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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode3 少年誘拐加害者編

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動揺

創太の祖母視点です。

 今日も朝から暗い顔で創ちゃんは家を出ていった。

 きっと学校へ行きたくないのでしょうね。

 でも今日はいつもより早く出ていったわね。

 いつもなら、恵子(けいこ)さんに行け行けと急かされ、(たける)に怒られてから行くのに……


 私がもっと何かしてあげれるといいのだけれど……

 今の私にできるのは精々、創ちゃんが快適に過ごせるように、部屋を掃除するくらいね……


 そろそろ掃除をしようかと、創ちゃんの部屋へ向かおうとした時、


♪♪♪♪♪


何か鳴ってる音がした。

 私の携帯だわ。

 しかも創ちゃんからかかってきてる。


「はい、創ちゃん? この時間学校じゃないの?」

「初めまして、青島創太君のお婆様でお間違いないですか?」


 創ちゃんだと思って電話に出たら、全然知らない女の人の声がした。

 携帯の画面に表示されている番号を確認しても、やっぱり創ちゃんの携帯からかかってきてる。

 創ちゃんが携帯を貸したって事?


「えっ、ええ……どちら様ですか?」

「現在、創太君をお預かりしているものです」

「はい?」


 創ちゃんを預かってるって、どういう事?

 そもそも創ちゃんは今学校にいるんじゃないの?


「失礼ですが、お婆様。今どちらにいらっしゃいますか?」

「今ですか? 家におりますが……?」

「創太君のお部屋へは行かれてませんか?」

「そろそろ、掃除をしに行こうかと思ってましたが?」

「でしたら、今向かっていただいて、机の上をご覧になって頂けますか?」

「はぁ、分かりました」


 疑問には思いつつも、言われた通り創ちゃんの部屋へ行く。

 たしか、机の上を見ろって……


「は? 遺書……何これっ! あのっ、あの……」


 創ちゃんの机の上で見つけたのは、遺書とかかれた1枚のルーズリーフだった。

 私は動揺も隠せず慌てて電話に戻った。


「あー、ご覧になられました?」

「そ、創ちゃんは?」

「先ほども申しましたが、現在私が預かっております」


 預かってるって、そういう事だったのね……

 つまり創ちゃんは今日、学校へは行かずに自殺しようとして、この女の人に保護されたのね……


「ぶ、無事なんですね……よかった……あ、あの……電話、創ちゃんに代わって頂く事は出来ませんか?」

「少々お待ち下さいね」


 女の人が私にそう言うと、


「創太、電話出る?」


という声だけ聞こえた。

 創ちゃんの声は聞こえない……

 無事を確認したいし、せめて声だけでも……


「申し訳ございません。まだ話したくないようでして……」

「そ、そうですか……」

「また何かありましたら、ご連絡致しますので、失礼しますね」

「えっ……はい。すみません、お願いします……」


 電話は切られてしまった。

 聞きたいこととか山程あるけれどまとまってないし、もう一度かけるのも迷惑よね……

 どのみち創ちゃんは出てくれないだろうから……


 動揺が治まらない……

 とりあえず武に連絡しないと……


♪♪♪♪♪


 呼び出し音がずっと鳴ってるけど、なかなか出ない……

 ど、どうしたら……


「なんだよ、母さん。仕事中に電話なんてしてきて。俺忙しいんだぞ」

「そ、そうね……ごめんなさい……」


 武は出てくれたけど、少し怒ってる。

 仕事中に電話してしまったものね……

 武が仕事中だって事も考えれないくらい動揺していた。


「で? 何の用だよ」

「そ、創ちゃんの事なんだけど、今日学校に行かなかったみたいで……」

「は? で、あいつは何やってんだ?」

「それが、その……」

「だから忙しいんだって、早く言えよ」

「自殺しようとしてたところを、保護して下さった方から連絡が……」

「はぁ!? どういう事だ?」

「私も分からないんだけど、さっきそういう連絡があって……」


 どういう事かなんて私が聞きたいわ。

 確かに朝は暗かったけど、まさかそんな……


「で、創太は自殺してないんだな?」

「えぇ……」

「ったく、何やってんだアイツは! とりあえず仕事早めに切り上げて帰るから」

「そうね……お願いね……」

「恵子にも言っといてくれよ、じぁ」


 そう言って武は電話を切ってしまった。

 そのあと急いで恵子さんにも電話をかけたけど、恵子さんは出ない。

 仕事中だから出られないのね。

 もう何をどうしたらいいのかも分からないし、武が帰ってくるのを待つことにした。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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