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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode2 友人の宝誘拐編

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忘れ物

犯人視点です。

 玄関のチャイムがなり、婆さんは降りていった。


「お待たせしました~」


 どうやらスーツ学生が帰ってきたようだ。

 思ったより早かったな。


「どうぞ、こちらです」


 俺がカメラを仕掛けたリビングのテーブルの上にケースを置き、婆さんに金を確認させている。

 もちろん大量の金。

 こんなもんをこんな短時間で用意出来るとは……

 さすがはスノーフレークだ。


「本当に、本当にありがとうね、紅葉ちゃん。必ず、必ずお返しするから」

「はい。息子さんにすぐに連絡してあげてください」

「え、ええ……」


 後はどうやってスーツ学生を帰らせるかだが……

 多分、旦那に会いたいとか言うだろう。

 今2階から旦那が出て来たらおかしいし、ベランダから飛び降りさせて、玄関の方までまわらせるしかないか……

 でも2階とはいえまぁまぁ高さあるし、飛び降りた所を誰かに見られでもしたらな……


「あと、ごめんなさい美代子さん……本当はちゃんと息子さんに挨拶したかったんですが、このあと仕事に戻らないといけなくなりまして……」

「えっ? そ、そうなの?」

「はい、なので申し訳ありませんが、私はここで失礼しますね。息子さんにもよろしくお伝え下さい」

「ええ……」


 俺がどうやって旦那と挨拶させるかを考えていたら、スーツ学生が帰ると言い出した。

 最高だな! 俺達の計画が順調にすすむぜ!


「では、またお話沢山しましょうね」

「本当にありがとうね」


 スーツ学生は急ぎながら帰って行った。

 俺は2階のベランダから、スーツ学生が出ていったのをしっかり確認してから、1階に降りた。


 机の上のケース、そして大量の金。

 ここまで俺の計画通り、順調にいくとはな。

 後は、あいつ等が俺を迎えに来て、人質の居場所をこいつ等に教えれば完璧だ。


 けど、この金……本物だよな?

 一応ちゃんと確認しとかないとな。

 もしかして、スノーフレークに何か仕組まれてる金かも知れねぇし……

 さすがにこの状況で偽札渡してくるとも思えねぇけど、万が一って事もあるしな。


 俺が金の確認をしていると、


「か、金はもういいだろっ! 早く由佳と陸を返してくれっ!」


旦那の方がわめきだした。

 ったく、うるせーな。

 大体なんでこの旦那はこんなに強気なんだ?

 別に人質だって女と子供で十分だし、この旦那うるせぇし、ここで殺っちまおうか……


 でもまぁいいか。

 ここで撃つと銃声とか響くかもだし、死人が出るとさすがに警察やスノーフレークも今回の件に感づいちまう。

 こいつ等はまた使えるんだし、俺もここに長居したい訳じゃないからな。

 あいつ等に連絡するか……


 そう思い、携帯を手に取った時だった。

 急に、リビングの扉が開いた。


ガチャ


「すみません美代子さん、携帯忘れたみたいでー」

「紅葉ちゃん!」


 忘れ物をしたスーツ学生が帰って来やがった。

 見ると、リビングの椅子の上に携帯が置いてある。

 くっそ、もっと早くに気がつけば……

 どうする……どうしたら……


「あれ? もしかして息子さんですか?」

「え、あーはい。えっと……この度はありがとうございました。ご迷惑お掛けして、誠に申し訳ございませんっ!」


 旦那が深々と頭を下げた。

 さすがに状況が分かっているからか、素直に自分のせいで必要になった金だという演技をしている。


「いえいえー、ここをまたスタート地点としてこれから頑張って下さいね。それで、そちらは?」


 スーツ学生が俺について聞いてきた。

 幸いな事に、俺は今拳銃も出していない。

 さっき旦那を殺そうかとか考えたが、しなくて良かった。

 この状態なら、俺が誘拐犯には見えないだろう。

 上手く誤魔化せれば……


「あー、彼はその、私の部下で……今回協力してくれてまして……」

「そうなんですよー。よろしくお願いします」


 俺も合わせて適当に挨拶をする。

 旦那のしどろもどろ感が凄いが、どうだ……?


「そうなんですか。頑張って下さいね」


 スーツ学生は納得したようで俺の方を向いて笑った。

 どうやら上手く誤魔化せたみたいだ。

 良かった。


「ん? あら、肩にゴミがついてますよ」


 そう言って、スーツ学生は俺と旦那の間に割り込むように入ってきた。

 そしていきなり、


「とつげきー!」


と言った。

 すると訳が分からないうちに、玄関からベランダからと人が入ってきて、気がついたら俺は囲まれていた。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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