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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode7 開かずの蔵と記憶編

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208/425

コールセンター

綾瀬久実視点です。

 今日の私のお仕事は、電話番です。

 スノーフレークでは電話での相談受付も行っておりますので、これも受付担当であるの私達仕事なんですよね。


♪♪♪♪♪

♪♪♪♪♪

♪♪♪♪♪


 今日もひっきりなしに電話がなっています。

 お客様と直接会って依頼内容を伺うのもそれなりに神経を使いますが、こういった相手が見えない電話対応というのも、なかなか堪える仕事なんですよ……

 あと、私の個人的な意見としましては、電話のお客様の方が怒りっぽいです……

 だから苦手です……


♪♪♪♪♪


 苦手だからといって、仕事から逃げる訳にはいきませんからね!

 ちゃんと出ますよ!


「お電話ありがとうございます。スノーフレーク、綾瀬が承ります」

「はじめまして。私は財前雄治朗と申します」


 電話に出られたのは、とても落ち着いた声の男性でした。

 声の印象からして、クレームではなさそうです。

 それに名乗って下さいましたからね。

 結構名乗って下さらない方、多いんですよ。

 あと偽名の方も……この方も偽名の可能性がありますし……ん? 財前……雄治朗……?


「……はい。どういったご用件でしょうか?」

「桜野奏海会長に取り次ぎをお願いしたいのですが、可能ですか?」

「お約束はされておられますでしょうか?」

「いえ。ですからこちらに……」


 ……なんとも困りましたね。

 おそらく電話の先にいらっしゃるのは、あの財前グループの現会長様です。

 そして、このスノーフレークの会長である桜野奏海さんに用があると……


 でも、私は受付ですからね。

 相手が大物であろうと、スノーフレーク受付としての対応をさせていただくしかできません。


「大変恐縮ではございますが、お約束のないお客様を桜野に取り次ぐ事は出来ません。ご用件をお聞かせ頂ければ、お伝えする事は可能ですが……」

「その場合、どのように桜野会長まで伝わるのですか?」


 どのように?

 変な事を気にされますね?


「私から受付主任の方へと伝えさせて頂きます。その後受付主任より、副社長へと伝わり……」

「それを止めて頂きたい!」

「はい?」


 先ほどまで落ち着いた声でいらしたのに、お客様は急に大きな声を出されました。


「いや、失礼……実は、桜野会長にお話したいのは、そちらの副社長についての話になるのです」


 なるほど!

 だから副社長に伝わると私が言ったのに反応されたのですね。


「かしこまりました。では、受付主任と交代させて頂いてもよろしいでしょうか?」

「はい。お願い致します」

「少々お待ち下さいませ」


 電話を保留にし、紅葉主任の元へ向かいます。

 今、ありがたい事に紅葉主任は接客中ではありませんからね。


「紅葉主任、電話の交代お願いします」

「あら、久実さんが? 珍しいですね」


 電話担当は基本的に、自分だけではどうしようもないと困ったら紅葉主任と交代する事になっています。

 皆ベテランさんばかりなので、そうそう紅葉主任と代わる人はいないのですが、それでもたまにあるんですよね。

 私も新人の頃は本当にお世話になりました。


「お相手が、財前雄治朗という名を名乗っておられまして、副社長関係で奏海さんに会いたいと仰ってるんです」

「なるほど。ふふっ、そうでしたか。それはそれは、代わらなくては」


 紅葉主任のこの反応……

 大体の状況は既に把握されているんですね!

 さすがです。


「お電話変わりました。スノーフレーク受付担当主任、四之宮紅葉が承ります」


 おぉ~!

 いつ聞いても惚れ惚れするような、美しい声です!

 紅葉主任は絶対に歌が上手いと思います!

 あ、でも、これで実は音痴というのも、可愛げがありますよね!


「申し訳ございませんが、副社長を通さずに桜野に直接お伝えする事は、当社の規約に反します」


 ん?


「ですが、それがお客様のご依頼となるのでしたら、可能ですよ」


 んん?


「はい。当社は何でも屋ですからね。どのようなご依頼でも、相応の金額を頂ければ、可能です」


 紅葉主任は何を仰っておられるのでしょうか?

 ただ副社長を飛ばして奏海さんに直接伝えるというだけの事なのに、それにお金を取るだなんて……


 まぁ、紅葉主任の事ですし、何かお考えがあるのでしょう。

 私が介入することではありませんね。


♪♪♪♪♪


 さて、次の電話に出るとしますか!


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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