暴露
ケヴィン視点です。
オークションの放送は、イヤリング落札の緊急生放送に変わった。
俺の出したイヤリングが1億ドル……
俺の1億ドル……
ははっ! 1億ドル! 1億ドルが俺の物!
「ミス桜野が当オークションにて、1億ドルでイヤリングを落札されました! そしてこちらに、ミス桜野に来ていただいております!」
テレビ画面にかなりアップでイヤリングを落札した、桜野奏海という女が映される。
結構美人だな……でも何か若過ぎないか?
まだ学生……10代位のガキに見えるんだが……
まぁ、何でもいい!
ありがとうな! ミス桜野!
お前がそのイヤリングを気に入ってくれたお陰で、1億ドルが俺の物に……
1億ドルだぞ、1億ドル……
「各国が生放送で全世界にお届けしておりますよ! どうですか? 今の心境は?」
「そうですね。こういった経験は初めてですので、とても緊張しています」
何だろうな……
この女のこの感じ……
何でか、桜野奏海がテレビに映ってるだけなのに、やけに目が合うような気がする……
まぁ単にカメラ目線なだけだろうが、この女のこの目は、背筋が凍りつくような冷たい感じがしてしょうがない。
「やっぱり可愛いよな、桜野奏海」
「おいっ!」
「緊張してるんだってさ」
「いや、絶対嘘だろ!」
外にはまだ男達がいるみたいだ。
窓が空いているので会話が聞こえる。
「ははっ、では早速ですが、こちらがミス桜野が1億ドルで落札したイヤリングです」
今度はテレビにアップでイヤリングが映された。
間違いない! 俺が出品した、あのイヤリングだ。
「おおぉぉぉぉぉおおっ!」
会見の会場から凄い歓声があがっている。
「おぉ! すげぇな! これがあれか!」
「おい、語彙力なくなってるぞ。確かに凄いけど」
外の男達も興奮している。
あれの価値を知っている俺からすると、あのイヤリングはそこまで凄いもんでもない。
俺は5万ドルいけばいい方だと思ってたんだ。
まさかこんなことになるとはな……
それもこれも、あの女がこのイヤリングを欲しがったお陰だ。
大した物でなくとも、有名人が欲しがれば凄い物になるんだな。
いい勉強になった、今後も覚えておこう!
何せ俺はこれから、VIPの仲間入りをするんだからな!
「それにしてもミス桜野、あなたは何故このイヤリングを落札されたのですか?」
生放送の司会者が、落札理由を尋ねた。
「お、いよいよ買った理由を言うみたいだぞ」
「俺は、匿名の出品者と裏で何か繋がってる説に1票だな」
「仮にそうだとしても言わんだろ」
「そりゃそうか」
匿名の出品者とは何も関係ねぇよ、バーカって、外の男達に言いたい……
誰もがイヤリングを買った理由に注目しているみたいだが、そりゃデザインが気に入ったからだろ?
俺と繋がってないんだから、それしかない筈だ。
だがこんな生放送にまでなって、そんなこと言えるのか?
と、俺が思っていると、
「実はこのイヤリング、私の友人の物なんです」
という、俺の予想とはかけ離れた言葉を発した……
友人の物? 友人……友人ってまさか、この女とあのガキが知り合いだってのか!?
なんだよ、あのガキ……
だったらそう言えよ。
それなら俺もオークションに出すとかしないで、直でこの女と交渉に行けてたのに……
その方が直接この、桜野奏海と知り合いになれて、これからVIPになる俺にはいい繋がりが……
いやいや、まてまて!
最初にこんな金持ちの女が来て、イヤリングを10万ドルでって言われたら、あの時の俺なら渡してたぞ!
やっぱりオークションに出して大正解だったんだ!
あの時はオークションとか出してみたかったとしか思ってなかったが、流石は俺様! 冴えてるぜ!
でもあのガキも返して欲しいばかりじゃなくて、お礼にどれだけ出すって話を何でしなかったんだろうな?
そういう話もなしに、ただ返して欲しいとだけ喚くガキだったから、てっきり金がないんだと思ったのにな……
俺が自画自賛しながら考えていると、
「おい、聞いたか! △△の◇◇だってよ! ここじゃねぇか!」
「凄い偶然だな!」
という、外の男達の声が聞こえた。
急に何の話だ?
あの男達は俺と同じ生放送を見てるはず……
あの女が何か言ったのか?
「その落としたイヤリングは◇◇の近くに住んでいらっしゃる、ケヴィン・グリーンという方が拾って下さったそうなのですが……」
って、おいおい、おいおいっ!
俺の名前、出してんじゃねぇかっ!
「ス、ストップ、ミス桜野。生放送中ですので、あまり名前とかは……」
「あっ! すみません……こういった事に慣れていないもので……」
「いえ、次からお気をつけ下さいね。続きをどうぞ」
いや、次からじゃねぇーよ。
俺が匿名で出品した意味、考えろよ!
「その……えっと、イヤリングを拾って下さった方に友人が、そのイヤリングは自分の物だから返して欲しいと頼んだのですが、聞いてもらえなくて……」
当たり前だろーがっ!
折角拾った高そうなイヤリングだぞ。
何であんなガキにくれてやらないといけないんだっ!
あっ! まさかコイツ……
この女があのガキの知り合いだってんなら、今俺の名前を言ったのはわざとか?
俺がイヤリングを渡さなかったからって、嫌がらせをしてきてるんだな……
全く、ふざけたガキ共だ。
読んでいただきありがとうございます(*^^*)




