表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/226

 女神隊員はすっとぼけます。

「さあ・・・」

 隊長は日向隊員を見ました。ちょっと怒ってるようです。

「こら、その言葉は使うなと言ったろ!?」

「す、すみません・・・」

 寒川隊員がアコースティックギターを持ってきました。

「はい!」

 日向隊員はそれを受け取りました。

「ありがとうございます!」

「ガット弦用のギターに変えておいたよ。ただ、ガット弦はすぐにチューニングが狂うから、弾くたびにチューニングし直した方がいいな」

「はい!」

 寒川隊員はピッチパイプを日向隊員に差し出します。

「はい、ピッチパイプ」

「あは、自分でできますよ!」

 寒川隊員はちょっとびっくり。

「え?」

 日向隊員は右手の指で弦を弾きながら、左手でペグを廻しました。寒川隊員はそれを見て思いました。

「ああ、こいつ、絶対音感持ってたんだった・・・」

 寒川隊員はただ苦笑いするばかり。日向隊員はギターを構えました。

「じゃ、弾きます!」

 日向隊員がギターを弾き始めました。どうやら歌唱ボーカルのない曲のようです。

 右手の指先ですが、当然治癒・・・ いや、修理済み。なおかつ、ギターを弾くことを考え、左右の指とも皮膚は厚くなってました。

 みんなうっとりと聴いてます。が、しばらくして隊長は、あれ?という顔になり、寒川隊員に小声で質問しました。

「お、おい、これ、なんて曲だ?」

「さあ・・・」

 どうやら寒川隊員も知らない曲のようです。けど、橋本隊員は知ってたようです。隊長に小声で話しかけました。

「ショパンのノクターンですよ」

「へ~ クラシックか・・・」

 隊長は感心しきり。ちなみに、日向隊員は軽やかにギターを弾いてるように見えますが、ところどころあれ?て感じになるところがありました。ミスタッチ。ま、つい最近覚えたギター。これは許容しないといけませんね。


 日向隊員は最後の1音を弾き終えました。すると女神隊員が拍手。それに続けて隊長、宮山隊員、橋本隊員、倉見隊員が拍手。最後に寒川隊員が拍手しました。日向隊員はちょっと顔を赤らめました。

「あは」

 寒川隊員。

「クラシックか。よく弾けたな」

「練習してたんです。私、ずーっとピアノを習ってたんですけど、ノクターンは課題曲の1つだったんです。だからこの曲を選びました。

 ピアノとギターと楽譜スコアが違うみたいで、インターネットで調べてギター用にアレンジされた楽譜スコアを見つけて練習しました」

 隊長。

「いつから練習を?」

「寒川さんにギターを教えてもらった日から」

 寒川隊員は日向隊員にギターを教えた最初の日を思い出しました。

「え、あの日から?」

「はい!」

 こいつはかなわないな。寒川隊員は苦笑いするしかありませんでした。

 日向隊員は自分の両手の指を見て、

「なんか手術する前よりうまく弾けるようになってる気がする・・・ 脊髄反射をう~んと速くしてもらったせいかな?」

 それを聞いて宮山隊員がまたもやびっくり。

「ええ、脊髄反射?・・・」

 それを横目で見た隊長は、日向隊員の頭をポンと叩き、

「コラ、自分の秘密をそんなにしゃべるなって言ったろ!」

「あは、すみません」


 夜になりました。テレストリアルガード基地は静寂に包まれてます。

 ここは地下にある隊員1人1人に与えられた部屋の1つ。日向隊員の部屋です。日向隊員はパジャマに着替えベッドの上で寝てます。けど、眼はランランと輝いてます。日向隊員は寝返りを打って、つぶやきました。

「眠れない・・・」

 日向隊員はベッドを降り、シューズを履いて歩き始めました。


 日向隊員がパジャマに上着をひっかけた状態で、テレストリアルガード基地の外に出てきました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ