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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode3 少年誘拐加害者編

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創太視点です。

「創太っ! 早く起きて学校へ行きなさいっ! 休んだりしたら内申点に影響が出るのよ! ◎◎大学に行くのにも関わってくるって、毎日言ってるでしょう!」

「創太! いい加減母さんを困らせるなっ! 学校なんてただ勉強しに行くだけじゃないかっ! 俺みたいに仕事へ行って疲れる訳でもない! さっさと行ってこい!」

「ほら創太、早く!」

「早くしろっ! 創太!」


 うるさい父さんと母さん……

 僕は行きたくないのに……


「お、そーたじゃん。今日も勉強ですかー?」

「あははっ、そんなに勉強したってお前の成績上がんないのになー」

「そんなんより、俺達と遊ぼーぜ。サッカーとかでさ。あーでもボールがないわー」

「創太の鞄でよくね」

「それな」

「おい創太ー。お前もなんか言えよ。僕の鞄を使って下さいとかさー。こーんな暗いお前に話しかけてやってんだからさっ」


 うるさい教室の奴ら……

 誰も話しかけてくれなんて頼んでない……

 鞄だって、どうせ断っても次は暴力でくるだけだし……


 教室内でこれだけこいつらが騒いでいても、誰もこっちを見もしない。

 先生もクラスメイトも。

 毎日、毎日、うるさい奴らに囲まれるだけ。

 本当に僕はこの世界に必要ない……


カタカタカタカタ


 パソコンのキーボードを打つ音が聞こえる。

 それ以外は静かだ。

 さっきまであんなにうるさかったのに……

 さっきのは夢か……


 僕が起き上がると、


「あら創太、起きたの? おはよう」


と、声をかけられた。

 名前も知らない女の人……ななさん。


「おはようございます……」


 昨日の変な家に閉じ込められるという、訳の分からない夢のような体験が現実で、さっきのいつもの日常みたいなのが夢なんだと、なかなか理解できなかった。

 やっぱり今が夢なんじゃないか? そう思えてしまう。


「今、何時ですか?」

「8時20分位ね。とりあえず、顔洗ってきなさい」


 8時20分……

 そんな時間まで寝てたのに、起こされないとか、そんなことは初めてだ。


 顔を洗って、冷静になる。

 昨日の事を振り替える……


 僕は昨日、自殺しようとして、この家に閉じ込められたんだ。

 この家に住んでいるのは、ななさん。

 本名は不明の女性。


 変わったご飯を作ったり、漫画読んだりして1日を過ごした。

 お風呂から出てきた時に、今日の仕事はここまでだから寝ていいと言われて、そのまま寝たんだ。

 どのみち閉じ込められてて出れないし、1日中漫画を読んでいたからか目が疲れてたみたいで、すぐに寝てしまった。

 昨日、僕より遅く寝たであろうななさんは、僕より先に起きていた。


「ななさん、朝ごはんは食べました?」

「ん? そういえばまだね。創太、また適当に作っておいて」

「分かりました」


 僕はまた変なご飯を作る。

 3回目ともなれば、もう慣れたものだ。


 2人で朝食を食べて、食器を片付けた。

と、もうやることもなくなってしまった。

 何をしろとも特に言われないので、昨日の続きの漫画を読む。


 ふと、時計を見ようと思って携帯をつけようとしたら、つかなかった。

 電源が切れてるみたいだ。

 ここ最近の僕は、もう死ぬつもりしかなかったから、携帯を充電をする必要がなかった。

 だからもともと電池が少なかったんだろうし、電池切れしちゃったんだろうな。

 まあいいか、別に使わないし。


 家族からの電話もかかって来なくなったんだから、丁度いいかもしれない。

 でもこれで、家族との連絡手段はなくなったな……

 別に出たくないからいいけど。


 僕は変わらず漫画を読む。

 でもやっぱり、こんな事をしてていいのか? って思ってしまう……

 ただ漫画を読んでいるだけで進んでいく時間。

 ななさんはずっとパソコンで仕事をしてる。

 僕とななさんは朝以降、一切会話もしていないので、この部屋はパソコンのカタカタ音と、僕が漫画のページを捲る音だけが響いているだけで、静かだった。


♪♪♪♪♪


 ずっと静かだった部屋で、いきなりななさんの携帯がなった。

 ななさんは何故かスピーカーにして、電話にでた。


「はい」

「えっと、すみません。創太の祖母です」

「お婆様、ご連絡ありがとうございます。創太、出る?」


 は? 何で婆ちゃんがななさんの携帯に?

 訳分かんないし、僕は横に首をふった。


「すみません、まだ出たくないみたいで」

「そうですか……」

「創太君もなかなか恥ずかしがり屋さんですよね」

「え? そ、そうですか?」


 何を勝手な事を婆ちゃんに言ってるんだ。

 僕が電話にでないのは恥ずかしがり屋だとかそう言うことじゃなくて、単に気まずいからで……


「あ、あの……創ちゃんは元気にしてますか?」

「うーん……そうですねー……あまり元気ではないかもしれないですね」


 別に僕はそんなに元気な訳でもないけど、元気がないわけでもない。

 勝手な事を言って、婆ちゃんを困らせるのはやめてほしい……

 そんなことを僕が思っていると、


「目が大分疲れているみたいですね、創太君」


と、ななさんは言った。


「目ですか?」


 婆ちゃんも困惑気味に聞いている。

 確かにずっと漫画を読んでて疲れてたし、昨日も早くに寝てしまったけど、それを元気がない理由として言うか?

 でも、ななさんはそれを心配してくれてたのか……なんて思った矢先、


「目が疲れすぎているようで、私の事が男だか女だかの区別もつかなかったみたいですから」


という、ななさんが僕の目が疲れていると判断した理由が聞こえた。

 ななさん、昨日のアレ、まだ気にしてたんだ……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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