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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode2 友人の宝誘拐編

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心配性

美代子さん視点です。

 いきなり現れた男は、由佳ちゃんと陸君を誘拐したと言った。

 身代金は5千万円。

 家にそんな大金はない……

 私は男に言われるまま、紅葉ちゃんを呼び出してしまった。

 ごめんなさい、紅葉ちゃん……


ピンポーン


「こんにちはー」

「いらっしゃい……」


 紅葉ちゃんが来てしまった……

 リビングに来てもらい、さっきの男がカメラを仕掛けたテーブルの席に座ってもらう。

 とりあえず、お茶を出す……


「今日はお孫さんが来る日じゃありませんでした? 良かったんですか? 私がお邪魔してしまって」

「えぇ……その、ね……陸君は来られなくなって、息子の浩一だけ来たんだけど……」

「どうかしました?」

「紅葉ちゃん、その……お金を貸してもらえないかしら? えっと……浩一がね、起業に失敗しちゃったみたいで……」


 ごめんなさい、紅葉ちゃん……

 本当にごめんなさい……


「それは大変でしたね。息子さんは今どこに?」

「あ……ゆ、友人とか他に誰か頼れる人はいないか、探しに行ったわ」

「そうですか……それで、おいくらほど必要何ですか?」

「ご、5千万円……その、今日中になんだけど……」

「5千万ですか……それはまた、なかなかですね」

「い、今すぐは無理だけど、必ず……必ず返すからっ! その……貸してもらえない?」


 3人さえ無事に帰ってきてくれれば、売れるものも全部売って……

 きっとそれでも5千万なんて足りないだろうし、私も働き手を探して……

 本当に絶対にお金は返さないと……


「うーんと、スノーフレークにお金の依頼という事にになると、結構手続きとか色々ありまして……それに確実に返してもらうために、生活にも制限させて頂くことになっちゃうんですよ」

「そ、そうなの? じゃあ、やっぱり無理?」

「いえ、他ならぬ美代子さんからのお願いですからね! 大丈夫です。私がなんとかしましょう」

「え? なんとかなるの? 5千万円なんて……」

「ええ、なんとか交渉してみます!」


 紅葉ちゃんは笑顔でそう言ってくれた……

 でもそれってスノーフレークの規則に反してるんじゃないかしら?


「その……頼んでおいて申し訳ないけど、紅葉ちゃんのスノーフレークでの立場とかに影響しない? 大丈夫?」

「美代子さんは心配性ですね。大丈夫ですよ」


 紅葉ちゃんはスノーフレークで働く社員さんでもあるけど、実際はまだ高校生。

 そんな彼女に迷惑をかけてしまってる。

 スノーフレーク社長の桜野奏海ちゃんとは友達だって、前に言ってたけど……

 他の社員さん達との関係とか、大丈夫かしら?

 あの子は社長と直談判しながら仕事してるとかって、後ろ指さされないかしら?


「とりあえず15時までは奏海も会議があるはずなので、15時になったら電話してみます。それで大丈夫ですか?」

「えぇ、今は14時20分……大丈夫だと思うわ」

「じゃあ、15時まではいつもみたいにお話しましょう」

「そうね……」


 あと40分……

 ごめんね、紅葉ちゃん……


「今日は急だったので、お菓子を何も持ってこれませんでしたが……」

「あぁ、頂き物のケーキならあるわ。今、紅茶入れるわね」

「ありがとうございます。手伝いますね」


 陸君が来てくれるからと買っておいたケーキ。

 これで紅葉ちゃんが少しでも喜んでくれるといいんだけれど……

 自分の分と、紅葉ちゃんの分のケーキと紅茶を、あの男がカメラを仕掛けたテーブルに用意した。


「お孫さん、今日来れなくて残念でしたね」

「そ、そうね……それどころではなくなってしまったみたいだから……」


 私がリビングの上に飾ってあった陸君の写真を見ながら言うと、


「この子がお孫さんですか? 可愛いですね!」


と、言ってくれた。

 本当に可愛い陸君。

 無事かしら? 今の私には無事を祈ることしか出来ないわ……


「これは陸君がまだ3歳の時の写真だから……今は5歳だけど、本当に可愛いのよ」

「最近の写真はありますか?」

「ええ、私の携帯に送られてきた奴があるわ。ちょっと待ってね」


 紅葉ちゃんに陸君の写真を見せようと携帯を取りに行く。

 その時、ふと考えが頭をよぎった。

 この携帯で、どうにかして紅葉ちゃんにこの状況を伝える事は出来ないかしら?

 例えばメールとかで……


「どうしました? 美代子さん?」

「あ、あのね……紅葉ちゃん。その……」


 携帯を取りに行った私が、携帯を持ったにもかかわらず、その場で硬直していたからか、紅葉ちゃんが近づいてきてくれた。

 ここからならカメラを仕掛けられたテーブルからも離れているし、上手く紅葉ちゃんに伝えられるかもしれない。

 そう思った時、


ドンッ


2階から大きな物音がした。

 さっきまで、どうにかして紅葉ちゃんに伝える方法はないかを考えていたけど、急に現実に引き戻されたような感覚。


「なんか、2階から大きな音しましたけど?」

「そ、そうね……見てくるわ」

「私も行きますよ」

「いえいえ、危ないかもしれないし……」

「それなら余計に一緒に行きますよ」

「大丈夫よ……その、2階は散らかっててね。だから見られるの恥ずかしいのよ。何かあったら大きい声で呼ぶから、紅葉ちゃんはここで待っててくれる?」

「そういうことでしたら、お待ちしてますね」


 よかった……

 なんとか紅葉ちゃんは待っててくれることになった。


 それにしてもさっきの音。

 銃声とかではなかったけど、浩一は大丈夫かしら?


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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