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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode7 開かずの蔵と記憶編

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225/425

蔵の開け方

凛緒視点です。

 喜和子さんはまだ部屋にいるけど、気にしないで話を進めていく。


「まず、凛緒さんに思い出して欲しいのは、正宗さんが見せた、たくさんの絵よ」

「絵? どの絵ですか?」


 お祖父様は本当にたくさんの絵を見せて下さった。

 だからどの絵の事なのか分からない。

 もちろん全ての絵を覚えているけど……


「正宗さんが描いた絵よ」

「それもたくさんあります」

「そうなのね。まぁ仮に正宗さんが描いた絵が鍵だと気付く人が現れても、どの絵かを分からないようにしていたんでしょうね」

「それで、どんな絵なんですか?」

「白い背景に、黒い歪な線や点だけで書かれた絵よ」


 白い背景に歪な黒の……あぁ、確かにある。

 でも、それでもかなりの枚数だ。


「もう少し特徴を絞れませんか? 今のままだと、50枚はあるんですけど?」

「私が聞いた話だと30枚くらいだったから、きっとダミーもあるのね。えっと、そうね……多分、端にサインか何かを残してると思うわ」


 端にサイン……?


「35枚くらいまでは絞れました」

「ならもうそれを描け! 元々30くらいだってんなら、35でもそんなに変わらねぇよ」

「えっ、まさか私が書いて再現するの?」

「そりゃそうだろ」

「物置小屋から同じ絵を探すのではなくて?」

「残念だけど、絵は全て私が燃やしました……」

「は?」

「ちょっとあなたっ! なんて事を!」


 七緒の言葉に、喜和子さんが掴みかかるようにして叫び出した。

 でも、私も納得できない……

 お祖父様の絵を燃やすだなんて……


「申し訳ございませんが、私も凛緒さんと同じ。蔵が開こうが開くまいが、どうでもいいんです。雄治郎さんは絵が鍵だという事に気付きかけていましたし、凛緒さんを守るためには燃やす他なかったんです……正宗さんの、大切な作品である事は分かっていましたが……」


 七緒は本当に辛そうだ……

 七緒にとっても、最愛の人の描いた作品を燃やすというのは、相当に苦しい事だったんだろう……


「なぁ、雄治郎が気付きかけてたって、本当か?」

「はい……」

「ふっ、ならあるかも知れねぇな」

「……はい?」

「だから絵だよ。雄治郎だって、あんたが絵を狙ってると思ってたはずだ。だったらすり替え位してるさ、あいつなら」

「……フク?」

「雄治郎の部屋はどこだ? 俺が探す」

「私が案内するわ、こっちよ」

「おう」


 そうしてフクを叔父様の部屋へと連れてくると、フクはポケットに仕舞われていた手袋をはめて、叔父様の部屋をあさり始めた。

 その姿はまるで、警察の鑑識の人みたいだ。

 どことなく楽しそうに見えるけど、さっきの私と七緒の会話は、そんなに聞いていてつまらなかったんだろうか?


「お、あったぞ」

「えっ! 嘘……」


 私がそんな事を考えている間に、フクはあっさりと絵の束を見つけてしまった。

 隠し金庫の中だったというのにも関わらず……


「ちょっと、ちょっと見せなさいよ!」

「あんたが見たって分からんだろ」


 ずっと部屋の外から様子を見ていた喜和子さんは、絵が見つかったと聞くやいなや、飛び込んできた。

 本当に、行動力だけは凄いと尊敬する。


「ほら、凛緒。この束から、お前の記憶と一致する35枚を見つけ出せ」

「え、えぇ……」


 そう言ってフクが渡してきた紙の束……

 100枚近くはある……


 全く……いくら全てを覚えているとはいっても、記憶と一致させるのは結構大変だというのに……

 こっちの苦労も少しは考えて欲しいものだわ。

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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