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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode7 開かずの蔵と記憶編

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206/425

応対

凛緒視点です。

「あら、おかえりなさい。お疲れ様でした」


 その声に振り返ると、とても優しく笑っている四之宮主任がいた。

 どこからどう見ても優しい方なのに……


「中で少しお話しましょうか」

「はい……」


 会議室のような部屋へと入る。

 さっきのエリンさんの話を聞いた後だからか、余計に緊張してしまう。

 なにせ、3件のうち1件しか成功していないんだから……


「改めて、お疲れ様でした。体験した感想としては、いかがでしたか?」

「あ、あの……申し訳ございませんでしたっ!」

「え?」

「失敗続きで……」

「そのようですね」


 笑ってる笑顔が恐ろしい……

 内心は凄く怒っているんじゃないかしら?


「まぁ、初めての経験でしたからね。仕方ありませんよ」

「は、はぁ……」

「ですが、指輪探しに関してはお手柄だったようで」

「たまたまです……あれは、運がよかっただけですから……」


 本当にただ運がよかっただけ……

 あそこでお爺さんがこけなかったら、指輪を持っているかどうかなんて、分からなかったし……


「最初にお伝えしたと思いますが、本日のご依頼の皆様はお得意様方です。ですので、依頼達成ができるかはもちろんですが、それと同時に、スノーフレークの社員としての態度というものを、今までの他の方と比べていただくよう、こちらからお願いしておりました」

「そうなのですか!?」

「1件目、2件目共に、あまりスノーフレークには相応しくないという評価を受けていたんです」


 でしょうね……

 依頼は達成出来なかった上にあんな応対では、とてもこれからスノーフレークでやっていけるとは思えない。


「ですが、3件目は良かったですね。何やら仲直りも出来たそうで」

「それならよかったです」


 四之宮主任は本当に嬉しそうに笑ってくれている。

 あの奥さんとお爺さんは、そんなにいい報告をしてくれたのか……


コンコンッ!


「はーい」

「お邪魔しますね」


 あのお2人に感謝をしていると、ドアがノックされて、1人の女性が入ってきた……って、え?

 こ、このお方は……!


「お話中、ごめんなさいね。紅葉、急ぎでこの案件見ておいて」

「あ、分かった。財前さん、ちょっと席を外しますね」


パタパタパタッ!


 四之宮主任が小走りで部屋から出て行ってしまった。

 そして、まだ部屋に残っている女性……というか、奏海さん……


「あ、あのっ!」

「はい?」

「お忙しいのは百も承知なのですが、握手をしてはいただけませんでしょうか?」

「え、あぁ……はい。構いませんよ」


 奏海さんが、あの奏海さんが、私に手を差し出して下さった!

 その手を両手で握らせてもらう……


「本当に、ありがとうございますっ!」

「いえいえ、財前凛緒さんですね。頑張って下さい。期待していますよ」

「は、はい!」

「では」


 優しく微笑んで、部屋から出ていかれた。

 私、今……一生分の運を使ってしまったのかも……

 運で仕事を達成出来たくらいなのだから、運を使ってしまっては、もう絶対に何も達成出来ないんじゃ……


 いやいや、そんな事を言っていてはダメね。

 奏海さんに"期待している"といっていただけたんだもの!


「……え、は? なに……今の……?」


 私が気合いを入れ直していると、後ろでエリンさんが混乱していた。


「エリンさん? どうしたの?」

「あれが、奏海様? ないない……あり得ない……」

「エリンさーん? 聞こえてますかー?」

「あの方が笑うとか……」

「あのー?」

「あ、申し訳ございません。少し、あり得ないものを見てしまったので、動揺してしまって……失礼致しました」


 一応気付いてくれたけど、エリンさんのこの驚きよう……

 普段の奏海さんってどんな人なのかしら?

 それに、普段が違うのなら、どうして今は私にあんな応対をして下さったのかしら?


 本当にスノーフレークって、謎の多い会社ね……

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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