仲間とは、尊敬の上に築かれる関係のこと。――1
翌日。昼休み。
「ごちそうさまでした」
優衣が作ってくれた弁当を平らげた俺は、感謝を込めて合掌する。
ピロン
そこに聞こえる通知音。
俺はズボンのポケットから通信石版を取り出し、メッセージを確認する。
天原:探索者協会から、目的のダンジョンが出現したとの連絡がありました。
メッセージの主は天原さんだった。
ヴァルキュリアが受けた依頼の達成に協力すると約束してから、俺と天原さんはそれぞれ、自分の通信石版に相手の通信石版を登録したのだ。
ちなみに、本来、Dランク探索者の俺がAランクダンジョンに挑むことはできないが、Sランク探索者である天原さんが同伴するので、今回に限っては可能だ。
天原さんから続けてメッセージが送られてくる。
天原:申請していたとおり、ダンジョンの系統は樹海系。場所は中央区の河川敷。ランクはAらしいです。
樹海系ダンジョンでは薬草や霊薬が採取できる。俺たちの目的である霊薬樹の琥珀も、樹海系ダンジョンで手に入るアイテムだ。
天原さんからの連絡を受けて、俺は「ふむ」と頷き、メッセージを返す。
勝地:了解。どこで待ち合わせする?
天原:ダンジョンの付近に公園があるのですが、そこでどうでしょう?
勝地:わかった。時間は四時がいいんだけど、天原さんはどう?
天原:わたしも四時で構いません。
勝地:じゃあ、四時にダンジョン付近の公園で。
天原:はい。
天原さんとの連絡を終え、通信石版をしまい、ふぅ、と一息つく。自分の席にいる天原さんのほうに目をやると、通信石版の代わりに文庫本を取り出しているところだった。
同じ教室にいながらも、俺たちは通信石版で連絡を取り合っていた。俺と天原さんは、『関わり合いのないように振る舞う』と約束していたのだ。
また騒ぎになったら困るからね。
昨日の昼休み、天原さんが俺に話しかけたことで教室内は騒然とした。屋上から戻ってきたときも騒ぎは収まっておらず、俺は男子たちから質問攻めに遭った。
みんな、血走った目をしてたなあ。生きた心地がしなかったよ。
俺と天原さんが直接やり取りしたら、また騒ぎが起きるかもしれない。だから、俺と天原さんは関わり合いがない振りをしながら、通信石版で連絡を取り合うことにしたのだ。
それに、俺と天原さんが仲間になったことをバスタードのメンバーに知られたら、面倒な展開になりそうだし。
追放した相手が、自分たちよりも遙かに格上の人物の仲間になったのだ。バスタードのメンバーにとって、俺の現状は面白いものではないだろう。
ただでさえ俺は、再加入を断ったことでバスタードから恨みを買っている。天原さんとの協力関係がバレたら、やっかみを受けるかもしれない。
まあ、バスタードとのあいだに確執ができた原因は俺にもあるから、一応覚悟はしているんだけどね。
けれど、バスタードと俺との問題に天原さんは関係ない。だから、天原さんを巻きこむわけにはいかなかった。




