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異世界と12の召喚獣  作者: ドンサン
人族の領に立ち入ってみた
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いざ、人族領!

第2章突入です!

まだまだお付き合いください!

「魔王が何しにきた」

 

大きな青い龍がおれ達の前に立ちはだかる。


「観光」


パトラが答える。

そこから龍とパトラの質疑応答が少し続いた。その後龍は、おれに質問してきた。


「我が名はセイロン。おまえは人族だから、この先に進むことは許そう。だがその前に、背中の卵について説明してもらおう」


説明と言われましても大した話ではないが、隠す理由もないのでありのままに伝える。


「おれのスキルでりゅうをしょうかんしたつもりが、でてきたらタマゴだった。ほんとにりゅうのタマゴかもわからない。」


おれはこのタマゴが、辰になるのか半信半疑なこともしれっと含ませて話した。


「安心しろ。それは紛うことなき龍種のタマゴである。だがしかし、龍種は成長して初めてドラゴンとなる。諦めない気持ちの強さがおまえ達を強くするだろう」


辰枠だけど、最初からドラゴンが誕生するわけではないと。

一緒に強くなっていく、か。召喚獣に甘えず自分も鍛えないといけないな。


「そこの祠が外と繋がっている。立ち入りは許すが、パトラは固有スキル以外の魔法を使用不可、ステータスも弱体化させてもらう。何事もなく帰ってきてくれることを願っているぞ。」


こうしておれ達はいよいよ人族の大陸へとお邪魔させていただけることになった。



祠から出るとすぐ目の前が街になっていた。要塞のように立派な壁に囲われ、中の街の雰囲気は全く伝わってこない。


とりあえずパトラと門に向かって歩いた。その道中おれはパトラの変化に気づいた。


「パトラ、つのは?」


「引っ込めた」


収納式!?

角って出し入れできる物なの?

服装も魔王から庶民になっているし。


「そんなことよりラパンを召喚しろ」


言われるがままラパンを召喚すると、鷲掴みにして肩に乗せた。

ラパンはパトラの顔面にパンチをした。大分馴れたようで仲良くじゃれ合っている。


砦の門に着くと小さな鈴が置いてあったので鳴らすと、スーツを着た細身の男が出てきた。


「こっちから入るやつは珍しいなぁ。ここに来るのは初めてか?」


おれとパトラを交互に、頭からつま先まで何度も見ながら言った。

おれたちは無言のまま首を縦に振った。

すると今度は饒舌に話し始めた。


「ここはエンターテイメントの街ケルン。五大国の中でもここほど楽しめる所はないね。街の四つ角それぞれがスポットになっていて、歌踊りや曲芸、グルメバトル等魅せ方は自由。外せないのは中心に見える大きなコリゼ!円形闘技場で明日も激しいバトルが行われる予定でな。当日参加もできるから参加するも良し、客席から観覧しながら優勝者を予想するのも良し。だが賭け事はほどほどにな!宿屋はたくさんあるから今日はゆっくり休みな」


言いたいことを喋りまくったスーツ男はおれ達を砦の中に入れてくれた。

まずは宿屋と行きたいところだが、その前に聞いておくことがある。


「やどや、ごはんにおかねいる?」


「ハハハハハ!そんなことは自分の親父に教えてもらいな」


スーツ男は笑いながらで答えた。

パトラは軽く会釈をしておれの手を引っ張りながら街へ入った。


「おかねあるの?」


少し歩いてからパトラに聞いてみた。


「ない」


「ですよね~」


分かりきった返事だったが、どうしようか。

さっきのスーツ男の感じだと、お金いるし、トモンとマモンも行ってたもんな。

宿はあるのにお金がない。

飲食店があるのにお金がない。

とりあえず何とかして資金を産み出さなければならない。


「へい、ラパン。おかねのつくりかた。」


パトラの肩に乗ったラパンに聞いてみた。

ラパンはおれを見下したまま、ため息をついて、ダルそうに答えた。


「サージュに相談してみたらいいんじゃないですか?」


スッと答えてくれたらいいのに。

でもなんで申のサージュなんだろう。

とりあえず少し路地に入って召喚してみる。


「サージュ。おかねがなくてこまってるんだけど、なにかほうほうないかな?」


まだ心を開いてくれていないのか、怯えている。

サージュは腰に提げてた巾着をおれに渡してくれた。

中を見てみると、見慣れた白い粉が入っている。


「これは、しおか! できたんだな」


おれはサージュを抱きしめすごく誉めた。

お金云々より、塩の完成はおれの中ですごく喜ばしいことだった。


「このしおで、なにかできないかな」


日が暮れ始めた。少し考えながら通りを歩いていると掲示板の張り紙が目に入った。


『今夜、4番区画のステージ利用者募集中』


エンターテイメントの街でステージが空いている。

おれに芸の才能は無いけど、お金もない。

とりあえずはまだ使えるか聞きに行こう。内容はその後。

どこが4番か分からないおれ達はさっきのスーツ男の所に向かった。


「4番はここを右に真っ直ぐ行けばいいぞ。そういえば今晩空いてたな。何かやるなら見に行くぞ。楽しませてくれよ~」


言われた方に急いで向かった。

すぐに大きな4という数字が見えた。

近くまでくると広場の端で小太りの男が下を向いて座っている。

他に人の気配は無く、他とは明からに活気が違いすぎた。

とりあえず男に話を聞いてみることにする。


「すみません。」


「おぉ~!パフォーマーですな。ぜひ使ってくださいな!賃料無しでいいから、今すぐにでも使ってくださいな」


なんだこの熱量。よく分からんけど場所はタダで貸してくれるらしい。


「何をしますか?芸ですか?歌ですか?何で観客を湧かせますか?すぐに宣伝してきますね!」


小太りさんはどこかへ言ってしまった。


「パトラ、どうしよう」


「がんばれ」


一瞬で見捨てられた。考える素振りすら見せず。

どうしようかと天を仰いだ。

空には黒い影。大きな鳥が飛んでいた。

おれはとっさに閃き、その鳥を狩ることにした。

急いで本から炎の球を鳥に向けて放つと、見事命中。

鳥はこちらに突進してきたが、思ったよりも大きすぎた。


急いでシュバルに乗り、土壁カードを四方に撒いて緊急回避。


鳥に向かってサイクロンと雷の球カード×3を投げて唱える。


「リベレ」


思ったように魔法は発動した。

シュバルがおれの魔法に合わせて雷を落とした。

四方を土壁が囲い、内側では暴風+雷で、鳥は為す術がないまま倒れた。



鳥が街の中に迫ってくるのを見て、慌てて多くの人が集まった。辺りがざわついてるのを見ておれ閃いちゃった。


一旦本を収めて、衣装をコックコートに変更。

土壁の上でバイクモードのシュバルに股がり、アクセルをふかして注目を集める。

シュバルから降りて、大きく息を吸い、腹に力を入れて大きな声を出す!


「みなさん!おあつまりいただき ありがとうございます。おおきなとりの かいたいショーを、ぜひおたのしみください!」


集まった人達はおれに気付いた上で先程よりざわついている。

自信のついたおれは、再び本を開き地面に降り立つ。

人が少ない角度から土壁に触れカード化して、収納していく。

そして最後の1枚を収納したとき、大きな鳥は姿を表した。


(サージュちょっと手伝ってくれ)


本を片付け、念話でサージュを近くに呼び、観客に再びアピールをする。


「ただいまから、とりさんのかいたいショーをします!」


そしてサージュとまずは羽根をむしり取る。おれはちょっとおおげさに声を出しながら、動きを大きく。でも、素早く羽根をむしり取っていく。

一方サージュは、静かにむしっていくが、以上に早い。もはや早すぎておれの手が止まってしまうほどだった。


羽根を取りきると観衆から歓声と拍手が聞こえた。さすがに気づいている。

これはおれではなく、サージュに対してだと。


「え~ つづきまして、はらをだしてぶいごとに さばいていきます。」


まずはラパンにテーブルと窯を作ってもらう。

おれは刀を抜き、サージュに手伝ってもらいながら臓物を取り除いて、頭、手羽、ももなど部位ごとに分けてさらに一口サイズに切った。その間、ラパンに骨をくし状にしてもらう。


今度はちゃんと自分に感嘆と驚きの声が聞こえる。

リクドウ様々ですわ。


むしった羽根や臓物などの食べれない部分を本に片付けて、顔はそのまま残して次の準備に入る。


「さあみなさん おまちかね、わたしのうつくしい つき をごらんください。」


ここがパフォーマンスの本番。

サージュに肉を何個か投げてもらって、全部突き刺した串をラパンとパトラに窯入れしてもらう。

そんな流れになっている。

窯の中に火の球カードを2枚入れて準備は完成。


「それでは、いきます!」


サージュの投げた肉が宙を舞う。

きれいなトスが上がって、肉達を繋ぐ1本の道が見える。

強く1歩を踏み込み、腰の捻りを加えて、


「リベレ。 はっ!」


ドーーーン

肉がきれいに串刺しになった時、窯で大きな爆発が起きた。

もちろんおれの中では予定通り窯に熱を入れた訳である。観客は驚きながらも大きな拍手と歓声をくれた。


肉串を窯に入れたら、また新しい串を手に取り空中の肉をキャッチ。

両手でやってみたり、口でやってみたりして飽きられないように、工夫しながら串に刺した。


最初の肉が焼きあがったので、例の天日塩をかけて近くの観客に手渡した。おしゃべりスーツ男に。

ひと口食べた途端、


「うんめぇええーー!!」


どこから出てんのってレベルの声量で声を発した。

そこからおいしさを饒舌に語ってくれているけど、それどころじゃない。

周りの観客達も肉串改め焼き鳥を求めて集まってきた。


串刺しパフォーマンスは終了して、サージュとパトラと串に刺していく。

ラパンが火番でおれが渡す。

いつのまにか小太りさんが戻ってきていて、集金をしていた。



予想以上の高評価をいただき、塩がなくなったので仕方なく今日は幕を下ろさせてもらった。


「いやぁ助かりました。たくさんの集客ありがとうございました。これをどうぞ」


小太りさんが集めてくれたお金を頂いた。

この価値がどれぐらいか分からないけど、宿代は気にしなくてよさそうだった。

おれは小さな両手でそのお金をすくい、小太りさんに差し出した。


「きょうは、ありがとうございました。またよろしくおねがいします。」


小太りさんは一瞬驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になり、そのお金を受け取ってくれた。


「この街に滞在中の宿をご用意させていただきますので、ぜひご利用ください。今後ともご贔屓に。」


小太りさんは一礼しておれ達を宿へ案内してくれた。

ラパン以外の召喚獣達を還してパトラと3人と1匹で宿へ向かう。


宿へ着いた。

だが、そこには個室トイレ程度の建物しかない。

まあこの区画の建物が全てトイレ。トイレに番号があるだけ。

大変失礼だが、パトラは歩くことすらできないだろう。


「こちらをご自由にお使いください。何かありましたら、広場最寄りの1番が私の部屋ですのでお気軽にお声かけください。それではごゆっくり」


他の説明をすることなく、小太りさんは自宅であろう方向に帰っていった。

取り残されたおれ達。

とりあえずパトラがドアを引いて開けようとするが、開かない。ご自由にとか以前の問題で、そもそも使えないんだけど。

他に入り口らしき場所も見つからない。


「よそ、いこっか。」


忘れてた疲れが一気に帰ってきた。

パトラに提案して、頂いたお金を使って別の宿を借りることにした。

腹いせにドアを殴ってやった。

すると、なんということでしょう。

開きました。

こんな狭い空間をドアがさらに狭くする仕様になっていたのです。

なんならドアノブも飾りかいって感じですわ。


「パトラ、あいた」


疲労感Maxのおれ達はもうベッドでゴロンして寝るつもりで部屋に入る。

まあ、個室トイレにベッドなんて入りませんけど。


(とか、思ってたのに。なんだよこの部屋!!)


めちゃ広い。

普通にLDK、トイレ、風呂があって2階もある。

いや、もうただのオシャな家ですわ。

これ貸していただけるなんて、最高ですわ。


「おかえりなさいませ。お食事はご準備できております。」


なんか出てきた。

人、ではないな。たぶんロボットだな。

この世界に来て初めての場違いテクノロジー。


おれ達は準備されている食事を食べて、広々お風呂に浸かり、ふかふかのベッドで人族領初日を終了した。


(明日は中央のコリゼ?だったか、闘技場に行ってみよう。ここから出ることが出来たらの話だけどね。)

新章気が入りすぎて、いつもより長くなってしまいました。

次回以降は自重します。_(._.)_

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