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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode10 少年誘拐被害者編

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277/425

無表情

高坂さん視点です。

ドゴーンッ!


凄い大きな音が響いて、恐い人達は狼狽えている。


ドゴッ! ガラッ!


「ありがとう、お蔭で大分手間が省けた」

「それは良かったです」


私が気がついた時には、私と詩苑君を庇うようにして、恐い人達と向き合う奏海様が立っていた。


「桜野、奏海……?」

「そうですが?」

「な、んで……」

「なんでと問われましても? 私はただ、この2人を迎えにきただけですので」

「は……?」


さっき携帯で見た奏海様は、どう見ても捕まっていた。

でもこの奏海様は凄く元気そうだ。

少し横を見てみると、まるで爆破でもされたかのように壁に大穴が空いていて……

私もそうだけど、恐い人達は全く状況が分かっていないみたいだ。

分かっているのは、奏海様と詩苑君だけ…………やっぱりなんか胸が変な感じ。


「迎えに来たって、だってお前……」

「この子達が大きな声を出して居場所を教えてくれましたからね。あとはそこにたどり着けるようにこの建物を壊すだけです」

「……は?」


それで詩苑君は大声で騒いでいたんだ。

多分さっきの携帯で見た時に、奏海様が私達と同じこの建物内にいると気が付いて。


「今更無駄なアドバイスとなってしまいますが、1つお伝えしておきますね」

「何を……」

「私と人質達、同じ建物内に収容するというのはやめた方がいいですよ。一緒に逃げられてしまいますから」


人質達というのは詩苑君と私の事だろう。

自分も捕まって連れて来られていたというのに、自分は人質とはならないんだ。

ううん、きっと最初から捕まってなんていないんだろう。


「は、ははっ……逃げられるって、ここからか?」

「逃げられないように見えます?」

「当たり前だろ! 俺達にはまだ色々と……」

「その色々が全て通用しなかったから、私はここにいるのですが?」

「ありえねぇ……」

「現に今、ありえていますよ?」


物凄く人をバカにしているみたいな喋り方。

奏海様ってこんな風に喋る人なんだ。

ちょっと意外……


「睡眠薬は……」

「そんな物、飲む訳ないでしょう」

「だが確かにあの料理長が……」

「料理長がなんです? 睡眠薬をスープに入れたとでもお思いですか? 桜野家の料理人を侮ってもらっては困ります。そんな料理への冒涜を許す人はいません」


さっき詩苑君も言ってた。

やっぱり料理人さんは、皆料理を大切にしてるんだ。


「で、でも、筋弛緩剤を打ったはずだ……」

「あぁ、確かに腕に打ってましたね」

「じゃあなんで……」

「私の腕ではないからです」

「は?」

「ほら」

「ひぃっ!」


ゴトッ!


奏海様は自分の腕を引き抜いて投げた……

どうみても本物の腕にしか見えなかった、人形の腕みたいなものを……


「義手……なのか?」

「まさか、ちゃんとありますよ」


腕がなくなったように見えた奏海様は、服を少しずらすようにして、袖から新しい腕を出した。

新しい腕っていうか、本物の腕?


「マジックの1つですよ。ただ、人形の腕を持っていただけです」

「そ、そんな……だ、だがそれがなんだってんだ! お前等が捕まってる事に変わりは……」

「私が化け物だとか言っていたみたいですね」

「あ? 急になんの話を……」

「言い得て妙だと思っただけです。あなた達はその化け物を前にしているのですよ。早く逃げた方がいいと思いますけどねぇ?」

「なんで俺達が逃げ……」

「その腕、爆弾になってるんです。爆発まで、5、4、3」

「わぁぁあああ!」


恐い人達を脅した奏海様は、


「さて、帰りますよ」


と、声をかけてくれた。

その無表情は、さっきまでの恐い人達以上に恐かった……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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