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5.義母義姉襲来

「アイリーン、アイリーンは起きてるの?

 さっさと起きて家事をしなさい!!」

「奥様困ります、旦那様からしばらくアイリーンお嬢を安静にして頂くように申し使ってます」

「何を言ってるの?

 倒れたのは旦那様でしょう?

 良いからそこを退きなさい、首にするわよ!」


 朝食が終わって紅茶を飲んでいると義母のキンキンとした金切り声と、

 それを諌めるフレッドの声が聞こえた。

 お父様は、物凄く、ものすごーーーく嫌な顔をして、

 ティーカップをトレーにおいた。


 勢い良く客間の扉が開かれて、お義母様とその後ろにお義姉様が入った来た。


「あら旦那様もいらしゃったのですね、

 家事が滞ってますのでアイリーンを連れていきますよ」


 はぁと溜め息をついてお父様が話し始めた。


「昨日も散々説明したが、理解力が足りないのか?

 それとも記憶力が足りないのか?」

「どういう事ですの!!」

「本題に入る前に常識なので昨日は話しをしなかったが、

 入室前にノックして入室の許可を貰いなさい」


「ですが」

「ですがではない、子供でもできる事がなぜ出来ない」

「・・・・・・」


「改めて説明するが家事をアイリーンがする必要はない。

 するなら居候のお前達だ」

「居候って......」

「事実だ、当然フレッドを解雇する権限は君には無い。

 更に言えば侯爵家の金を一銅貨たりと勝手に使う事は許さないし、

 侯爵家の名義での買い物も許さない。

 毎月の生活費は渡してるだろう?

 特別に必要な経費があったら私に言ってくれ、

 正式な書類を作成して処理する」


「何で侯爵家夫人の私が侯爵家のお金を使えないのですか!!」

「これも昨日説明したが、侯爵の爵位を継いだのはアイリーンだ。

 入り婿の私は侯爵では無い。

 私は子爵の爵位を持っているから子爵夫人を名乗る分には問題無い」

「旦那様は、侯爵家の人間じゃないですか!」

「他国は知らないが、我が国では婚姻しても爵位は変わらない。

 そんな事が可能なら結婚離婚を繰り返せば上位貴族だらけになってしまう。

 勿論救済処置もあるにはある。

 婚姻して十二年がたった後に、貴族会に書類を出して審査が通れば、

 入り婿でも爵位が貰える。

 もしくは婚姻した当主に爵位を譲られた場合だ」


「そんな私は貴方が侯爵だと思って結婚したのに......」

「それは話が違う、学生時代の友人の妻の君が未亡人となってしまって、

 貴族年金も貰えずに生活出来ないから形式上婚姻したはずだ」

「それはそうですが......」

「私はアイリーンが婿を見つけて引き継ぎが終わったらこの家を出る。

 勿論子爵家の妻としてついて来てくれるなら、

 細々と田舎に隠居して面倒をみる位の甲斐性はある」


「そんなお父様、田舎暮らしなんて嫌です。

 私は王都で贅沢な暮らしがしたいんです」


「フローラ、それでは君自身が良い嫁ぎ先を見つけなさい。

 高級な装飾品は買ってあげられないが、

 市販品なら多少は買ってあげられる。

 くどいようだが、勝手に侯爵家の名前で買い物をしたりしたら、法的な手段を取るからな」


「フローラ、もう良いわ、行きましょう」


 お義母様はそう言って客間から出ていった。


「なぜ毎回説明しても理解できないのだろうか」

「......お父様?」

「?」

「お父様はこの家を出ていかれるつもりですか?」

「君に良い婿が見つかって領内の運営が落ち着いたらね。

 ああ、心配しなくても平気だ。

 領の僻地で川で魚を取ったり狩りをしたり畑を耕したりして暮らす。

 私にとって贅沢な暮らしさ。

 孫が出来たら一年に一回は帰って来るよ。

 美味しい野菜を期待しててくれ」


「つまり、お父様は私を見捨てて、フローラお義姉様を選ぶんですね」

「いや、そう言う話じゃないぞ」

「これからは、お父様が私を守ってくれると言ったのに、騙したんですね......」

「私が間違っていた、アイリーンが望む限りは、この家にいるよ」

「.......本当ですか?」

「ああ、本当さ」

「分かりました、後で契約書を作りましょう」


 最近のお父様は、娘甘々状態になってるのは良いけど、

 何かと隠居したがってる感じがする。

 お父様には、早々に離婚して頂いて新しいお嫁さんを見つけて欲しい。

 勿論私が認めた人にかぎるけど、きっとお母様は許してくれるはず。


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