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殺人鬼
「瀧沢さん、また出たみたいですよ」
「そうらしいわね」
部下が提供してくる話題に嫌気がさす。
何の進展もない、ただまた事件が起きたというだけの話に。
「この犯人は、自分を正当化したいんでしょうかね?」
「どうかしら? 私は、正当化したくてこんな事をしているというよりは、ただ時事をその場に残しているだけのような気がするけど」
「自分がやってる事を正しいと思ってる訳じゃないって事ですか?」
「それだけ犯罪者を見つけるのが得意なのよ? 自分が犯罪者である事にもすぐに気が付くでしょう」
今世間を騒がせている殺人鬼は、殺害の対象が犯罪者だ。
そして死体と共に、その死体の人物が犯した犯罪を纏めた資料をおいていく。




