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調査8 ギルドマスター降臨!

「あー..頭痛い..昨日飲みすぎた..」


 昨晩の宴でそのままギルドで一夜を明けた俺たちは酒場で目を覚ました。リサとストレガも眠りにつく中、マックスは1人、スクワットをしている。


「お! 起きたかケンタ! 酒は飲んでも飲まれてはいけないぞ! はっはっはっ!」


 朝からすごいなこの人..二日酔いの頭に響く。とりあえず宿に帰って寝たいのでリサとストレガを起こす事にした。


「んぁ? もう朝か..喉いてぇ..」

「私..寝てしまっていたのですね」


 リサとストレガは眠い目を擦りながら気怠そうに起きる。


「はい2人とも、これから狭くて汚い宿に帰るよ..準備して..」


 宴の後、宿に帰った時の切なさと言ったらこの上ない。昨日山分けした報酬金も金髪ギャルが高級シャンパン開けまくったせいでほぼ無い。ため息をつきながら宿に帰る準備をしていると、マックスが。


「お前たち、うちに来るか?」

「え? 宿でしょ?」

「え? 一軒家だが?」


 ちょっと何言っているのか理解できなかった俺はもう一度聞く。


「今なんて?」

「いやだから、私の家に来るかと」


 俺は何も言わずマックスの両手を包むように握りしめた。そして神を崇めるかの如くマックスを見つめ。


「神様仏様マックス様! 是非ともお願いします!!」



 という訳で俺たちは今マックスの家にいる。平屋だがなかなかに広い。風呂付きで電球もチカチカしていないし床もキシキシと音を立てない。なんだここは豪邸か? 家の中に入るなりリサがソファーに飛び込んだ。


「お前なんでこんないいとこ住んでんだよ! ボンボンか?!」

「ボンボン..? それが何かは知らんが、私は立派な冒険者として自立できるよう小さい頃からゴージャスを貯めたんだ! そして昨年! ようやく夢のマイホームを建てたという訳だ!」


 マックス..すごいまともじゃん..やかましくなかったらすぐにでもお嫁に来て欲しいくらいだわ..


「でもマックスさん、宿泊料とかはどうすればいいです?」

「そんな事気にしなくてもいいぞ! 私たちはパーティーだからな! 好きなように使ってくれ!」


 ストレガの質問に元気よく答えるマックス。しかし一つ問題があった。


「部屋分けはどうしようか、ほらなんか言うじゃん? 日当たりが良いとこがいいとか、風水がどうとかって」

「それなんだが..部屋は3部屋しかない..つまり誰かは共同で部屋を使ってもらう事になるのだ」


 マジかよ..しかし住ませてもらう身としては文句は言えない。苦渋の決断ではあるが致し方ないな。


「まあここはマックスの家だし本人は自室として、そうなればリサとストレガが」

「無理! ストレガが嫌とかじゃねえけど部屋は1人部屋がいい!」


 何だこいつ..まだ俺が話してる途中でしょうが! 文句言うなよ! わがままなのはボディーだけにしてくれよ! とは本人に言う度胸もない俺は小さく舌打ちをするくらいしか抵抗ができなかった。するとストレガが突然。


「私はケンタさんと同じ部屋でも構いませんけど..?」

「おいストレガ、何で既に俺が共同する事になってんだ」


 ストレガはだめだ、何されるか分からん。そうなればもうあの方しかいないじゃないか。


「マックス? よろしくな?」

「なっ..! 何で貴様と!!」


 俺はマックスの耳元で。


「じゃあなにか? よなよな耳元で呪いの呪文聞いて寝落ちしたいか?」

「の..呪い..?! 何のことだ?」

「ま..まあ呪いは呪いだ..! じゃあれだ! 俺の機転が無ければ今頃お前はジャイアントトロールの餌だったぞ?」


 これは効いたのかマックスは頭を悩ませる。そしてため息をついて。


「まったく..お前というやつは..」


 こうして俺はマックスと共同の部屋になる事に決定した。そして夜、ろくなベッドに寝れていなかった俺はマックスが用意してくれた簡易ベッドにダイブするように横たわった。


「はぁ..簡易ベッドってこんなに寝心地が良いんだな..幸せってのは案外小さいものなのかもな..」

「何だ急に..私はもう寝るからな」

「あ、そうだ」


 ふと思い出した俺はマックスに聞きたいことがあった。


「この世界で1番偉い人というか絶対的権力者みたいな人とかいんの?」

「そんなのキング・アーサー様に決まっているだろ」


 マックスはそんなのも知らないのかよくらいのニュアンスで答えた。キング・アーサー? 何だよその伝説の勇者みたいな名前。


「そんなにすごい人なの?」

「お前正気か? アーサー様はかつてこの世界を支配していた魔王サタンを倒したお方だぞ? この世界はもはやあの方のおかげで存在しているようなものだ」

「へぇ〜、その人に会えたりする?」


 言うと、マックスが大爆笑して。


「はっはっはっ! ギャグセンスだけは上級なんだな!」


 マックスのくせに煽りが腹立つな。


「何がおかしいんだよ..! 俺は本気で言ってんだぞ?」

「ああw すまないw そうだな、有名な冒険者にでもなれば会えるかもしれんな! 毎年アーサー様が選りすぐりのS級冒険者を集めて宴会を開くと聞く!」


 ええ..じゃあ会う為には最低でもS級冒険者にならなきゃいけないじゃん..しかも選りすぐりって..なんかやる気無くなってきた..


「そいえば明日ギルドマスターが帰還するらしいから聞いてみたらどうだ?」

「ギルドマスター?」


 次から次へと知らない言葉が..頭がパンクするっての..


「ギルドで1番偉い人だ! 私用があって基本的にギルドに居ない人だがな!」

「へぇ..」


 私用って..そんなんでいいのかギルドマスター..まあしかし本業は異世界移住だ。とりあえず明日ギルドマスターに話を聞いてみるとするか。



 そして翌朝、俺たちは眠い目を擦りながらもギルドマスターに会うべくギルドに向かっていた。寝起きのリサは機嫌が悪いのでなだめるのがかなり面倒だ。


「何でこんな朝っぱらから行動しなきゃならねえんだよ! しばくぞ!」

「仕方ないじゃん! ギルドマスターは午前中しかいないらしいもん!」


 俺だってギルドなんて行きたくねえっての! もう住むとこあるから金稼ぐ必要もねえし!


「ケンタさん..昨日の夜は何してたんです? 笑い声とか聞こえてきましたけど..楽しかったんですか?」


 その時、俺の耳元でストレガが囁いた。いちいち怖いんだよこの子!


「ケンタ! ギルドマスターは高貴なお方だ! くれぐれも無礼のないようにな!」


 マックスはマックスでお節介な母親みたいだし! 何なんだよこいつら! そしてそんなこんなで俺たちはギルドに着いた。扉を開けると、今にも倒れそうなヨボヨボのおじいちゃんがウロウロしていた。見かねたリサが。


「おいじいさん、ここは老人ホームじゃねえぞ? 迷ったんなら行きたいとこ連れてってやっから」

「お? おぬし..爆乳じゃのぉ〜..どれ、いっぺん揉ませてみぃ」


 おいおいじいさん..相手を誰だか分かってんのかよ..リサのやつは神だろうが仏だろうがムカついたら平気でぶん殴るやつだぞ..


「くそじじい..ただえさえ短い寿命縮めてやろうか?! あ?!」


 ほら言わんこっちゃない。もうあのじいさんは助からないだろうと思っていると、マックスがいきなりリサをゲンコツして。


「リサ!! 口の聞き方に気をつけろ!! このお方をどなたと心得る! ここのギルドマスターだぞ?!」

「あ? ギルドマスター?」


 マジで言ってんのか?!言ったら悪いけどこんないつお亡くなりになるかも分からないような変態じいさんが?! しかしこのままではまずい! 俺は即座にリサの頭を無理やり下げ一緒に頭を下げた。


「申し訳ありませんでした!! この女は少々頭の方がアレでしてですね..まあその..若気の至りみたいなものなんです..! ギルドマスターの寛大な心でお許しを!!」

「おい! 何すんだよ!!」

「ばかっ..! この人に嫌われたら異世界移住の目的がおじゃんになるかもしれないんだぞ?!」


 俺は小声でリサに言う。でもあれだろ。この手の人はきっと優しいに違いない! 心を込めて頭を下げれば水に流してくれるはず!!


「お主ら..頭を上げよ」


 やっぱりな。多分このあと『若いのはいい事じゃ..励んでくれ』とか言うはずだ!


「お主らは冒険者クビね。そこの爆乳姉ちゃんが胸揉ませてくれたら許してやらんこともないぞ?」


 このクソジジイ!! 全然心狭いじゃねえか!!






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