現場
真視点です。
緊急信号のあった場所まで来たんだが、なんだこれは?
これは桜野家の車だ。
そしてタイヤが撃たれている。
だがそれだけで、それ以上に争ったような様子は特になく、血痕等も見当たらない。
あの日下部さんが付いているんだから、多少の事くらいで連絡が途絶える訳がないのに……
♪♪♪♪♪
連絡、紅葉からだ。
「どう?」
「タイヤを撃たれた車だけ。日下部さんも詩苑もいない」
「何か手がかりは?」
「特に見当たらないな」
「真に見つけられないんなら、ないんだろうね」
「どうする?」
「行き先を追えないんじゃどうしようも……奏海に連絡して、指示を仰ぐくらいしか出来ないけど……」
「あぁ、ボスがまだ帰ってきてないからな……」
本当にタイミングが悪い。
今日はボスが出掛けている。
一応そろそろ帰ってはくるはずだが、それまで連絡もとれない。
どうしたもんか……
「日下部さんがやられる事はないだろうし、誘拐だったら殺したら意味がないからな」
「そうだね。生きてはいるだろうけど……詩苑君、無事かな?」
「日下部さんの心配もしてやれよ」
「あの人は大丈夫でしょ?」
「俺もそうは思うが……」
ここまで何もないと、おかしいと思う……
緊急信号をおくるだけ送って、他は何も出来なかった?
あの日下部さんが?
「とりあえず、もうちょい様子を見ていくわ」
「了解」
電話を切り、少し先に進んでみたものの、やっぱり何もない。
もう一度さっきの車の場所に戻り、今度は反対に……これは気のせいじゃなさそうだな。
俺を着けてきている奴らがいる。
向こうも俺がスノーフレーク関係者なのか、ただの野次馬なのかが分からないから近づけないんだろうが、だったら教えてやるまでだ。
そして俺も教えてもらおう。
「ちょっとすみません。俺はスノーフレークの者なんですが、この車について何か知りませんか?」
「知ってるぜ」
「なんだよ、やっぱりスノーフレークの奴かよ」
「自分から近寄ってくるなんてな」
「こう見えても俺、そこそこ強い方なんですよ。だからあなた達程度どうとでも……」
適当に脅しをかけておこうと思ったんだが……
「アランも強かったが、あっさりと捕まったんだぜ?」
という、まさかの発言。
なるほど、だから日下部さんは……
これはおもっていた以上の緊急事態だな。
読んでいただきありがとうございます(*^^*)




