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実は寒川隊員はもう1つ日向隊員に言いたいことがありました。
「お前、ギターテクニックはすごいが、歌唱力はいまいちだなぁ・・・」
もちろん寒川隊員は大人です。そんなこと思っても、口には絶対出しません。逆に日向隊員だったら言ってた可能性がありますね。
宮山隊員が女神隊員に小声で話しかけました。
「あ、あの~ あの娘の指ってどうなってるんですか?」
どうやら宮山隊員は日向隊員の身体の謎を1つも知ってないようです。女神隊員は、
「さあ」
と、あからさまにすっとぼけました。宮山隊員は呆れ顔。
「あの~ ここって秘密が多くありません? 私、オペレーター職でここに来たんだけど、秘密ばっかり・・・ 私もここの一員になったんですよ。教えてくださいよ~
だいたい女神さんていつもヘルメットかウィッグで顔隠してますよね。ほんとうはどんな顔してるんですか? うわさ通り眼が1つだけなんですか? いい加減見せてくださいよ~!」
すると女神隊員は、
「ふふ、ここには仲間内でも秘密にしておかないといけないことがたくさんあんの」
と応答。けど、それを聞いた隊長が女神隊員に、
「おいおい、顔くらい見せてやれよ」
女神隊員は隊長に念を押すように、
「いいんですか?」
「ああ」
女神隊員は宮山隊員を見て、
「じゃ・・・」
と言うと、自分の顔に覆いかぶさるウィッグに右手をかけました。ドキドキする宮山隊員。と、次の瞬間その顔は最大限の驚きの顔になりました。
「ええ~っ!」
巨大な1つの眼。鼻はなく、大きな口。女神隊員の顔は宮山隊員の想像の斜め上をいってました。これは驚くしかありません。隊長が追い打ちをかけます。
「女神隊員の顔はテレストリアルガード最重要機密事項の1つだ。口外したらたとえテレストリアルガードの隊員であっても即逮捕だからな。覚えておけよ」
いいえ、そんな規定はありません。これは隊長のいつものイタズラです。日向隊員はそんな会話を聞いてて、ふいてしまいました。
翌日いつもの病院。その廊下。隊員服を着た隊長が歩いてます。と、あるドアの前で立ち止まりました。そしてそのドアをノック。
「日向、入るぞ!」
するとドアの向こうから、
「はーい!」
という返事。隊長はドアを開けました。が、その瞬間隊長は青ざめました。
「うっ?・・・」
隊長はすぐにそのドアを閉めてしまいました。すると再びドアの向こうから、
「あーっ、隊長、なんで閉めちゃうんですか~!?」
隊長は1つため息。
「は~・・・」
隊長は再びドアを開けました。
部屋の中は1人用の病室でした。ど真ん中に日向隊員の首が浮いてます。どう見ても生首。こんなものを突然見せられたら、誰だってドアを閉めてしまいます。隊長は呆れたって顔を見せ、
「お前な~ それ、とっても気持ち悪いんだぞ! もうやるなって言ってんだろ! ほんと、心臓に悪い!・・・」
「ええ~ 私の身体は今手術中なんですよ~」
「じゃ、ベッドで静かに横たわってろよ。もう~!」
と、隊長の背後から声が。
「あ、香川さん、いらっしゃってたんですか?」
隊長が横目で後ろを見ると、開けっ放しのドアから南原主管が入って来るところでした。
「ちょうどいい、今回の手術の概要を説明しましょう!」
南原主管はドアを閉めました。
南原主管が日向隊員に質問しました。なお、南原主管は首だけになって宙に浮いてる日向隊員を特に気にしてないようです。
「日向君は脊髄反射て言葉は知ってるかな?」
「う~ん・・・ 言葉だけは聞いたことがあります。でも、詳しいことは・・・」
「あは、そっか。小学生じゃまだ早かったかな?」