表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode3 少年誘拐加害者編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/425

自分の意思

創太視点です。

 ななさんに、僕が何で自殺なんかしようとしていたのかを打ち明けた。

 今更だけど、本当にバカだったな……

 下らない想像なんかしてたって、何かが変わる訳じゃないのに……

 僕自身が自分で変わろうとしなければ、何も変わらないんだ。


「あのっ、ななさん!」

「何?」

「僕、学校に行こうと思います。ここから出していただけませんか?」

「何で学校に行こうと思うの? 創太にとって学校は何? 行かなければならない場所なの?」


 ななさんと始めて会った日も、同じことを聞かれたな。

 あの時は答えられなかった。

 でも今は違う。


「はい」


 ちゃんと答えられる。


「行く理由は見つけたの?」


 そもそも学校へ行けと言われる事が当たり前過ぎて、行く理由なんて考えもしなかった。

 ただ行きたいか、行きたくないか、それだけだった。


「僕、やりたいことが出来ました。なので、その夢の実現の為にもっと沢山の知識が必要になりました。ななさんも前に知識はいくらあっても邪魔になる事はないって言ってましたよね?」

「そうね」

「だから僕は、知識をもっと増やしたい。その為には色んな資料も揃っていて、周りの人達にも意見を聞くことが出来る場所へ行くのが、一番いいと思います。だから僕は、◎◎大学を目指します」


 ◎◎大学へ行きたい。

 これは母さんに言われたからじゃない。

 僕の意思だ。


「◎◎大学へ行く為には、やっぱり高校の卒業も必要ですし、授業態度とか単位とかも影響してくると思います。それに今後大学でも、結局は人とは関わっていかないといけません。その方が互いの意見を共有できますから。そういう意味でも、僕は今高校から逃げてる場合じゃないなって思うんですよ」


 僕にはやりたいこと、夢ができた。

 だからその為に、嫌な事だからって逃げてばかりいたらダメだ。

 ちゃんと自分から踏み出していかないといけない。


「私、前に言ったわよね。学校へ行く理由は創太が自分で決めることだって」

「はい。これが僕が自分で考えた、僕なりの高校へ行くべき理由です」

「そう。創太が自分でそう思ったのなら、それでいいわ」


 行きたくないところには行かなければいい、でも行かなければいけないところには行くようにって、ななさんは言っていた。

 僕はやっぱり学校へは行きたくない。

 でも僕は今、自分の意思で学校の事を行くべき場所だと思ったんだ。

 だから行かなければいけない。


「学校へ行く理由なんて人それぞれ違って当然なのよ。その人にとって、それが行くべき理由になるならなんだっていいの。独学じゃなくて先生に教えてもらいたいとか、部活動がやりたいとか、友達に会いたいとかね。それこそちゃんと自分の意思で決めた事で、後悔しないのなら、学校になんて行かなくてもいいと思うわ」


 最初に僕が学校へ行くべき理由を考えて、ななさんに言った時、僕の意見は悉く潰された。

 あれはそもそも、理由を考えてること事態が間違ってたんだ。

 どんな理由で行くかなんて皆違うんだから。

 考えなきゃいけなかったのは、自分の意思だ。


「大切なのは人に言われたからじゃなく、自分の意思で行動できてるかって事なの。誰かに無理矢理に行けと言われて行くのは辛いでしょ? だからこそ、自分にとって行くべき場所なのかを考えるの」

「はい、今ならちゃんと分かる気がします」


 今までの僕は自分で考えることを放棄して、親に言われるがままに行動していた。

 嫌だったならそう言えばいいのに、それもしないで……

 それは学校でも同じだ。

 嫌な奴等にも想像で消したりしてるだけで、ちゃんと僕の意見を言えたことなんてなかった。


「学校へ行くのは怖くない?」

「ちょっと怖いですけど、大丈夫です」

「流石に一緒に行ってはあげられないからね」

「味方がいないのは辛いですけど、頑張ってみようと思います」

「まぁ、学校での味方にはなれないけど、ここへは好きな時に来ていいからね。相談にのる位の味方には、私もなれるわ」

「ありがとうございます」


 好きな時に来ていい、か……

 ななさんが僕の味方とか……心強過ぎだろ。

 なんか、本当に大丈夫な気がしてくる。


「じゃあ、もう家に帰りなさい。ご家族の皆様も心配してるわよ。今玄関開けるから」

「いえ、今日はもう遅いですし、ななさんもまだ動かない方がいいと思うので、明日でいいです」

「創太、明日でいいとか、明日からやるとか、そういう事をいうのは結局やらない奴と決まってるのよ」


 そう言いながら立とうとするななさんを制止する。

 今はななさんの事が心配だし、明日は本当にちゃんと行くつもりなんだけどな……

 どう言ったら伝わるか……


「ななさんって、博識で何でも知ってるイメージあったんですけど、そうでもないんですね」

「何が?」

「僕がその認識が間違ってるって、明日証明しますよ」

「言うようになったわね」

「なので、今日はもう夜ご飯食べたら、ななさんは寝て下さいね」

「……分かったわ」


 よかった、上手い事ななさんを布団に戻せた。

 僕も少しはななさんの事を分かってきたみたいで嬉しかった。

 相変わらず本名は分からないままだけど……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ