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闇と光ー壱の理ー  作者: ハイロリ
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第96話 元鞘に戻る

オレは大好きな匂いに囲まれて声も出さず、目から涙が零れ落ちていた。これから失うであろう彼女達のことを思うと止まらない。昔から別れた後はがっつり泣いてたな。失って苦しくない女など好きと呼んではいけない。そんな相手との恋など恋とはいわない。



傷を埋める為に他の誰かを愛する。でも今回ばかりはそれも出来そうにないかな。代わりはいない。ひとりがひとりに戻るだけだ。所詮そういう星の下にある運命なんだきっと・・・。ん?アリスが慰めてくれている。彼女の鼓動。温もり。感触でわかる。振る時にまでこんな優しさを見せてくれるなんてなんて素敵な女性なのだろう。・・・未練たらたらだなぁ。改めて人間だと思い知らされる。オレは大勢いる中のちっぽけな存在でしかない。それも最底辺にいる量産機に過ぎない。



静かに時だけが過ぎていく。泣いているオレにみんなすりすりしてきている。体中を彼女達に撫で回されている。別れを言うからみんな慰めてくれているんだね。愛した者へ別れる前に愛を届けてくれてるんだ。このまま永遠に時間が止まればいいのに・・・離れたくない・・・。



「・・・慶太。なんでいなくなったの?」



「会いたくなかったから・・・」



一言だけ告げる。だって振られたくなかったんだもん。・・・あれ?みんな悲しい顔をしてる。悲しい顔したいのはこっちなのに。目がうるうるしていて、今にも泣き出しそうだ。最後くらい笑顔を見せてくれよ。



「嫌いになったの?」



「私達のこと好きじゃなくなってしまったのですか?」



「私は離れたくない」



「ダーリンとボクはずっと一緒なの」



「カラスさんじゃなきゃやだ・・・」



「あなた以外の男じゃ満足できないわよ」



「私はキングの物なんだ。嫌と言われてもどこまでもついていく」



ん?様子がおかしい。オレを振るんじゃなかったのか君達は・・・。誰かわかる人教えて。涙を流す8人。この状況よくわかりません。誰もわかる人がいないので素直に聞こうと思います。



「・・・振るんじゃなかったの?」



「「「「「違うっ!」」」」」



おふ・・・綺麗にシンクロした。え?じゃなにするの?殺されるの?



「あの時みんなすんごい怒ってて・・・嫌われたと思って・・・それでいつものように振られるんだろうなぁって・・・別れの言葉を言われるのも受け入れるのも嫌だったから逃亡しました・・・ということで何も言わずに行かせてくれっ!!オレに情けをかけてくれ!」



みんな安心したような顔になっている。オレの切なる思いなのに。行かせてくれるのかと思いつつも、むしろさっきより強く捕縛されている。素直に言ったんだから離して欲しい。もう行かせてくれよ。



「ねぇ・・・離れたくないけど離してもらっていいかな?余計に行くのが辛くなるから・・・」



オレは名残惜しい気持ちを抑え、彼女達に伝えた。一緒にこのままいたい。もう一度彼女達の愛が欲しい。でも後から自分が苦しくなるだけだ。だから早く行きたい。



「・・・慶太ってバカなの?怒ってたのはみんなヤキモチ妬いてただけよ」



「ご主人様が離れてもまた追いかけますよ?今度はこの子も一緒に」



「私達は離さない。どうしても離れたいなら剣で勝ってからにして」



「ダーリンと出会ってボクはひとりじゃなくなった。またボクをひとりにする気なの?」



「カラスさんが他の子となにかしているのを見るとムカムカするの。私達だけを見て」



「可愛らしいベイビーちゃんね。私達はなにがあっても離れない。ずっと一緒にいるわよマイラブ」



「キングは離れられない。私達がもう離さないから」



うん?現実が理解できない。なに振られないの?好きだから怒ってたの?オレ行かなくていいの?



「・・・結局どうなるの?」



「「「「「バカなの?」」」」」



「それは否定しない!だって死んでも治らない自信がある!わかるようにいってくれ」



「慶太はお嫁さんにしてくれるんでしょ?ずっとついてくわよ」



「ご主人様とみんなでこの子を一緒に育てるんですよ。一生離れません」



「ハイロリ様とはこれからも剣だけじゃなくて色んな稽古をするの。私は一緒に成長したい」



「ダーリンはボクらと一緒だよ〜。いつも一緒にいてくれたじゃん。これからもずっと一緒」



「カラスさんに今日可愛がってもらうんだよ。あは」



「世界が滅んでも最後まで一緒にいるわ。だからそばにいてマイラブ」



「みんなキングじゃなきゃダメなんだ。キング以外の男に魅力を感じない。だから私をあなたの女でいさせて欲しい・・・」



なんか話が変わってきた。あれ?オレの勘違い?なんて無駄な日々を過ごしてきたんだ。これは夢なのか?・・・きっとそうなんだ。こんな夢を見せるとは眠りにつくのが怖くなるじゃないか。混乱してきた。ずっと疑問だったんだけど・・・自分を攻撃したくなる気持ちがはじめてわかったぞ。



「・・・これは夢?現実?わかりやすく言うと・・・?」



「「「「「あなたを愛してる」」」」」



・・・涙が溢れてくる。よかった。オレは彼女達と一緒にいれるのか。ホッとしたら涙が止まらない。そんなオレをみんな優しく受け止めてくれている。・・・まったく誰だよ。こんな優しい子達が怖いとか言ったやつ。こんな魅力的な女の子から離れようとする男の気持ちなんてわからないよまったく・・・。



「ごめんなさい・・・。前よりも君達を愛しています。だからずっとそばにいてください。ひとりにしないでください」



みんな可愛い笑顔で返事してくれた。オレの根源にあるものは彼女達なんだ。彼女達のためならオレはたとえ宇宙ですら滅ぼしてみせる。今日はいっぱい甘えたい。彼女達もそうだろうから激甘ネオだな。うんうん。



「小僧・・・よかったのぉ」



「おいっ!?なんで泣いてるんだ?」



「馬鹿者っ!!こんなええ話ないじゃろ!?感動的な再会ではないかっ!!お主らは血も涙もないのかっ!!」



「「「えぇぇぇぇ・・・」」」



「ハイロリよかったね。あんたの勘違いだけどね。あたしも1日だけハイロリの彼女になれるし・・・なにしようかな〜〜、むふふ」



「さて儂もそろそろ新しい女を物色するかの。おお、そうじゃ!その前にあいつを呼んでおかんとな・・・。ではお前ら楽しかったぞ。儂は帰るでな」



清十郎は空間にパンチを放つ。空間に裂け目ができている。4人の目の前から彼は消えていった。



「久しぶりだったな」



「うん。本当にハイロリ君の師匠をしているようだね」



「まだ闘い足りねぇぞおい!誰か相手になれや!」



「やっぱりぃ・・・一日中あたしの部屋でデートかなぁ。あぁ待ち遠しくて眠れなさそう」



「フーカ・・・お前はいったい何をしにここにきたんだ・・・」



かくして無意味な争いは終わった。ハイロリが勝手に勘違いし、勝手に逃げた。彼と彼女達は元鞘に戻った。そしてこれから彼という刀が彼女達という鞘に納刀されることになる。深い意味は決してない。

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