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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode8 情報遮断見落とし編

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変化

渚視点です。

キーン コーン カーン ガララッ! コーン!


「おはよ……」

「今日もギリ間に合ったね」

「昨日はどこにいってたの?」

「ヨーロッパ」

「わぁお!」


 相変わらず葵は、チャイムギリギリに登校してきた。

 この間の柴崎君が葵の仕事を代わった時、翌日の柴崎君は遅刻だった。

 だからやっぱり、ギリギリとはいえいつも間に合っている葵は、本当に凄いんだ。


 ただ、その柴崎君の遅刻によって、葵が毎日ヘリコプター登校をしていた事が発覚した。

 そのために屋上を解放してもらったんだと当然のように葵は言っていたけど、流石にどうかと思う。


「俺もヘリを使ってたら間に合ってた!」


と、柴崎君は言っていたけど、そういう問題じゃない。

 そもそも、どこからどうヘリコプターに乗っているんだろう?


 そんな無茶苦茶が相変わらずの葵にも、変わった事がある。

 前は休み時間に書類仕事をしていた。

 でもこの間の授業中に書類仕事が出来た事に味を占めたようで、あれから書類仕事は全部授業中にやるようになったんだ。

 そのお蔭で、休み時間はゆっくり私達と話ができる。

 たまに葵にお客さんがきたりして、ゆっくり出来ない時はあるけど、それでも今までと比べたら圧倒的に葵と楽しく過ごせるようになった。


 ただ、流石に先生にもバレているので、先生も自分の授業が聞いてもらえていないとショックを受けていた。

 聞いてなかっただろっ! って怒って問題を出しても葵は答えてしまって、先生が可哀想だった……

 一応私と真衣で、


「葵は、先生の授業をちゃんと聞いていますし、ノートもとってますよ!」

「それでも書類もできちゃうんですよ!」

「いや、いいんだ、お前達……私の授業なんて、刀川に不要な事は分かってる……あの、刀川だもんな……」

「いえ、葵にも先生の授業は必要ですよ! 前に葵、先生の授業は雑学も含んでるから面白いって言ってましたから!」

「そうですよ! それに励ましで言ってるとかじゃなくて、あんな状態でも授業をちゃんと聞いているのも本当です! 私達、前に麻里奈ちゃん……えっと、奏海さんと会ったんですけど、右手も左手も違う仕事しながら、視線も違うところで、私達と会話してきてたんですよ! スノーフレークの人って、多分そんな感じなんですよ!」

「そ、そうか……そうなのか!」

「「はい!」」


と、励ましておいたので、多分大丈夫だとは思うけど。


キーン コーン カーン コーン!


「お疲れー」

「帰りにあの店寄ってこー」

「いいね、いこいこー」


 授業が全部終わり、放課後になった。

 今日は部活もお休みの日だし、遊んで帰りたいけど……


「葵、今日も仕事だよね?」

「いいえ、今日はお休みをもらっているの」

「えっ! 本当!?」

「じゃあ遊んでこうよ!」

「あ、ごめんなさい……今日はその、予定があってお休みをもらったものだから……」

「そうなんだ……」


 葵が今日は休みだと言ったから、遊べるのかと思ったけど違った……

 やっぱり忙しいよね……


「……」

「葵?」

「ねぇ? 渚、真衣……」


 なんだろう? こんな改まって?


「その……もし2人の迷惑でなければ、今日一緒に来てくれないかしら?」

「えっ! 葵の用事に?」

「えぇ……」

「勿論オッケーだよ!」

「まだ何の用事かも話してないわよ?」

「それでもオッケーなの! ね、真衣」

「うんうん!」


 珍しく、少し不安そうな葵。

 しかも私達を頼ってくれている。

 そうとなればどんな用事だろうと、断る訳はない!


「ありがとう。実はね、ずっと祖父母の家の方で暮らしていた弟と妹が、今日からこっちに来る事になっているの。これからはこっちで私と一緒に暮らして、あの子達もこっちの学校に転入する予定だから……」

「へぇ……って、良かったじゃん! 賑やかになるね!」

「弦君と栞ちゃんだっけ?」

「えぇ。ただ、姉として恥ずかしい話なんだけど、会うのが久しぶり過ぎて、どう接したらいいのかが分からないのよ……手紙のやり取りはしていたんだけど……」

「だから私達にも一緒に来て欲しいって?」

「ごめんなさい……無理にとは言わないわ」

「いいに決まってるでしょ、全く」

「何でも超人の癖に、可愛い悩みだなぁ」

「渚、真衣、本当にありがとう!」


 葵は緊張が少し和らいだからか、とても嬉しそうに笑ってくれた。

 その笑顔に、教室に残っていた男子達が騒いでる。

 私達でさえたまにしか見られない葵の笑顔が、こいつらにまで見られてしまうとは……

 これはまた、葵への告白者が続出するだろうな……

 まぁ、仕方ないか。


 それにしても、ずっと会っていなかった弟と妹か。

 緊張してしまうというのも分かる。

 葵は特に、姉らしくと気を張ってしまうだろうし、どう考えても私達が着いていって、できる限り和やかな雰囲気にするべきだ!

 何より葵が私達に頼ってくれたんだから、気合いを入れていかないと!


 弦君と栞ちゃんに会えるのが、本当に楽しみだ!

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

episode8は完結です。

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