記者会見
「本日はお忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます」
パシャパシャパシャパシャ
「皆さん、この度はお騒がせ致しまして、大変申し訳ございませんでした」
「本日はスノーフレーク社長、桜野奏海に代わりまして、私が代理を務めさせていただきます」
パシャパシャパシャパシャ
「なぜ代理なのですかー!」
「桜野奏海さん本人はどうされたんですか!」
「謝罪会見で代理だなんて、失礼じゃないですか!」
「静粛にお願い致します!」
「失礼、会見の前に誤解があるようなので、訂正させていただきますね。我々スノーフレークは、謝罪会見に来た訳ではありません。記者会見に来ています。発表もそのようにしていたはずですが、なぜ謝罪会見だと?」
「なっ……」
「謝罪すべきは、このレンがファンの皆さんに誤解を与えた事のみであり、我々としましては、謝罪する事はありません」
「改めまして、この度ファンの皆さんへ誤解を与えてしまった事を謝罪致します。この場ではっきりと申しあげさせていただきますが、私と桜野会長は恋仲などではありません」
「では何故一緒にホテルに行ったんですかー!」
「仕事の話をするためです」
「とても楽しそうにお話をされていますね、これが仕事の話をする時のお2人の距離感なのでしょうか?」
「確かに距離は近いかもしれませんが、本当に奏海ちゃんとは仕事の話しか……」
「奏海ちゃん!」
「今、奏海ちゃんと仰いましたよね!」
「桜野会長を奏海ちゃんと呼べる程の間柄なんですかっ!?」
「あ、今のはその、癖で……」
「はぁ……レン? 会見の場でくらい、いつもの癖を直したら?」
「そうだね。ごめんね、葵ちゃん」
「だから、それ」
「あっ……」
「葵ちゃん!?」
「まさか、葵さんとも……」
「私の方から説明させていただきます。実はレンは、私や奏海と幼馴染みなんです」
「え!」
「幼馴染みだって!?」
「え、じゃあレンさんって……」
「レンの出身は私達と同じですし、学年も同じです。小学校でも同じクラスでした」
「皆様、今までは隠していましたが、僕は無所属のタレントではなく、スノーフレークの社員の1人なんです。芸能界での仕事の依頼が、僕の主な仕事です」
「それじゃあ、奏海さんと仕事の話をしていたというのは……」
「はい、普通に社長から次の芸能界での仕事の話をされていただけです。ホテルでしていたのは、あそこのホテルはスノーフレークの系列のホテルでして、社長である奏海ちゃんは視察の仕事も兼ねていまして……」
「感じ方というのは人それぞれ違うものですからね。奏海1人よりは他の人も見た方がいい。そして男女で気付ける事への違いも多くあります。だから奏海はレンと共にホテルの視察をしていました」
「それが真実とはいえ、ファンの皆様に誤解を与えた事、本当に申し訳ございませんでした」
「じゃあレンさんと桜野会長は……」
「はい、本当に恋仲ではありません。そもそも奏海ちゃんは空音っていう恋人が……」
「ちょっとレン!」
「あっ……」
「何ですか?」
「今の話、もっと詳しく!」
「え、えっと……」
「全く……」
「申し訳ございません。後で奏海ちゃんに怒られてしまうので……とにかく、僕と桜野会長は恋仲ではありませんので!」
「そして、これが事実であると共に、先日放送されていた特番がおかしいという事は皆様にもご理解いただけたかと思います。あの奏海と同級生だと語っていた方は、全くのでっちあげを語っていたのだという事が」
「仮に本当に同級生だとしたら、僕の事も知っているはずですからね」
「なるほど……」
「確かに……」
「ではあの内容は……」
「我々スノーフレークとしましては、先日のあの放送に対し、桜野奏海に対する名誉毀損とし、訴訟を起こそうかと考えております」
「奏海ちゃんは何でもお金で解決するような、お金が全てだというような考え方をしてはいません。どちらかといえば何でも武力に頼るような、武力行使主義というか……」
「レンっ! いい加減にして!」
「すみません……」
「奏海さんとレンさんが恋仲ではないのは分かりました。ですが先程からお2人は随分と仲がよく見えますが、本当はあなた方がお付き合いしているのではー?」
「「は?」」
「え……」
「失礼、なんでしたっけ?」
「ですから、お2人はどのような関係なのかと……」
「幼馴染みです」
「それ以外にはありませんね」
「本当に幼い頃からずっと一緒にいるので、私達は恋人というよりは兄弟というような関係なんです。ですので、私とレンが恋仲など、ありえません。二度とそんな事は聞かないで下さいね」
「わ、分かりました……」
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