表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode7 開かずの蔵と記憶編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

233/425

所属先

凛緒視点です。

「初めまして。スノーフレーク社長秘書をしております。刀川葵です」

「お会い出来て光栄です。財前凛緒と申します」

「本日から正式にスノーフレークで働いて頂く事となりますが……」

「はい! よろしくお願い致します」

「やる気満々なのは構いませんが、スノーフレークはそう甘い組織ではありません。憧れの職場だからと舞い上がらず、緊張感を持って仕事に取り組んで下さい」

「もちろんです」


 あの赤い羊事件で活躍されていた刀川葵さん。

 遂にお会いしてしまった。

 クールというか何と言うか、厳しそうで、少し怖い印象のある人だ。


「では、財前さんの所属部署へとご案内致します」

「はい」

「一応お伝えしておきますが、新入社員を私が案内するなんて事はそうそうありません。これは財前さんが奏海から期待されているが故です」

「は、はい!」

「奏海からの期待を裏切らないよう、お願いしますね」


 私は奏海さんに期待してもらえているのか……

 社長秘書である彼女に案内していただけるなんて、こんな光栄な事はない。

 これはもっともっと、気を引き締めないと!


「あ、あの……ここが私の職場ですか?」

「そうですね、鍵はこちらをどうぞ」

「ありがとうございます」


 職場として案内されたのは、高層マンションだった。

 入り口からは楽しそうなご家族が出ていったし、普通にここに住んでいる人達がいるんだろう。

 まさかそんな場所に、スノーフレークの職場があるだなんて……


「7階のこの部屋、まぁ隣でも構いませんが、このマンションの7階が財前さんの職場となります」

「7階は全て、スノーフレークの管轄という事ですか?」

「そうですね。そしてあなたの上司となる者は、大体この部屋にいることが多いです」

「分かりました」


 私の心の準備が出来た事を察してくれたようで、葵さんが扉を開けてくれた。


「みー、連れてきたわよ」

「うぃー、そーたー? 出迎えてあげてー」

「はい」


 奥の部屋の方から声が聞こえたと思ったら、


「お待ちしてました。財前凛緒さんですね」


と、高校生くらいの男の子が出てきてくれた。

 見るからに高校生だけど、スノーフレークの人はわか見えの人も多いし、この人が本当に高校生かどうかは分からない。


「はい、今日からよろしくお願いします」

「こちらこそです。僕はななさんの助手をしている、青島創太と言います。助手といっても、ご飯の用意とかお風呂掃除とかの雑用ですけど」

「そ、そうなんですね……」

「こちらへどうぞ」


 創太さんは優しく笑って奥へと促してくれた。

 スノーフレークの職場とはいっても、やっぱりマンション。

 もっと事務所的な場所かと思えば、普通に生活していけるような部屋だ。


 そして、一番奥の部屋へとくると、カタカタとパソコンに向かっている女性が1人……

 この人が私の上司……あれ? この方……?


「ななさん、財前さんがみえましたよ」

「ほーい」

「みー、来るって言ってあったでしょ? 何してるの」

「ちょっとね……うん、よし。改めてどうも」


 創太さんと葵さんから呼ばれて、顔をあげて下さった女性……

 やっぱり、間違いない。


「あ、あの……? もしかして、金本実梨さんですか?」

「えっ?」

「すみません。私、以前にあなたの論文を読んだことがありまして……受賞の際のニュースからお顔も覚えておりましたので……」

「おー!」

「なるほどね」

「ふふっ、名乗る前に正体がバレたのは初めてよ。あなた、面白いわね」

「いえ、そんな……」


 私の発言に創太さんは驚き、葵さんは納得したように頷いておられ、実梨さんは楽しそうに笑われている。

 ただ自分の好きな人を覚えていたというだけで、こんな反応をしてもらえるだなんて……


「ななさんって、本当に有名人だったんですね」

「ちょっと創太。何よその言い方」

「だって名前を隠してるような有名人のくせに、顔は全然隠さずに出掛けたりするじゃないですか」

「私は、名前が有名なの! 顔なんて、ニュースで小さいのがすこーし放送されちゃったくらいだから、覚えられてる事なんてそうそうないのよ」

「でも、覚えられてましたよ?」

「だから凛緒はここの所属になったのよ」

「羨ましい限りです」

「創太も頑張りなさいな」

「はい」


 創太さんと実梨さんが楽しそうに話している。

 助手だと言っていたけど、恋人なんだろうか?

 でも、そういう感じでもないし……


 それにさっきから呼び方が気になる。


「先ほどから創太さんが仰られているななさん、というのは?」

「私の偽名? かしらね。これからは凛緒もそう呼んで頂戴」

「分かりました。これからよろしくお願い致します、ななさん」


 憧れの奏海さんの作られた会社、スノーフレークで、実梨さんにまで会えるだなんて。

 これからは私も、ここでスノーフレークの一員として頑張っていくんだ。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ