出会いとは、いつも予測できないもの。――6
目当てのダンジョンが出現したのは二日後のことだった。
探索者協会からの知らせを受けた俺たちは早速集合して、ダンジョン探索へと繰り出した。
港区の地下鉄のホームにあったゲートをくぐると、石造りの壁・床・天井が視界に移った。壁には、一定間隔で松明がかけられている。
「遺跡系ダンジョンですねー」
「よかったな、真。いい装備品が手に入りそうだぞ」
ダンジョンの内部を見渡して、四条さんと焔村さんが笑顔を向けてきた。
遺跡系ダンジョンには、良質の装備品が出現するという特徴がある。その代わりにトラップが多いのだけれど、篠崎さんが感知能力とトラップ解除能力に長けているそうだから、心配なさそうだ。
「では参りましょう」
「澄玲ちゃん、斥候のほうよろしくねぇ」
「(コクコク)」
ダンジョンの種類を確認した俺たちは、篠崎さんを先頭として歩き出す。
ヴァルキュリアのメンバーに囲まれて進みながら、俺は頼もしさを覚えていた。
誰も気負ってない。自信たっぷりって感じだ。
焔村さんも、渡会さんも、四条さんも、篠崎さんも、もちろん天原さんも、誰も緊張していない。むしろ、『モンスターだろうがなんだろうが、どこからでもかかってこい』といわんばかりに堂々としている。まるで、どっしりと佇む大山のようだ。
まあ、それも当然か。誰もがすさまじいステータスを持っているし、装備品も一級だからね。
俺はそれぞれの装備品に目をやる。
焔村さんが装備しているのは、メタルブラックの軽鎧、籠手、ブーツと、ドラゴンの翼を模したような赤い大剣。
渡会さんが装備しているのは、純白の杖、白地に金のアクセントが加えられたローブ、白いブーツ。
四条さんが装備しているのは、葉っぱが飾られた杖、表が黒で裏が紺のローブ、紺色のブーツ。
篠崎さんが装備しているのは、藍色のナイフ、漆黒のナイフ、真っ黒なコート、翼の飾りがつけられた、黒いブーツだ。
・焔村巴恵
【装備品】
赤竜の帝王剣 攻撃力+200 炎属性付与 武器破壊効果(大)付与
星鋼の軽鎧 防御力+66 攻撃力+18
星鋼のガントレット 防御力+38 攻撃力+13
星鋼のブーツ 防御力+26 攻撃力+12
・渡会美月
【装備品】
聖別されし白杖 魔法力+112 回復効果10%増加
聖遺物のローブ 防御力+38 魔法耐性+82 状態異常耐性(中)付与
巡礼者のブーツ 防御力+16 魔法耐性+18
・四条蓮
【装備品】
世界樹の杖 魔法力+166 MP吸収(魔法攻撃成功時)
魔女王のローブ 防御力+36 魔法耐性+78 MP自動回復(中)
探究者のブーツ 防御力+10 魔法耐性+14 魔法力+8
・篠崎澄玲
【装備品】
多頭蛇の牙 攻撃力+76 状態異常(中)付与
魔狼の爪 攻撃力+82 ステータス減少(中)付与
闇夜のコート 防御力+48 魔法耐性+10 認識阻害(中)付与
黒翼のブーツ 防御力+8 敏捷性+20
いずれの装備品も、目を見張るくらいの効果を持っている。彼女たちの装備品を身につけるだけで、下級の探索者が中級になれるほどだ。
そのなかでも異彩を放っているのが、焔村さんが装備している『赤竜の帝王剣』。攻撃力+200というバカげた上昇値に加え、武器破壊効果まで付随している。等級をつけるとしたら、間違いなく最高ランクだろう。
それもそのはず。なにしろ赤竜の帝王剣は、ドラゴンエンペラーのドロップアイテムなのだから。
ドラゴンエンペラーのドロップアイテムは三つあった。『赤竜の帝王剣』、『竜帝の御守り』、『竜帝のスケイルシールド』だ。
ちなみに、竜帝の御守りと竜帝のスケイルシールドの効果は――
竜帝の御守り 戦闘中、はじめて攻撃を受けた際、そのダメージを0にする。
竜帝のスケイルシールド 防御力+155 魔法耐性+60 炎耐性(大)付与 風耐性(大)付与
――という感じだ。
俺と天原さんは相談して、俺が竜帝の御守り、天原さんが赤竜の帝王剣と竜帝のスケイルシールドというふうに、ドロップアイテムを分配した。
天原さんのほうが取り分が多いのは、赤竜の帝王剣も竜帝のスケイルシールドも、カード使いの俺が持っていたところで宝の持ち腐れだからだ。
天原さんは申し訳なさそうにしていたが、『ヴァルキュリアの再建に役立ててほしい』と頼んだら受け取ってくれた。
焔村さんが赤竜の帝王剣を装備しているのは、天原さんが俺との約束を守ってくれたからだろう。
「なあ、真?」
そんなことを考えながら歩いていると、不意に焔村さんが声をかけてきた。




