22.リシュール侯爵家お茶会②
「お嬢様大変です、もう既に招待客の方々がいらっしゃって、
お茶会が始まっております!!」
「はい?」
マリーがノックもせずに私の部屋に飛び込んで来ると、
その言葉を聞いて、最終的なメイクの仕上げや、アクセサリー類をつける為に、
側に控えていた美容侍女三人衆が即座に反応して私を仕上げていった。
私もお父様もまだ邸内にいるのにお茶会が始まっているってどう言う状況?
しかも遠方から来て頂いているのに、本人が家で遅刻ってありえなくない?
色々マリー聞きたいことはあったが、
三人衆のなすがままになっている私は、
黙っている事しか出来なかった。
「仕上がりました!」
「お嬢様、旦那様が廊下でお待ちです」
そう言ってマリーに急かされるように手を引かれて廊下に出るとお父様が立っていた。
「お父様、遅れて申し訳ありません」
「いや、アイリーンは悪くないよ。
うん、すごく素敵だ、庭園に向おう」
「はい、お父様も凄く素敵です」
こんな急いでいる時も私を褒めてくれるのが、凄く嬉しい。
「いったい何があったんですか?」
「邸内の時計が全て遅らされていたんだ」
「え、心霊現象ですか」
「いや、それよりもっとたちが悪い」
お父様怒ってらっしゃいますね。
気の小さい私はガクブルです......
屋敷を出て庭園に用意した会場を見ると、
何故か出席予定のないフローラ義姉が堂々とテーブルに座っていた。
心霊現象の正体見たり、馬鹿な義姉。
うん、大体状況が分かった。
「フローラ何故お前がここにいるんだ?」
「長女としてお出迎えしなければと」
「今日は部屋から出ない様に伝えてたはずだが?
まぁ良い後で色々話がある、フレッド」
「ハッ」
義姉は、ギャアギャアわめきつつもフレッドに連れ出されていった。
めでたしめでたし、じゃない!
どうするのこの状況!
「皆さん、色々手違いがあって申し訳ありません。
遠い所お越しいただきありがとうございす。
こちらが私の娘で侯爵家嫡子のアイリーンです」
う、来たわ。
女は度胸と愛嬌よ、スマイルスマイル。
「本日はお茶会に来て頂きありがとうございます。
アイリーン・リシュールと申します」
私は精一杯の笑顔で挨拶をして、
プリンセスメーカー婦人に合格点を貰ったカーテシーをした。
「「「「......」」」」
あれ、皆様無反応ですか......
やっぱり、ドッキリ大成功!!とか書いた看板を持った方が良かったのかな?
それとも徐ろにレディオさんの体操でも始めようかな。
「アイリーンちゃん、会いたかったよ」
さらっさらの金髪の男の子が握手をしてきた。
「あれ?え?」
「酷いな僕だよ、文通相手のレイナだよ」
「え、レイナちゃん、私も会いたかった。
ごめんなさい、てっきり女の子だと思っていたから」
「良いよ、本名はレイナードで愛称がレイナ。
君の母上からアイリーンちゃんが男だと緊張するからって聞いていたんで、
誤解されているのは分かっていて特に訂正もしなかったから」
「そうか、でも来てくれてありがとう。
私も会いに行きたかったんだけど、帝国に行くのが難しくて」
「僕も同じさ。でもアイリーンちゃんのお披露目会をやると君のお父様から聞いて、
いても立ってもいられなくて来ちゃった」
男の子だと思っていたけど、長い間文通してたイメージのままなので別に気にならない。
あれ?でも同じ女の子だと思っていたから、
胸が大きくならないとか相談した気も。
うん、忘れよう気にしたら負けだ。
お母様のスタイルは良かったし最近の生活もかなり改善されたし、
未来の自分に期待しよう。




