が解けると同時に上から、なにか降ってきた。

鎧の機能によって回避、着地地点にいる大盾の足元に斬撃を飛ばして一瞬怯ます。その隙に着地と次の回避。だがまた回り込まれており、大剣のなぎ払いを刀で受け止め吹き飛ばされる。


ここのチーム名前はふざけてるのに、連携がすごすぎる。回避まで予想されて的確に攻撃を当ててくる。


「おい、Rose!見てないで手伝え!この子ども何かがおかしいぞ」


「なに?魔族って言いたいわけ?」


「姉さん、確かにあの動きと見た目の年齢は違和感があると思う」


えぇーー??

確かに装備に魔力込めすぎたけど、おれまだ何もしてないよ。


 人数8対1   人気投票85%対1%


これはまずいな。やられる前にやるか。

おれは本から何枚かカードを出すと、2チームは様子を伺っている。

今のうちにカードを組み立てる。トランプピラミッドの要領で、カードを内側に向かい合わせて組んでいく。


観客はざわざわしており、舞台上では人の子か、魔族か相談しているっぽかった。


ピラミッドの構成はこうだ。


一番上の段   水の球2枚

一番上の底辺 上向きに水の球

2段目    雷、風の球2枚ずつ

底辺 上向きに サイクロン2枚

一番下の段 水、風、火の球を2枚ずつ


一番下の段は両外に風、内側は火と水を向かい合わせてピラミッドは完成した。

おれはその場で立ち上がり、トランプピラミッドから離れて静かにガッツポーズをすると、観客からは大きな歓声があがった。


「つかさはこの緊張感の中、カードを積みあげたーー!子供の遊びか、はたまた道化師か。いったい何がしたかったのか」


おれは大歓声の中、壁まで下がって座り込み、足元に3枚のカードを置く。

そこで一言。


「リベレ」


足元からおれを囲うように土壁が発生。壁の向こうでは大嵐になっているはず。


しばらくして土壁をカードに戻すと、3人に囲まれていた。


「やっぱりとんでもねぇやつだな」


「…」


「やってくれたわね」


大剣、大盾、女勇者が武器を構えて立っている。


「すんません!」


おれはすぐに謝って逃げるが、すぐに追いかけてくる。


「シュバルサモン」


シュバルに乗って逃げながら辺りを見回すと、どうやらさっきの嵐は成功したようで3人以外は残っていなかった。


「サモン、バインフー、モンシュー」


逃げ終わり、攻撃に転ずる。

バインフー 対 女勇者

モンシュー 対 大盾

おれ    対 大剣


シュバルは状況に合わせる感じで、それぞれが担当に着いた。

最初はモンシューが仕掛けた。

ゆっくり大盾に近づき、一突き。

大盾が大破し、戦闘不能。

女勇者と大剣は驚愕しながら召喚獣達に視線を向けた。


「おーーーっと!!残りはつかさと、女勇者アニサ、それに傭兵チームリーダーのカウパーだけになった。しかもつかさには従魔がいるようだ。一体誰がこの状況を予測できただろうか!」


実質ずっとおれ 対 おれ以外 で闘ってるんだよな。

傭兵のリーダーカウパーがおれに切りかかってくるのを、刀で流したり、鎧の機能で回避してやり過ごす。

正直、召喚獣達の方は気にしてあげれる余裕はないが、このまま逃げていても勝てるわけではない。

おれは武器を構えて思う。


(負けてばっかで人切ったことないわ)


相手が強すぎて、まともに傷つけたことないことを思い出した。

せっかくここまで来たんだ。

やっと勝てるかもしれない。

そんな気持ちがおれに1歩踏み込ませた。


カウパーが大剣を振り下ろす。それを避けると前蹴り。蹴りを避ける時に刀を切り上げた。おれの切り上げはちゃんと届いて、カウパーは退場した。

残すは女勇者。


「なんで調教スキルが効かないのよ…」


どうやらたった今終わったようだ。


「決まったーーー!!!今回の優勝はつかさだー!人神様より神器の進呈です。」


すると、1人の子どもが上からゆっくり降ってきた。

おれは驚いている。


「マーノア…?」


「ぼくはゴルフ。マーノアとは双子だよ。君神器持ちすぎだよ。普通持てても1人1個だよ。優勝したからしょうがないけど、あんまり人に言わないことだよ。特にその刀。もっと話をして仲良くなれば強くなれるけど、人族に迷惑かけないでよ。」


人神、ゴルフが話終えるとおれの頭の上が光った。頭を触ると何かがある。

恐る恐る取ってみると、それはヘアピンだった。

おれは男だっつーの!


「かわいいでしょ。大切にしてよ。それは君の召喚獣達とスキルや技の1つを一時的に共有するアイテムだよ。うまく活用してよ。それじゃバイバイなんだよ」


人神はそのまま消えていった。

これにて終幕でいいのかな?

おれも待合室に戻る。

そこには今日の対戦相手達がいたので少しだけ会話を楽しんでから外に出た。

もちろん楽しく、仲良くお話をしましたよ。

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