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闇と光ー壱の理ー  作者: ハイロリ
第0エリア
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第1話 始まりの日

ようやくここまできた・・・。諦めていた生から盛り返したな。今世ではないと思っていた。だがその力が今のオレにはある。ついにオレの悲願が開始される。


「いよいよだな。大演説を期待してるぞ」


「アニキならかっこよく決めてくれるっす」


「ダーリン派手好きだからね。あんまり先走らないでね」


仲間達から声が掛けられる。2人の男性。そして12人の女性が後ろにいた。


「せっかくだし思い出にでも浸るか?ここまでくるのに色々あったな・・・」


「いや・・・主にお前が色々したんだけどな・・・」


「アニキの影響力はハンパなかったっす」


「あれぇ?私達も色々ありましたよね?」


「そうそう私達もあったわよね?」


2人の女性の言葉にたじたじになる男性2人。


「ふっ・・・。別に時間はたっぷりある。これからまた忙しくなる。少しくらいなら各々浸ってもいいだろ」


「出た!ダーリンのふざけ癖。でもそうゆうとこも好き」


あれは梅雨も明けた暑い日。季節外れのメス2匹を引き連れたツバメが飛来した。ツバメと目が合う。なんだか自慢されているような気がした。その後そいつらは5羽の雛を育てていた。今は何をしているのだろうか。あいつらが赤子を育てている時。その時からオレの新たな世界が始まったんだったな。今では考えられないな。あの時のオレは無気力だった・・・。



オレは絶望している。なにをやっても楽しいとは感じない。ただ無気力に生きている。

だが周りから見れば普通の人に見えているだろう。


絶望感を漂わせている人がたまにいる。しかしその人達は絶望の深淵にいる人外か、かまってちゃんのただのザルかのどちらかである。少なくともオレはそう思っている。生きてきた中でオレはザルの方の人間しか見たことはない。


絶望している人間は紛れている。向こうに見えている人、あなたの隣の人も本当は絶望しているかもしれない。その心の中はただ無が漂っている。ただそれは当人にしかわからない。


絶望しているから死にたい。死にたいとは思うがそれは今じゃなくていい。死んで無になるのは楽だ。生きていても無ならそれもまた変わらないのではないか。ただ無で生き続けるのは、とても苦しい。苦しい故に生きていると言えるのだろうか。無の先にあるものはいったい何が待っているのだろうか。


唯一の例外はある。愛する女性がいた場合、その無は彼女によって満たされていく。人間危機的状況になると性欲が増す。無というのは危機的状況ということになるのだろうか。自分のことを色欲の眷属ではないのか思うくらい性欲は強い。だが誰でもよいわけではない。愛せる者でなくてはならない。


そんなオレにもやりたいことはあった。生きていく中で社会に対しての不満が積もりに積もっていた。国や世界の上層部、決して姿を現さない裏で暗躍する支配者層。対応や情報について疑問を抱くことが多い。国を獲って国を動かしたい。思うがままに国を作りたい。だがそんなことを実行する力はオレにない。戦なき世に生まれたかった。よく聞く言葉だがそうは思わない。オレは戦ある世に生まれたかった。2020年現在この願いは叶わない世の中である。来世があるのかは知らない。無気力に生きることも来世のための充電期間として位置づけている。


オレには子供が2人いる。その子供達が成人するまで育てあげることだけは使命だと感じている。ちゃんと子育てなどオレにできていないのだろう。だがそれはオレがやらなければならない。現在は非現実的なネット小説を読んで現実逃避しながら、子育てをしている毎日だ。また日に日に大きくなるツバメの雛達を見守るのも日課となっている。自然の姿を眺めているのは心が落ち着く。


バツ1なのでパートナーはいない。男を作って出て行ったからだ。離婚する際、子供が成人するまで待ってくれと言った。しかし願いは叶わなかった。ちなみにオレは無駄に一途である。どんなことをされようと一度好きになってしまった人に対しては好きという気持ちは抑えられない。振られて別れる度に傷口はより深くどんどん大きくなっていった。裏切られて信じれない。でも好きだから信じる。相反するものが押し合い続けると感情は反転する。別れた相手に対しては生まれて初めてのことだが、殺意を持った。好きという気持ちが強ければ強いほど、生まれる殺意は強くなる。オレにとって初めて敵ができた瞬間だった。


ある日、荷物が届いた。


そこからオレの環境は変わっていった。


「ゔぅーー・・・ワンワンッ!!ワンワンッ!!」


急に犬が吠え出した。


ピンポーン!!!


どうやら人が来たようだ。


このわんちゃんは小型犬なのだが、誰かくると吠える。基本、吠える。特に配達員に対して無駄に敵意を持っている。でもご主人様に対しては忠犬なんだよ。性別はなんと超越しているニューカマーの元女の子!!去勢しただけなんですけどね。うん。


「こんにちは。悪七慶太さんにお届けものです」


そういえばオレの名前は悪七慶太(あくしちけいた)。歳は今年で34歳バツ1彼女募集しております。いったい誰に向かって言っているのだろうか?


「はーい!ちょっと待ってくださーい!」


「ハウスっ!」


とりあえずわんちゃんをいつものように黙らせておいてオレは玄関に向かった。


届いたものは小さめのダンボールだった。誰からきたものかと確認しようとしたら書いていなかった。新手の詐欺であろうか?はたまた爆弾?その時はその時だな。うん。まぁ開けてもなんとかなるさぁー。


多少の疑惑を持ちながら開けてみた。中身は1枚の手紙と透き通った小さめの宝石のようなものだった。


なんだこれ?ガチで詐欺なんじゃね?とりあえず手紙を見てみてよう。


おめでとうございます。

この度、悪七慶太様はVR技術を用いたゲーム形式プロジェクトのβテスターに当選致しました。ご参加いただける場合のみ、お呼びさせていただきます。

尚、一度ご参加の意思を示された方は途中で辞退および帰宅することが不可能となりますのでご了承ください。

プレイ中の身体的サポート等は充実しておりますので、ご安心ください。

ご参加いただけた方には、1億円を報酬とさせていただきます。

生死に関して責任を負いかねる世界もございますが、ご了承ください。

この手紙の内容を他者に伝えようとする又は、参加、不参加が決定した場合、自動的に消滅致します。

スタッフ一同ご参加いただけることをお待ちしております。


ふむ・・・。なにから言ってよいのか正直わからない。まずVRとはあのネット小説とかによくあるものなのだろうか?この時代にはそんな技術存在していない。どんだけハイテクなのよ。


参加したら辞退、帰宅ができない?まぁデータを集める上ではその方が効率的に集めることはできるのだろう。帰宅できないって拉致事件なのか?身体的サポートうんぬんというと本当にVRゲームにインできるということなのか?いや・・・それはありえないよな・・・。参加するだけで1億円?よくある詐欺じゃないか。死ぬことあるってデスゲームというやつですか。自動的に消滅って某スパイ映画のような機能がついてるんですね?


突っ込み所満載の新手の詐欺だ。ハイテク逆身代金拉致詐欺といったところですか。迷宮入りしそうな名前だな。というか・・・こんなのに引っかかるやついるんですかっていうレベルの内容。


でもゲームは好きだったんだよな。ハマると廃人レベルにやり込む。結婚前は課金もそれなりにしていた。今はやっていないんだけどもね。よく読むVR小説のようなものならやってみたいとは思う。おもしろそうだからな。


本当なら参加したい!


・・・なんてな。そう思ったことが一生の不覚であった。


「ご参加ありがとうございます。これより、ご案内を開始致します」


どこからともなく脳内に機械音声のようなものが聞こえてきた。


「はいっ?」


パリンッ!!!


宝石のようなものがその瞬間割れた。


「へっ・・・?」


すると、目の前が光に埋め尽くされた。


ちょ・・・まってなにこれ!心の声も虚しく身体に奇妙な感覚を感じた。


「2人のことは戻ってくるまで頼んだぞ!!」


何かが自分に起こると思いオレは子供達のことを近くの愛犬に託した。それは一瞬のことではあったが奇妙な感覚は消えた。


目を開けてみると・・・。


「ここ・・・どこよ?えっ・・・???」

読みたい作品があっても最後まで見ることができないので自分で作ってみることにしました。作者の国語能力が低いため小説の基本というものはできていません。言葉なんてわかればいいよね?精神で書いていきます。本編100話。そして別編50話と5話書き溜めてあります。別編は頃合いを見て投稿していく予定です。ストックがあるうちは毎日投稿します。こつこつストックを書き溜めていこうと思います。

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