出会いとは、いつも予測できないもの。――8
『オオォォォォオオォォ!』
マミージェネラルが両手の斧で斬撃を放つ。
斧による二連撃は、しかし、天原さんに届くことはなかった。
天原さんは顔色ひとつ変えず、大盾で斧を防ぐ。
同時、リフレクトによる白い粒子が発生し、無数の針となってマミージェネラルを襲った。
『オオォォオオォォ!?』
無数の針にマミージェネラルが怯む。
その隙を突いて、焔村さんが地面を蹴った。
一瞬でマミージェネラルに肉薄した焔村さんは、すくい上げるように大剣を振るう。
「はあぁああああああ!」
轟っ! と唸る大気。
大剣がマミージェネラルに斬痕を刻んだ。
それだけにとどまらない。凄まじい剣圧により、マミージェネラルの体が宙に浮かび上がる。
『――――ッ!?』
マミージェネラルが絶句した。
焔村さんが獰猛に口端をつり上げ、タンッ、と軽やかに跳躍する。
焔村さんが大剣を振りかぶり――
「おらぁああああ!!」
豪快な一声とともに唐竹割りを見舞った。
さながら流星。
岩すらも真っ二つにするだろう一撃が、マミージェネラルに斬り込まれる。
マミージェネラルはハンマーでぶん殴られたかのように地面に叩き付けられ、ワンバウンドして再び宙を舞い、メチャクチャに回転したあと倒れ伏した。
『オ……オオォォ……』
ボロボロになったマミージェネラルは、プルプルと震えながらなんとか体を起こす。
そんなマミージェネラルに、無情な追い打ちがかけられた。
いつの間にかマミージェネラルの背後に立っていた篠崎さんが、両手の短剣を振るったのだ。
刻まれる十文字。
不意を突かれたマミージェネラルが、ビクンッ! と仰け反る。
そのときには、四条さんが詠唱を終えていた。
「『クリムゾンフレア』!」
四条さんが炎属性範囲魔法の名を唱え――
「『集束』!」
スキルを発動させて単体攻撃に切り替える。
四条さんがマミージェネラルを示すように杖を向け、その先端から火球が撃ち出された。
炎属性の基本魔法『ファイアーボール』よりも小さな火球が、マミージェネラル目がけて飛んでいく。
篠崎さんが飛び退いた。
度重なる攻撃で痙攣しているマミージェネラルに、火球が触れる。
炸裂。
爆炎。
轟音。
一瞬で膨れ上がった紅が、マミージェネラルをのみ込んだ。
離れた位置にいる俺でさえ、焼け付くような熱を感じる。
燃焼音が鼓膜を震わせ、炎光が視界を染め上げる。
紅の暴力が収まったのち、そこにマミージェネラルの姿はなかった。
マミージェネラルが立っていた地面はツルツルピカピカになっている。途方もない熱により、表面がガラスに変質したのだろう。
俺は唖然と目を剥く。
こ、これがSランクパーティーの戦い……尋常じゃない……!
言葉もなく、ただパクパクと口を開け閉めしていると、焔村さんが腕組みしながら「うーん」と唸った。
「やっぱなまってるな」
「ええっ!?」
信じられない一言に、俺は思わず声を上げる。
俺がギョッとするなか、「そうですねー」と四条さんが肩をすくめた。
「本調子にはほど遠いですねー。まだ七割ってとこでしょうか」
「(コクコク)」
篠崎さんまでもが、「右に同じ」というように頷く。
「わたしに至っては出番すらなかったわぁ」
「そういやあ、そうだな。今度は美月さんも支援で参加してもらえるか?」
「もちろんよぉ」
次の戦闘に向けてヴァルキュリアのメンバーが相談するなか、俺は乾いた笑いを漏らすほかなかった。
頬を引きつらせながら、ポツリと呟く。
「レ、レベルが高すぎる……」




