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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode4 オークション編

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人間不信

ケヴィン視点です。

 俺が警察にかけようとしたらなった電話。

 また知らん親戚とかだろうとは思いつつも、一応出てみた。


「はい」

「あんたがケヴィンか?」


 確認してくるって事は親戚じゃないのか?

 電話に出た最初から、随分と高圧的な感じの男だ。


「俺がケヴィンだが、何か用か?」

「お前、何て可哀想な事をしたんだ! 心がないのか!」


 俺が名乗ると、電話越しでいきなり叫んできやがった。

 しかも何が言いたいのかよく分からない。


「お前はその子に直接会ったんだろう? だったらどれだけイヤリングを大切にしていたのかだって、分かっただろうが! それなのに……」


 とりあえず煩いので電話をきった。

 イヤリングがどうのと言っていたし、この生放送を見てかけてきたんだろう。


 少しテレビの様子をみると、桜野奏海がイヤリングの持ち主である友人の事を喋っていたようで、


「彼女がどれだけこのイヤリングを大切にしていたのかは、私もよく知っています。今はお金の事なんかより、無事にイヤリングを返せるという事に安堵しています」


等とのたまっていた。

 どうやら俺を電話地獄に落としておいて、自分は友人のためにイヤリングを取り返したという美談を語っていたようだ。

 全く、何処までも腹立つガキ共だ。


 大体、何で落ちてた物を拾って売っただけなのに、こんなに文句を言われなきゃいけないんだ。

 そもそも、そんな大事なもんなら落とすなよ!


 俺は間違っていない。

 誰だって小銭が落ちてたら、自分の財布にしまうもんじゃないか!

 その程度の窃盗なんて、誰もがやってるレベルだろうが!


♪♪♪♪♪


 また電話が鳴りやがった。

 どんな奴か知らねぇが、俺ももう好き勝手に言われて腹がたってるんだ。

 この電話相手に八つ当たりでもするか……

 電話を無駄に長引かせてやろうか……

 今度は俺も何か言い返してやろうと考えながら、電話に出た。


「はい」

「おう、ケヴィン! 今からお前の家に行くからな!」

「は? どこの誰だ?」

「決まってんだろ! 俺だよ俺、別に知り合いでも何でもねぇ俺だよ!」

「はぁ!?」


 なんだコイツ……何言ってんだ?


「ケチケチすんなよ、いいだろ? 大金を手に入れたんだ! 無賃の俺に恵んでくれよ! じゃ、今から行くからなー!」


 向こうから電話を切りやがった。

 今から行くとか言ってたが、来てどうするつもりだ?

 まぁ来ても追い返すだけだが……

 大体俺だってまだ金を貰ってもないのに、何でこんなバカばっかりなんだ。


 ……いや、ちょっと待てよ?

 何で知らねぇ奴なのに俺の電話番号を知ってたんだ?

 そういえば、その前の奴もそうだったな……

 確か固定電話は住所を登録していたはずだ……

 ということはまさか、調べれば誰にだって俺の事がバレるって事か!


 考えたらゾッとした……

 この放送は生放送だ。

 しかも各国に放送されてしまっている。

 その中の何人が俺の事を調べるだろうか?

 何人が俺の金を狙い、襲って来るのだろうか?


 くそっ! 桜野奏海……ふざけやがって!


 こうなったもう金を早急に使いきるしか手はないな。

 家がバレたのなら、おそらく俺の所にも取材陣は来るだろう。

 だからそこでもう金は全て使いきったと言えばいい。


 実際に家のセキュリティ強化に相当な額を使うだろうし、1億ドルも使いきれる……いや、1億ドルだぞ? 使いきれる訳がない。

 まぁ多少は家族や友人達にくばって……

 俺に最後10万ドルくらいは残るように……あーくそっ! 金額が桁違いすぎて、計算が出来ない!

 大体セキュリティ強化なんて、1日で出来るもんでもないし、そんな事をしている間に襲われてしまうかも知れないじゃないか!


 もしかしたらさっき電話してきた奴以外にも、俺の家に来ようとしている奴がいるかもしれない。

 いや、確実にいるだろう。

 それどころかさっきから外にいた男達は、今家に入れそうな所から入ろうとしている。

 流石に不法侵入だと思って踏みとどまってるみたいだが、他に入ろうとする奴等が来たら、誰もが我先にと入ってくるに違いない。


 金を手に入れる事しか考えてなくて、犯罪になるって事も忘れて家を壊してくるかもしれない……

 家だけでなく、俺を殺そうとしてくる奴もいるかもしれない……

 そんな危ない奴等とは、話をしたって解決できる訳がない!

 何よりもまず、俺の身を守らないといけないんだ!


 なってる電話を急いできって、警察にかけるか……

 だか待てよ……よくよく考えてみたら、警察にかけた所で本当に安全か?

 警察が確実に守ってくれるとも限らないし、警察だからって俺の金を狙う可能性がない訳じゃないんだ……


 金が入ってすぐ、他国にでも逃げればいいか?

 いや、そんなの一番狙われる奴じゃないか!

 冷静になれ、冷静になるんだ俺……


♪♪♪♪♪


 まだ鳴り響いている電話。

 警察に通報したいが、正直警察も信用出来ない。

 そうなるとセキュリティ会社だって信用出来ない。

 もう誰も、何も信用出来ないじゃないか……


 終わりだ……

 一体どうしたらいいんだ……

 どうしたら、俺の身の安全は保たれるんだ?

 このままでは俺は殺される……

 体の震えが止まらなくなってきてしまった。


 俺が襲われない為には……

 そうだ、そもそも金をもらわなければいいんじゃないか!

 だが既に、世界中の奴に俺が金を手に入れるということが知られてしまっている……

 俺が金を持っていないということを、全ての人に知ってもらわなければいけない。

 その為には……もうこの方法しかない!


 俺は鳴り響く電話を急いで切って、俺の方から電話をかけた。

 相手は警察……ではなく、オークションの主催グループにだ……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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