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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode4 オークション編

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パラサイト

ケヴィン視点です。

 生放送の特番で、桜野奏海は俺の名前を言いやがった。

 しかもどこに住んでるかまでもバラされ、俺が匿名で出品した意味はなくなった。

 あのガキ、あの時の俺の態度に腹が立ったんだろうが、こんな風に仕返しをしてくるとは……


 なんてたちの悪いガキだ。

 確かに同じイヤリングを見せながら、大事なものだ、返してほしいとは言っていたが、それしか言わなかった。

 金持ちの知り合いがいるとも言わなかったし、俺がオークションに出すと言ったら、諦めたように帰って行ったくせに……

 

「お、おいっ! ここだ、ここだよケヴィン・グリーンの家!」

「マジかよ……」

「こんな偶然あるんだな……いいよなぁ、拾いもんで大金ゲットとか」

「なぁ、ちょっとインターホン押してみようぜ!」

「それでケヴィン・グリーンが出てきたら、どうするんだよ?」

「そりゃ、インタビューするに決まってんだろ!」


 外の男達が、俺が匿名出品のケヴィン・グリーンだと気づきやがった。

 何がインタビューだ。

 俺はインターホンがなっても、絶対に出てやる気なんてないからな! と、思っていると、


♪♪♪♪♪


インターホンではなく、俺の携帯がなった。

 5年前に別れた彼女からだ……


「何の用だ?」

「あっ! ケヴィン、久しぶりね。ねぇ、少し話したい事があるんだけど、会えないかしら?」

「はぁ? お前とは終わったんだ、会う気なんてないぞ」

「そう言わないでよ。あの頃の事は謝るから」


 急になんだ? アイツらしくないな……

 いつも高飛車なアイツが、俺に謝るなんてあり得ないだろう。

 まさかっ! アイツ、この生放送を見てたんじゃないか?

 それで俺だと気づいて、俺の金を狙ってかけてきたんだな。


「お前とはもう会わん!」

「あっ! ちょ……」


 電話は切ってやった。

 だがアイツなら、諦めずに家にまで押し掛けて来るかもしれないな……と、思っていると、


♪♪♪♪♪


と、また携帯がなった。

 全くしつこいな、またアイツか? と思うと、今度は学生時代の友人からだった。

 でも向こうは結婚して子供も出来て忙しいとかで、もう10年以上は会ってない。

 そんな奴が今、このタイミングでかけてくるか?


「久しぶりだな、どうした?」

「いやー、本当に久しぶりだよな! なぁ、久しぶりに会わないか? お互い最近の話と聞きたいし」


 前に俺が遊びに誘った時、お前は拒否したじゃないか。

 その時に言われた言葉を送り返してやる!


「悪いが俺は忙しくてな、お前の為の時間はとれそうにない」


 俺があの時どれだけ腹がたったか、お前に分かるか?

という思いで、俺は言い返したのに、


「そうか……なら、俺が遊びに行くよ! わざわざ来てもらうのも悪いし、今度の休みに行くから」


と、勝手に会いに来るつもりでいやがる。

 せめてあの時の事を謝るんだったら、少しは奢ってやってもいいかと思ったが、必要ないな。

 今までなんの連絡もなかったくせに、俺に金が入ったと分かった途端に友人面とかウザすぎるだろ!


「悪いがその日、俺は出掛けてる。忙しいから切るぞ」

「おい……」


 どいつもこいつも……本当にいい加減にしろってんだ。

 1億ドルは全て俺の物だ!

 絶対に誰からの誘いでも断ってやる!


♪♪♪♪♪


 今度は家の固定電話が鳴った。

 友人や、元カノなら携帯にかけてくるし、固定電話ならこの生放送に関係ない、本当に俺に用事がある奴だろう……


「はい」

「あぁ、ケヴィン君、久しぶりだねぇ」

「すいませんが、どちら様で?」

「ん? ほら、君のお爺さんのお兄さんのとこの方の……まぁ、前にあっただろう? 昔から君のお父さんとは仲が良くてねぇ。ケヴィン君ともよく遊んだじゃないか」

「はぁ、そうでしたか?」


 誰かと思ったら、遠い親戚の誰かだった。

 本当に誰だかも覚えてない……


「いや、実は今日電話したのは、うちの母親の病気がちょっと重くてねぇ。手術費用が結構かかりそうなんだ」

「そうですか、大変ですね」

「何だ? まるで他人事みたいに言うなぁ」

「全然覚えてないんで……」

「そう冷たい事を言うもんじゃないよ」


プップッ プップッ


 ん? キャッチホンがなってるな……


「まぁ、なんだ……久しぶりに会いに来ないか? 母さんも会いたがってるんだ。母さんは本当にケヴィン君の事を大切に思ってるんだよ」

「俺、金ないんで」

「はぁ? 何で? だって君……」

「じゃ、失礼します」


 よく分からん親戚からの電話も切る。

 さっきキャッチホンがなってたのも、どうせ今の感じだろう。


♪♪♪♪♪


 また携帯がなってるな……

 もう電源を切っておくか。

ったく、桜野奏海……とんでもなく迷惑な事をしてくれたもんだ……


 こりゃ金が入ったら早々に引っ越して、セキュリティの強化をした方がいいか?

 いや、そんなのに金使ってたら例え1億ドルといえど、すぐに無くなっちまうじゃねぇーか!

 どうしたもんか……


「もう絶対に間違いねぇよ!」

「そうだな! さっきから滅茶苦茶電話が鳴ってたしな!」


ピンポーン! ピンポーン!


 窓から聞こえる外の男達の声が聞こえたと思ったら、インターホンを鳴らして来やがった。

 誰が出てやるか!


「おい、出ねぇぞ」

「でも絶対に中にいるはずだろ?」

「ってか、そこから入れるじゃん」

「本当だ。ここから入ったら、庭からケヴィンに会えるんじゃねぇか?」

「そうかもな!」


 はぁ!?

 あの男達、なに考えてんだ! 不法侵入だぞっ!

 兎に角、警察に電話か……

 携帯はさっき電源を切っちまったし……


♪♪♪♪♪


 固定電話から警察にかけようとすると、逆に固定電話がなった。

 俺はこの電話地獄のせいで、警察に電話をかける事も出来なくなっていた……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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