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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode7 開かずの蔵と記憶編

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214/425

監禁

モブ敵視点です。

 俺は依頼人の指示通りに、とあるホテルを見張っていた。

 何でも今まで全く動きのなかったターゲットが、遂に今日動くんだとか……


 ずっと何の動きもないスノーフレークを見張ってばかりいたからな。

 正直飽きていたんだ。

 やっと動いてくれて、本当によかったと思う。


 ホテルの入り口からターゲットが出てきた。

 少し変装はしているようだが、財前凛緒で間違いはない。

 一緒にいる女は、エリンとか言う外国人だろう。

 報告は受けている。


 あの外国人は凛緒を守る役も兼任しているんだろうし、それなりに警戒はしたほうがいいだろう。

 とはいえ、俺達が失敗する事などはあり得ないが。


 仲間達と共に尾行し、俺達が尾行している事に気付くように、敢えて分かりやすく動いてやる。

 しっかりと気付いてくれたようで、外国人は凛緒を庇うように動きながら、逃げてくれた。

 もちろん人通りの少ないような、危ない道に逃げ込んだりはしてくれない。

 そんな捕まえやすい奴だとは、俺達も思っていない。


 だから依頼人も大人数を雇ったんだろう。

 団体旅行客に扮した俺達の仲間。

 人通りの多い、誰からも見られるようなところへ出て、一安心だと油断している凛緒と外国人は、団体旅行客だと思っている奴等とすれ違う。

 そしてそのまま、団体にのまれるように、一緒にバスの中へ回収されてしまうという手筈だ。


 いくら人通りが多く、沢山の人の目があるとは言っても、女2人と団体客のすれ違い、そのすれ違い後に2人の女がいなくなったとしても気にしている奴なんていない。

 余程不審にでも思われていない限り、人混みの中で何が行われているのかに興味を持たれる事もないはずだ。

 人を隠すには、やはり人が丁度いいものだ。


 俺達は、難なく2人の女を拐う事に成功した。

 だが、俺達が敵に回しているのがスノーフレークだということも忘れてはいけない。

 しかも相手はスノーフレークの副社長様らしい。

 そんな奴が、大事な凛緒の護衛を1人に任せているとも考えにくい。

 おそらく他にも見ている奴がいたはずだ。

 そして今頃は既に、副社長の元に凛緒拐われたという情報も届いている事だろう。


 もちろんそれも俺達の想定内だ。

 依頼人の話では、スノーフレーク副社長は凛緒が拐われたからといって、警察と共に騒いだりする事ないのだという。

 だからこそ、無関係な奴等にさえ見られ、騒がれる事がなければ、問題はない。

 寧ろ、副社長に知られる事は好都合とも言える。


 俺達の計画には、何の抜かりもない。

 後は依頼人の望む情報を聞き出す事さえ出来れば、俺達もお役御免だ。

 報酬をもらって、次の仕事をするだけ……


「さて、そろそろ吐いてもらおうか?」

「……」

「いつまでだんまりを決め込むつもりだ?」

「……」

「俺も女をいたぶる趣味はねぇんだぞ?」


ベシャッ!


 両手首をロープで縛り上のパイプに引っ掛けて、宙吊り状態になっている外国人に、バケツ一杯の水をかける。

 だが、顔は俺達を睨んだままということは、何も話す気はないんだろう。


「凛緒から聞いた事でもいいし、副社長の弱点でもいい。あいつ等に忠誠心があるわけでもないんだろう? だったら答えた方が、あんたにも得だと思うんだがね?」

「……」

「その体勢も辛いだろう?」

「……」

「あんたが俺達の側に付くっていうんなら、すぐに解放してやるよ。俺達の指示通りに副社長に連絡するだけだ、簡単だろ?」

「……」


 何を言っても喋らない。

 言葉が通じないって事はないはずだが……?


 30代そこそこの女だとは聞いていたが、かなり若く見える。

 外国人はこんなもんなのかとも思うが、ブロンドの綺麗な髪やグレーっぽい瞳も珍しく、顔も小さい。

 体も……悪くはないし、かなりの上玉と見ていいだろう。

 何をしても話しそうにはないし、ちょっと遊ばせてもらう方がいいかもしれないな……


「おいっ! 財前凛緒が起きたぞ! どうするんだ?」

「あ? そっちいく」


 ちっ、折角今から遊ぼうと思ってたのにな……

 まぁいいか。


 凛緒の方へは依頼人との約束もあって、手荒な真似は出来ない。

 何より死なれては困るらしい。


「じゃあまた後でな、エリンちゃん」


 俺を殺したいような瞳で睨んでいるエリンちゃんに背を向けて、凛緒を押し込めてある部屋へと向かった。

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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