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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode3 少年誘拐加害者編

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情緒不安定

創太視点です。

 いつもパソコンをカタカタとやっていたななさんは、今日は仕事がないのか、全くパソコンを触らずに僕の話を聞いてくれていた。

 それもずっと僕の方を見ながら聞いてくれていたので、それがとても嬉しくて、今日の学校での出来事を無駄に沢山話してしまった。

 確かに駿介と友人になれた事は良かったけど、そんなに楽しいことがあった訳でもないのに……


「すみません。なんか沢山話したら喉が乾きました。お茶もらいますね」

「ならついでに、私にも何か飲み物をいれてくれる?」

「何でもいいんですか?」

「えぇ」


 自分にお茶、ななさんにはコーヒーをいれて部屋へ持っていく。

 その間にななさんはパソコンを取り出していた。

 やっぱり仕事があるんだろう。

 つまりさっきまでは、仕事より僕の話を優先してくれていたという事だ。

 それが分かって、より嬉しさが込み上げてくる。

 今日は情緒の忙しい日だな。


「ななさん、どうぞ」

「ありがとう」


 コーヒーをななさんに渡す。

 いつもと同じの、落ち着いた感じで受け取ってくれる。

 昨日のお茶を渡した時の、無防備なかわいい感じはもう消え去ってしまったみたいだ……

 まぁ、元気になってくれたみたいで良かったけど……


「あ……ねぇ創太。1つ聞いてもいいかしら?」

「なんですか?」


 僕が無防備ななさんとの別れを惜しんでいると、何かを思い出したようにななさんに声をかけられた。

 ななさんから僕に質問なんて珍しい……


「ほら、前に私が携帯渡してるのに、創太が受け取らなかった事あったわよね?」

「はい」

「あの時、何で受け取らなかったの? 私には理解できない行動だから気になってたのよね」


 そういえば、仕事ばかりのななさんからパソコンを遠ざけたくて、そんな事もしてたな……

 あれは結局失敗だったけど。


「あー、あれは、その……」

「なんか言いにくい事?」


 失敗してて情けないし、言いにくいかといえば言いにくいんだけど……

 でもななさんに変に思われるよりは、言ってしまった方がいいな。


「いえ、あれはななさんをパソコンから遠ざけたかったんです」

「え?」

「ななさん、ずっとパソコンやってるじゃないですか。ご飯中も授業中も、見てなくても左手はずっとパソコンやってたので、流石にちょっと心配で……」


 あの時、もしパソコンを上手く遠ざけて、ななさんを休ませれていたとしたら、ななさんは倒れなかったのだろうか?

 いや、それはそれで仕事を遅らせる事になるんだから、余計に倒れてたのか?

 もうよく分からないな……


「ななさんがパソコンから離れるのは、トイレに行く時か僕に携帯を渡しにくる時だけだったので、僕が携帯を受け取らなければ、ななさんはその間だけでもパソコンから離れると思ったんです……」


 僕があの時の行動の意味を説明すると、ななさんは少し驚いた顔をした。

 流石にそんな理由だとは思ってなかったんだろう。


「あと、トイレに閉じ込めてみようかとも思いましたよ。でもそれは多分、ななさんはドアを壊して出てくると思ったのでやめました」


 ついでに、実行はしていなかったもう1つも言ってしまった。

 これで僕がどれだけななさんを心配してたのかが、少しでも伝わればいい……と思ったていたら、


「ふふっ、ふふふふっ、そう……そんな理由だったのね、ふふっ」


 ななさんは滅茶苦茶笑い始めた。

 面白おかしいかもしれないけど、僕は結構真面目に考えてたっていうのに……


「私、結構心配したのよ? 急に変なことするから。だから創太の事を注意深く見てたけど、特に変わった様子もないから。あれは何だったんだろうって考えて……っていうのに、ふふっ、まさか私が心配されてたなんてね」


 僕が心配してたっていうのは伝わったみたいだ。

 良かった。

 それに、あの時ななさんも、僕の事を考えてくれていたっていうのが分かって、なんか嬉しい……


「ふふふっ、ありがとう、創太」

「い、いえ……」


 真っ直ぐに僕を見つめて、笑いながらお礼を言ってくれたななさん。

 その笑顔はいつものふざけた感じとも違って、本当に可愛かった。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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