決行
犯人視点です。
作戦決行の日曜日。
あの家族の家の前で待つ。
10時頃、家族3人で出かけていった。
俺達は尾行し、その親の家を突き止めた。
「あとは上手くガキを誘拐出来るかだな」
「まぁ婆さんの家分かったんだし、ガキ誘拐は今日じゃなくても良いんじゃないか?」
「そうだな」
そんなことを話していたら昼過ぎ……
女とガキだけが出てきた。
「おい、今日はついてるぜ。やっぱ今日だな」
「そうだな、いい感じにあの2人だけ出てきたな」
「よし、作戦決行だ。お前等はあの2人誘拐してこい」
「おう」
俺は婆さんの家で見張り役だ。
全員で誘拐して脅すより、俺は俺で家の中から婆さんに指示した方がいい。
なんなら旦那の方を捕まえておけば、人質も二重の保険がかけれるし。
あいつ等が女とガキの誘拐に成功したようで、あの2人の口にガムテープがしてあり、縛られてる写真を送ってきた。
よし、準備完了だ。
俺は婆さんの家のチャイムをならした。
ピンポーン
「はい」
「はじめまして、こんにちは。ちょっとこの写真見てもらえます?」
俺は婆さんに携帯を渡した。
見せたのは、さっきの女とガキを縛ってある写真。
「えっ……え? 陸君? 由佳ちゃん? あの、どういうことですか!?」
「とりあえず、お邪魔しまーす」
「なんだ? どうした、母さん?」
俺が家への侵入に成功すると、奥から旦那の方が出てきた。
「どーも、あんたの奥さんと息子、誘拐したんで」
「は?」
「あのっ! どういうことですかっ!? 2人は無事なんですよね?」
婆さんの方はもう混乱している。
「女とガキ返してほしかったら、身代金として5千万用意しろ」
「なっ! 5千万!? そんな大金、家にあるわけないだろう!」
旦那の方が興奮気味に言ってきた。
まぁ、そうだろうな。
そんな大金、お前等が持ってるわけねぇよな。
「お前等は持ってなくも、金持ちの知り合いならいるだろ?」
「は? 金持ちの知り合い?」
「あんたの知り合いにいんだろ? 金持ちと繋がりがある奴が」
「そんな知り合い……私にはいないわ……」
俺が婆さんを指差しながら言ったのに、婆さんはいまいちピンときてないようだ。
スノーフレークが金持ちの会社だって、知らねぇのか?
「なんだ? 知らねぇのか? スノーフレークっていえば超金持ちの桜野グループの経営だぜ」
「あなた、まさかっ! 紅葉ちゃんにお金を頼めっていうの?」
「あぁ、そうだ」
やっと分かったようだな。
紅葉ちゃんとかいう名前かどうかは知らねぇけど、多分ソイツがスノーフレークだろう。
「そんなこと……できるわけないでしょう?」
「出来ないってんなら、コイツ等が帰ってこねぇだけだ」
「そんなっ!」
「そんなに悩むほどのことでもねぇだろ? スノーフレークの知り合いに、ちょっと金貸してって言えばいいだけだ」
「でも……紅葉ちゃんに迷惑が……」
「なら、コイツ等とはサヨナラだな」
「あっ! 待って! 分かったわ……」
「よし、なら連絡しろ。分かってると思うが、誘拐されたとかは言うなよ。とりあえずこの家に呼び出せ!」
婆さんに電話をかけさせる。
「あっ、あの……紅葉ちゃん? ごめんなさいね……その、仕事中に……えっと、今日家に来れないかしら? ごめんなさいね……その、ちょっとお願いしたいことがあって……うん、ありがとう」
どうやら呼び出すのには成功したようだな。
「いいか? このリビングにカメラを仕掛けておく。俺がその映像を確認してるからな。もし、ちょっとでも知らせるような素振りがあれば……」
「分かってる、分かってるから……でも、どうやって言えば?」
「そんなの、息子が起業に失敗して今日中に金が必要になった、とか言えばいいだろっ!」
「わ、分かったわ……」
「俺は2階で見てるからな。家族全員無事に返して欲しければ、俺に従えよ。おい、お前も来いっ!」
「お、おい。離せっ!」
俺は旦那を連れていこうとしたが、地味に抵抗してきやがる。
しょうがねぇな……
俺は旦那に拳銃を向けた。
「人質は別に2人で足りてんだ。お前はここで死んどくか?」
「なっ!?」
「やめてっ! お願いだから、やめて! 浩一も由佳ちゃんも陸君も大切なの!」
「なら、失敗すんじゃねぇぞ。ほら、お前は来い」
「くっ……分かった……」
順調、順調。
あとはスノーフレークを待つだけだ。
読んでいただきありがとうございます(*^^*)




