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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode7 開かずの蔵と記憶編

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217/425

看破

財前雄治郎視点です。

「ふふふっ。ありがとうございます、叔父様。それを確認したかったの」

「り、凛緒ちゃん?」


 さっきまで震えていた凛緒ちゃんは、急に人が変わったように楽しそうに笑い始めた。

 私が背中を支えていたはずなのに、いつの間にか離れてしまっていて、副社長の方へと歩いていく……


「凛緒ちゃんっ! どうしたと言うんだ! 騙されてはいけない! その人達は君を騙して……」

「ごめんなさい、叔父様。騙していたのは私なの」

「は?」

「お願いします」

「確保ー!」


 訳の分からない凛緒ちゃんの言葉に反応したように、ぞろぞろとスーツ姿の男達が現れた。


「誘拐の現行犯で逮捕ね」

「誘拐はちょっと……本当にされてた訳じゃないし、事情聴取が面倒だから……」

「まぁ、この場はとりあえず誘拐しかないんだし、誘拐でいいじゃん」

「そうだな」


 スーツ姿の男達と一緒に現れた、かなり偉そうな女……

 こいつ等は刑事で間違いないようだ。

 私も彼も、彼の仲間達も、全員拘束されていく……


 その現れた女も副社長の方へと行き、凛緒ちゃんと女装男を交えた4人で、何か話し合っている。


「凛緒ちゃん? これは、どういう事なんだ……どうして私が、誘拐で捕まるんだ?」

「嫌だわ、叔父様ったら。この期に及んでまで、何を仰っているのかしら?」

「こんなのはおかしいじゃないか! 私は誘拐犯から凛緒ちゃんを助けたんだ!」

「そういう演技じゃありませんか」

「な、何故私を信じてくれないんだ……」


 いくら凛緒ちゃんがスノーフレークを敬愛しているからといっても、相手は桜野奏海ではなく副社長だ。

 そんなに信頼出来る関係を築いていたようにも思えない。

 それなのに、何故……


「はぁ、叔父様? あなたは最初、何をしましたか?」

「な、何をって……」

「私の意識が戻るよう、散々揺すってくれましたね。まぁ、強い薬を嗅がせたつもりのようでしたし、確かにそのくらいやらないと起きなかったでしょうけど」


 まさか、最初から起きていたというのか?

 でもだからといって……


「乱暴に思ったのなら謝る……だけど、私も必死だったんだ!」

「私の意識が戻ったと分かってからの行動も妙でしたね? 明らかに私が捕まっていたのだという状況に納得させてから、私の拘束をほどきました」

「そんな事はっ!」

「ここまでの道中も、ずっと逃げられないようにと捕まえていましたし……」

「あれは捕まえていたんじゃない! 支えていただけだ! 大切な凛緒ちゃんに、これ以上なにかあってはと!」

「大切な、ねぇ?」


 凛緒ちゃんは1歩1歩と、私の方へと近づいてきて、


「だったら大切な凛緒の事、見間違えてんじゃねぇよ!」


と、男の声で怒鳴ってきた……


「ははっ、そうか、そういう事か……」

「そういう事だ」


 全てを理解した私の呟きを聞いた副社長が、今の理解で正しいのだと肯定してきた。

 私達が誘拐した女達は、凛緒でもエリンでもなく、女ですらなかったのか……


「何故、こんな事を?」

「凛緒にあんたの本性を知らせねぇためだよ。凛緒はあの家族の中でも、唯一あんただけは信じていたからな」

「やはり、お優しいのですね……だから嫌だったんですよ」

「……何がだ?」

「あなたに連絡するのがです」

「そのせいで、こんだけ長引いた」

「おや、それはいいことを聞きました。私もしてやられてばかりではなかったのですね……」


 この副社長の奏海を語るあの姿……

 思い出したくもないあの光景を思い出させてきた。

 

「君は先程、私が凛緒を大切だと言った事を咎めて来ましたね?」

「あ? あぁ」

「君の言う通りですよ! 私は凛緒を大切になんて思った事など、ただの一度もない! あんな姪っ子、いや()……恨んだ事しかないんですよ!」

「……瀧沢さん、お願いします」

「えぇ、連れていけ」

「はいっ!」


 今の私の発言を驚かないという事は、そういうことなのでしょう。

 私の事、凛緒の事、蔵の事……

 財前の事は全て、スノーフレークに知られてしまっていたんだ……

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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