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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode3 少年誘拐加害者編

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昼休み

創太視点です。

 朝の事があったからか、授業の間の休みも、別教室への移動中もアイツ等が僕に絡んでくることはなかった。

 でも、やっとの昼休みになった時、


「おい、創太。お前朝は大分いきがってたな」

「俺らの昼メシ、買って来いよ」


と、また僕の席にやって来た。


「何で僕が買うの? 自分達で買いにいきなよ」

「はぁ?」


 もう言うことを聞く気なんてない。

 僕は変に絡んでくるのを無視し、教室を出て購買へ向かう。

 その後ろをアイツ等もついてきた。


 購買までの途中の外へ繋がる道。

 人も購買からの帰りの人位しか通らないので、まだ通る人もそんなに多くなく、今は丁度、人が全くいなかった。

 若干の嫌な予感……


 案の定、そこで無理矢理に僕の後についてきてた彼等に引っ張られ、人の通らない校舎裏の方へ連れて行かれた。


「何するんだよ。僕はこれから購買に行くところで、君達に用はないんだけど」

「お前になくても俺等にはあんだよ」

「久しぶり学校へ来たと思えば調子に乗りやがって! 購買行くんなら、ちゃんと俺等の分も買ってこれるよなぁ?」


 これは断ったら間違いなく暴力でくるやつだ。

 痛いのはもちろん嫌だし、買って来さえすれば暴力がないのなら、その方がいいと思ってしまう。

 でもそんなのはもうやめたい。

 そのために僕は学校に来たんだから。


「僕はこれから購買でお昼ご飯を買う。でもそれは僕が自分で食べる為に買うものだ。僕が許可もしてないのに、僕が買ったそのご飯を君達が奪って食べる。それは泥棒と一緒の行為だよ」

「泥棒じゃねぇよ。俺等はお前に奢ってもらってんだよ」

「僕は奢るなんて言ってない」

「言ってないなら今から言えやっ!」


 声を張り上げて怖がらせようとしてくる。

 でもなんでかな? 全く怖いと思わない。

 僕を威圧しようとしているのは分かるんだけど、全く威圧感がないからだろうか。

 寧ろ、恐ろしい勢いでパソコンにダカダカやってるななさんの方が凄い威圧感があって怖かった。

 あの人を見た後だと、コイツ等なんて小者にしか見えないな。


 でも別にななさんを見たことでコイツ等が小者に見えるからって、僕が強くなった訳じゃない。

 そこは変な勘違いをしないように、僕は僕にできる限りの反抗をする。

 

「暴行、恐喝、窃盗……君達のやってる事は犯罪だよ。学生だからって許される事じゃない」

「調子にのるなっ!」


 反抗する僕の態度が気にくわないという様子で、僕の胸ぐらを掴んで拳を振り上げてきた。

 後ろは壁だし、逃げられない。

 ここは殴られるしかないか……


 情けないな、僕に足りてないのは知識だけじゃなくて身体能力もだな……

 こういうのは反撃はできなくてもいいけど、ちゃんと避けれるくらいになっておきたい。

 そもそもが体育の成績がよかったり、明らかに強そうな生徒というのは、あまり絡まれないものだから……


 僕もこれからは体育をもっと真剣に頑張ろう。

 出来れば、ななさん並みの力もつけたい……いや、夢のためにもななさんを越えれるくらいにならないといけない!

 そうなると体育だけじゃ足りないな……ジムとか行ってみようかな?

 僕が殴られそうになりながら、そんな事を考えていると、


「へぇー、なんだお前等? 楽しそうな事やってんじゃん」


という声が聞こえて、僕を殴ろうとしていた手は止まっていた。

 殴られずに済んだのか?


「ん? お、お前は……」

「おい、行くぞっ」

「おぉ……」


 こっちに歩いて来たさっきの声の主を見て、いつもの奴等は逃げて行った。

 誰だろう?

 高身長で見るからに強そうな生徒だ。


「お前、大丈夫か?」

「あ、あぁ……ありがとう」

「すげぇのな。お前全然強くなさそうなのに、あいつ等に屈する気もなさそうだな」

「そうだね。自分の意思は曲げたくないから」


 今回はなんとかなったけど、またこういう暴力とかを振るわれる事もあるだろう。

 でも僕は変わるって決めた以上、もう絶対にアイツ等に屈したりしない。

 屈してしまったら、僕は自分の意思を貫けなくなってしまうから。


「ふーん……面白いな、名前は?」

「青島創太。えっと、君は?」

「俺の事知らねぇの?」

「え、うん、ごめん……あんまり人と関わらずにいたから」


 ネクタイの色からして同じ3年の人だとは思うけど、誰だろう?

 この学校は結構クラスも多いし、同じクラスにならなければ同学年と言えど全く接点はなかったりもする。

 特に僕は人と関わらずに、勉強だけしかしてなかったし……


東城(とうじょう)駿介(しゅんすけ)だ。バスケ部で、アホほど強いダンク決めるのが得意」

「そうなんだ」

「俺、結構有名な方なんだぜ」


 そういえば、聞いたことがあるな。

 バスケ部に凄く強くて格好いい生徒がいると、教室の女子達が噂していた。

 この人の事だったのか。


「お前、いつもあんなのに絡まれてんのか?」

「まぁ、そうだね」

「それでいいのか?」

「今までは正直どうでもいいって思ってた。どうせ何も変わらないし、これ以上の面倒事は避けたかったから」


 面倒事は嫌だ。

 結局僕も教室の皆と同じで、この状況を何かしようとはしていなかった。

 誰も助けてくれない、誰か何とかしてって、人任せだった。


「でももう、人任せはやめた。自分で行動しないと何も変わらないし、僕は変わるって決めたから」

「ふーん。なんか俺、お前の事気に入ったわ。クラス違うし普段は無理だけど、昼とかなら空いてっから。一緒に食おうぜ」

「いやでも、それは君に迷惑をかけると思うからやめておくよ」

「自分で言うのもなんだけど、俺の存在ってこの学校じゃ結構デカいんだよ。だから俺が近くにいれば、そうそう変な奴は来ないぜ」


 確かにさっきアイツ等も、彼をみてから慌てた様子で逃げていった。

 近くにいてもらえたら、僕の学校生活も多少はマシになるのかもしれない。

 でもそれじゃ虎の威を借る狐って感じで情けないし、他力本願な人任せと変わらない。


「気持ちは本当にありがたいんだけど、そうやって君に守ってもらうのは、やっぱり人任せと一緒だと思うから……」

「人任せと相手を頼るっていうのは、また違うもんだろ?」


 確かにそうだ。

 ななさんだって、真さん達とお互い助け合っている感じだった。


「友人の為に出来ることをするのは当たり前だからな。だから創太、お前も俺が困ってたら助けてくれるだろ?」

「友人?」

「おう! 俺さ、勉強苦手なんだよ。創太は得意そうな見た目してるな。俺に勉強教えてくれよ」

「そんなに得意ではないけど……でも、ありがとう。えっと、東城君」

「駿介でいいぜ」

「ありがとう駿介。もしよければ、これから僕と一緒にお昼ご飯を食べてくれないかな?」

「もちろんだ。これからよろしくな、創太!」


 僕は、変わるって決めたんだから、"自分だけでなんとかしなきゃいけない"って事に囚われ過ぎてたかもしれないな。

 人任せももちろんダメだけど、何でも1人でやってしまうっていうのもダメなんだ。

 駿介のお陰で気づくことが出来た。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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