仲間とは、尊敬の上に築かれる関係のこと。――10
HPが0になったグランドネクロマンサーは、断末魔を上げることすら許されずに溶けていった。
戦闘が終了したことで停滞の捕縛の効果が切れ、俺は自由を取り戻す。
なんとなく体のあちこちが凝っている気がする。ずっと動きを止められていたから、錯覚しているのだろうか?
「お疲れ様です」
ふぅ、と一息ついていると、レイピアをストレージに収めた天原さんが、俺を労ってきた。
「天原さんもお疲れ様」
「ありがとうございます。とはいっても、こちらが一方的に攻撃していただけなので、あまり疲れていないのですけどね」
「それもそっか」
俺と天原さんは苦笑し合う。
「ロードモンスターをあんなにもあっさり倒せる戦術があるなんて、驚きです」
「『ロックコンボ』はハマれば最強だからね」
「ロックコンボ……ですか?」
「そう。『相手をなにもできない状態にする』コンボのことだよ」
「なるほど。たしかに、こちらだけ動けるのですから、上手くいけば最強かもしれませんね。正直、戦っている途中から申し訳ない気持ちになりました」
「強力だけど凶悪な戦術でもあるからね。『ロックコンボは友達をなくす』って言葉があるくらいだし」
「友達をなくすですか。言い得て妙ですね」
割と冗談じゃない俺の話に、天原さんがクスリと笑みを漏らした。
「じゃあ、先に進もうか」
「はい」
グランドネクロマンサーからのドロップアイテムを回収し終え、俺たちは広場の先へ向かう。
広場の先には五本の木がそびえていた。明らかに、ほかの木々よりも瑞々しい。
五本の木の頭上からは晴れ間が覗き、そこにだけ日の光が差していた。砂粒に混じった砂金のように、このダンジョンのなかでここだけが輝いている。
神秘的な光景に目を奪われつつ、俺たちは歩を進め、五本の木のもとに向かった。
五本の木にはうろがあり、そのなかには、ブローチほどの大きさの、黄色い宝石が入っている。
俺は宝石を取り出し、まじまじと眺めた。
「これが霊薬樹の琥珀?」
「はい。間違いありません」
いつもはクールな天原さんが声を弾ませている。依頼の達成に必要なアイテムが入手できて、嬉しいのだろう。依頼の達成に協力してほしいと俺に相談してきたとき、相当思い悩んでいたようだったし。
五本の木にはそれぞれうろがあり、霊薬樹の琥珀が一個ずつ入っていた。依頼達成に必要な個数は三つらしいので、充分すぎる収穫だ。
「本当にありがとうございます、勝地くん」
霊薬樹の琥珀をすべて回収したあと、天原さんは俺に頭を下げてきた。
「これで依頼を達成できます。すべて勝地くんのおかげです」
「そんなにかしこまらなくていいって」
苦笑しながら、俺は天原さんに頭を上げてもらう。
「俺としてもカードを入手できたし、天原さんが守ってくれたおかげですごく攻略しやすかったよ。ありがとう」
天原さんと同じく頭を下げる。
天原さんは目をパチクリとさせたあと、「それはよかったです」と微笑んだ。
俺が微笑み返すと、天原さんはひとつまばたきをして、若干緊張した顔つきになり、口を開いた。
「勝地くん。ひとつ提案があるのですが……」
「なに?」
「もしよろしければ、これからも一緒にダンジョンを探索していきませんか?」




