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さぁ、 2-2

 子供も親も大喜びしてくれた俺たちのボランティアサンタ活動は大成功に終わった。

 他のボランティア参加者はそれぞれ事務所に戻ってきた後それぞれ打ち上げと称して飲み会をしに街に出ていた。

 俺も萩岡さんから誘われたが適当に理由をつけて断った。

「あれっ、ケン君は打ち上げ行かなかったの?」

 事務所の倉庫で衣装の整理をしていたアカリさんは俺に気付くと驚いたように言ってきた。

「……手伝うよ」

 俺はアカリさんの横に並ぶ。

 アカリさんは少し考えた後「ありがとっ!」と笑ってくれた。

 アカリさんはこういう人なのだ。

 誰よりも夢に真面目で、誰よりも優しい。

「ケン君って優しいよね」

 アカリさんの言葉は俺の胸をむず痒くする。

「あれっ? 無視しないでよ」

 アカリさんの笑顔は俺の胸をかき乱す。

「それともサンタさんって呼ばれる方がしっくりくる? ねぇねぇ、サンタさん?」

 いたずらっぽいアカリさんの笑顔は俺の胸を切なくさせる。

「……なんだい、ルドルフ?」おどけ気味に俺がサンタの口調で応えるとアカリさんは満面の笑みのまま「ねぇ、サンタさん?」と言い「来年も一緒にプレゼント配ろう?」と小首を傾げながら言ってきた。

 視線が合う。

 冬の風が二人だけの事務所の窓を叩いた。


 俺たちがお互いを「ケン」「アカリ」と呼び合うようになったのは、そのしばらく後からだった。

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