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「ふぁ~ お腹すいたあ・・・」
日向隊員は胃袋がないんだからお腹がすくはずがないのですが・・・ 食事はいつもの習慣。その時間になると脳が勝手に食事の時間だよう、と指令を出すのです。困ったものです。
手術は3日目となりました。けど、まだ終わりません。4日目になっても5日目になっても終わりません。日向隊員は焦ってきました。いつになったら私の身体は戻ってくんの!?
6日目になりました。明日は中学校の入学式。なのに日向隊員の首から下はまだ完成してません。日向隊員は焦ります。
「ええ~?・・・」
いよいよ陽が隠れ始めたころ、病室のドアがガチャッと開き、南原主管が顔を現しました。
「お待たせ~!」
日向隊員はため息。そして安心顔。
「ふぁ~・・・」
病院の廊下。南原主管が両手で抱くように日向隊員の首を持って歩いてます。なお、南原主管の前には1人助手が歩いてます。まるで露払い。どうやら日向隊員を隠してるようです。
このフロアはテレストリアルガード専用フロア。原則一般人は入って来ません。けど、何かの間違いで一般人が進入してくる可能性もあります。用心に越したことはないですね。
南原主管がぽつり。
「すまないねぇ、こんなに時間がかかっちゃって・・・」
前を歩く助手が重たそうなドアの前に立ち止まり、ドアを開けました。
部屋の中には数人の研究員とコンピューターと計測器がありました。その真ん中にはいかにも医療用て感じのイスが置いてあり、検査着を着た首なしの少女の身体が座ってました。どこからどう見ても日向隊員の身体です。
日向隊員はその身体を見て、ニコッとしました。
「あは、私の身体!」
南原主管は左手で日向隊員の首を小脇に抱え、
「小型空中浮遊ユニットはずすよ。ちょっと我慢してて!」
「はい!」
カチャッ 小型空中浮遊ユニットがはずれました。南原主管はそのユニットを側にいた助手に渡すと、両手で挟み込むように日向隊員の首を持ちました。日向隊員はまっすぐ前を見てる状態に。
南原主管は首のない少女の身体の背後に行き、首の切断部分に日向隊員の首を1時半の方向にセット。左に45度カチッと回します。すると少女の両手が何事もなかったように動きました。日向隊員はその手を見てうれしそう。
「あは、動いた。やっぱ身体があるっていいなあ・・・」
「ふふ、そっか?」
南原主管はなぜか含み笑い。と、突然持ってたクリップボードを縦にして、日向隊員の脳天に振り下ろしました。びっくりする日向隊員。
「え?」
ものすごい速さで迫って来るクリップボード。頭に当たる寸前、眼にも止まらぬ速さで日向隊員の右拳がクリップボードの側面にパンチ。クリップボードは壁まで吹っ飛んで行きました。日向隊員は自分の両手を見て、
「な、何が起きたの、いったい?」
南原主管は微笑み、
「簡単な脊髄反射のテストだよ」
「テスト?」
「うん。どうやら合格したみたいだな。本当はもっと本格的なテストをしたいんだけど、明日から学校だろ」
「はい」
「じゃ、後日テストするってことにしよっか?」
「はい!」
「それに・・・ これは日向君にも話しておいた方がいいな。
君の身体は元々海老名て人の身体だった」
「ええ、知ってますよ」
「海老名隊員の時代は、普段はメガヒューマノイドと覚られないよう、ふつーの女子の1.2倍くらいの体力で調整されていた。香川隊長の希望だったらしい。
けど、今回はメガヒューマノイドの体力のままで行くことにした。香川隊長はいつまた宇宙人が攻めて来るのかわからないから、今回はデチューンしないでくれと注文したんだよ」