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プロローグ

とあるゲームをしていたら書きたくなったので書きました。

 西暦2045年。石油や食料等の物資枯渇が原因となり、第三次世界対戦が勃発した。

 10年続いた戦争は、数億人の犠牲のもと各国の調停により終戦した。終戦の主な要因が、戦争による物資消費の加速、それによる餓死や武器、弾薬の不足なのはなんとも皮肉なことだろう。

 戦争の被害は人間だけに留まらない。工場や農場、森なども壊され、焼かれ、爆撃された。田畑は焼け、家畜は死んだ。

 食料の枯渇による餓死が目前に迫り、多くの人が絶望するなか注目されたのが昆虫食だった。

 昆虫食自体は数十年前から話題にはなっていたが、かなりの人が虫を食べることに否定的だった。しかし、現状我儘を言っている段階は過ぎた。食べるか死ぬかしか選択は残っていない。

 しかし問題もある。牛や豚などの家畜と違い、虫はかなりの数を食べないと腹は満たされない。世界にはまだ数十億という人間が生き残っている。人一人が一日に大小合わせ100匹食べると考えると、最低でも一日に数千億の虫が必要になる。

 そんな数誰が集めるというのか、そこで全世界が協力してある研究が行われた。

 虫を大量に集めるのは困難。なら一匹から取れる肉の量を増やせばいい。つまり、虫の巨大化を研究したのだ。

 研究開始から15年。農業や酪農もある程度回復し、餓死者の数は年々減少していた。それでも全世界の人間に食料が行き渡る訳ではない。15年たった今でも研究の早期成功が望まれているが、未だ成功の目処はたっていなかった。

 それからさらに10年。ついに虫を巨大化させる事に成功した。1センチ程のアリを1メートルにまで巨大化する事ができたのである。その研究機関はすぐさま全世界に巨大化の方法を発信し、世界各地で巨大化の成功が報告された。

 全人類は喜んだ。これで平和になると信じて。




 研究成功から20年、巨大昆虫のおかげで食生活は安定した。さらに服飾関係でも劇的な効果を発揮した。巨大蚕による大量のシルクを確保出来たのだ。現在ほとんどの人がシルクの服を着てる。

 そんなある日、一つのニュースが流れた。日本にある昆虫巨大化の研究施設の一つが爆発事故を起こしたというものだ。

 日本の政府は、この事故による生活への影響は無いと報じた。

 たしかに、爆発による死傷者も無く、山奥にある施設だったため、近隣住民の被害も無い。研究施設も複数ある一つなので、食への影響もほぼ無く、数日もすれば話題にも上らなくなった。

 しかし、この時人類滅亡への一歩は確実に踏み出されていた。




 事の始まりは爆発事故から1ヶ月経った後だった。

 事故現場近くの町の住人から警察に一本の電話が入った。

 内容は、巨大な蟻が町の中を歩いているのを見たというものだった。警察はすぐに動き出した。しかし、町中を探しても発見することが出来ず、情報提供依頼の張り紙を各所にして撤収した。

 それから1週間がたった時。今度は複数人からの目撃情報が届いた。警察はこの事態を重く受け止め、隣町に応援要請を出し、100名以上の警察で捜査網を張った。

 捜査網を張った次の日4人一組で動いていた警察の1班が巨大な蟻を発見。1人が本部に連絡している時事件は起きた。

 なんと、蟻が突然警察に襲いかかり、1人を食い殺したのだ。その場で他の3人が持っていた拳銃を発砲。10発以上の弾丸を放ちこれを殺害した。

 この騒ぎを聞き付け、多くのマスコミが押し寄せた。しかし、警察側は「彼らは自らの命を守るために発砲したのであり、必要な事であった。もし、彼らが発砲しなかった場合、住民にも被害が及んでいた危険性がある」と発表した。

 マスコミはこの事を面白おかしく報道した。まるで警察が悪いかのように。しかし、町民が気が気でなかった。それもそうだろう。同じ町の中で人が1人食い殺されたのだから。

 ここで疑問が起こる。そもそもなんで巨大昆虫が町に現れたのか。思い出されるのは1ヶ月前の爆発事故。しかし、政府は事故当時、巨大化していた昆虫はすべて焼け死んだと発表している。もちろん事故後に周辺を自衛隊が捜索し、生き延びた個体がいないのも確認している。

 では、なぜか。

 答えは、巨大化させる薬品にあった。薬品と言っているが、正確にはガスのようなもので、爆発のさいにすべて燃焼したと考えられていた。しかし、実際は想像以上に熱に強く。爆発でもすべてが燃える事無く周囲に拡散してしまったのだ。

 森の中でそのガスは拡散した。さらに事態を悪化させる要因になったのが、そのガスが空気よりも重いということだった。

 空気よりも重いこのガスは森の中でしばらくその効果を発揮した。

 その結果が今回の事件の顛末である。

 この事が判明したのが、事件発生から2ヶ月後の事であった。

 しかし、すべてが遅すぎたのだ。

 政府はすぐに自衛隊の派遣を決定した。巨大化してしまった虫の駆除である。

 総勢500名の自衛隊を派遣した。

 結果は悲惨の一言に尽きる。森の中で巨大蟻の巣を発見。巣の破壊を決行するも失敗。蟻の大群に襲われ200名以上の隊員が命を落とした。

 政府はこれを受け、作戦の凍結を発表。森の周辺を隔離し、ヘリによる強力な殺虫剤の散布を決定した。

 自衛隊撤退から1週間後、殺虫剤の散布が行われた。

 しかし、巨大化した蟻の生命力は伊達ではなかった。殺虫剤を散布されても、支障らしい支障を見せず元気に活動していた。

 政府の行動は早かった。殺虫剤散布が効果無しと分かると。作戦の失敗を発表。さらに、重要都市に巨大な壁を作り人間の生存圏を確保する事を発表した。

 つまり、他の土地を虫供に明け渡す事を決めたのである。

 これを聞き多くの日本人が激怒した。「蟻なんかに我らの土地を明け渡すとは何事か」「この事態の責任は誰がとるのか」など。

 自分の安全を考えた人達は外国への移住を決断した。

 しかし、悲劇は連鎖する。

 中国と、アメリカでも研究所の爆発事故が起こったのだ。




 人類は選択を迫られた。

 生きるために戦うか。

 すべてを諦めて死ぬか。


お読みいただきありがとうございました。


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