表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode10 少年誘拐被害者編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

278/425

幻想

高坂さん視点です。

「さて、帰りますよ」


と、何もなかったかのように声をかけて下さった奏海様に、


「おいっ! 何が爆弾だっ! 何も爆発しねぇじゃねぇか!」

「くそっ、踊らされた……」

「コイツならガチでやりかねねぇからな」


と、恐い人達がまた集まってきた。


「おかしいですね、爆弾のはずなのですが? 不発弾だったのでしょうか?」

「ふざけやがって! 自分は一切逃げもしないでおいて、何が不発弾だ! 最初から爆弾じゃねぇ証拠だろうがっ!」

「あぁ! 私としたことが……」

「な、なんだ?」

「どうやらカウントを間違えていたみたいです」

「は?」

「そろそろですね、7、6……」

「に、二度も同じ手をくうか……」

「3、2……」

「「「わぁぁああ!」」」


あの人達の言うように、奏海様は全く逃げる気配がない。

だからこれもきっとまた嘘なんだろうと思っていると、


バチバチバチバチッ!


と、本当に爆発した。

でもあれ……花火?

なんか、凄い音だけ大きい花火で、そこまで綺麗じゃない。


「詩苑は自分で歩けるでしょ?」

「もちろんです!」

「あなたは私に掴まって下さい」

「あの、私も歩けますけど……」

「ダメですよ。ここからの道は瓦礫も多いので、足を挫いてしまうかもしれません」

「そ、そうですか……」


奏海様が屈んで下さったので、お言葉に甘えて肩に掴まらせてもらって、そのままおんぶしてもらった。

恐ろしい人だと思うけど、背中は温かい……

やっぱりこの人も、人なんだな……当たり前だけど。


「は、花火だと?」

「綺麗でしたか?」

「バカにしやがって」

「しかもその状態じゃ俺等とやりあうのも無理だろ! なめてんのか?」

「何故私があなた方とやりあわねばならないのですか?」

「はぁ?」

「だってほら、あなた達の相手はすぐそこに」

「なっ!」


奏海様がそう言った時、恐い人達の後ろには黒いパーカーを着た人が立っていた。

フードを目深に被っていて、顔とかは見えない……


「いつの間にっ!」

「かなみぃー! さっきの合図ってこたぁ、これ、いいんだよな?」

「好きに運動して。あ、殺さないようにね」

「へいへーい!」


ドガッ! ボゴッ!


「ちょっと! もう少しあとから始めてよ。まだ子供達がいるんだから」

「でもよぉ、通り道が必要だろ?」

「まぁね……でも、ほどほどにして」

「へーい!」


わーとか、ぎゃーとか、色んな声が響いている中、奏海様とさっきのフードの人が話しているのが聞こえた。

そしてこの声を私が聞き間違えるはずはない。

私の知っている、優しくて、紳士的で、いつも笑ってくれている、あの最高に格好いい人の声……


……そうだよね。

だって、あのスノーフレークの一員なんだもんね。

フードの下に少しだけ見えた口元から、笑っているのが分かった。

それもとても楽しそうに……


詩苑君は知ってたのかな?

うん、きっと知ってたはずだ。

だって今も全然驚いていないんだもん。

驚いていないというか、寧ろ私を心配するように見てくれてる。

私がそれなり耳がいいのも、詩苑君は知ってるもんね。


私に話してくれなかったのは、私の幻想を壊さないようにするためだったんだね……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ