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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode7 開かずの蔵と記憶編

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204/425

誤解

凛緒視点です。

 転びそうになったお爺さんをエリンさんが助けに入ったけれど、倒れること自体は防げなかった。

 エリンさんを少し下敷きにするような形で、お爺さんは尻餅をついている。


「だ、大丈夫……ですか?」

「あ、あぁ、ありがとう……君こそ大丈夫か?」

「はい……」


 2人とも大きな怪我はないようで、エリンさんは起き上がろうと地面に手をついた。


「痛っ!」

「エリンさん?」


 エリンさんが手をついた先は、丁度お爺さんの着ている着物の袂の部分で、そこに入っていた何かに手をついてしまったエリンさんは、また悲鳴をあげた……

 お爺さんの袂……

 丁度指輪くらいのサイズの小さい何かが入ってるみたいだ……


「あの……それ……」

「こ、これはっ……その……」

「出してもらえますか?」

「……」


 少し険しい顔をしながらも、お爺さんは起き上がって袂へと手を入れてくれた。

 そして指輪をてのひらに乗せて見せてくれた。


「あっ! 私の……」

「……」

「どうしてお義父様が持って……まさかっ! 見つけてから隠していたんですか!?」

「……」

「私をこの家から追い出したいからって、私とあの人が喧嘩するように仕向けたんですね!」

「……」


 怒鳴るように怒る奥さんに対して、お爺さんは何も喋らない……


「ここまで最低だとは思っていませんでした!」

「……そもそも、落とす方が悪いだろ。大切なものなら落とすまい」

「なんですって!」

「まぁまぁ、落ち着いて下さい。見つけて届けに来て下さったんですよね?」

「……」

「お義父様はそんな方ではありません。私の探し物を先に見つけたとしても、その場に放っておくのがいつもですから。見つけて持って来るだなんて……あり得ません」


 喧嘩しかけたところをエリンさんが仲裁しているけど、奥さんの怒りはおさまらないみたいだ。


「そんな事ないですって。見つけて下さったんですよね? 凄いですよ! どこで見つけられたんですか?」

「……」

「あ、あの……?」

「ほら、どこで見つけたのかも言えないって言うのが、最初から隠してた証拠ですよ。人が探してるって知ってて、隠し続けていたなんて……」

「……」


 奥さんは隠していたと決めつけてしまっている。

 それに対して黙りを続けるお爺さん。


 どうしてお爺さんは何も言わないんだろう……

 こんな変な疑いをかけられたままなんて嫌だろうに……

 まさか本当に隠してたなんて事はないだろうし……?


「ふんっ! 勝手に言ってろ!」

「あ、待って下さい。違うんですよね? ちゃんと言わないと……」

「……」


 エリンさんが引き留めたのに対して、渋い顔をしている。

 この雰囲気からして、隠していた訳じゃないとわかるけど、どうして……?

 どこで見つけたのかが言えない場所なのか?

 そんなところ…………あ。


「あの、工具箱ではありませんか?」

「え?」

「工具箱に指輪が入っていたのではありませんか?」

「な、何故それを……」


 この反応、やっぱりそうだ。


「昨日、縁側の方で何か作ってらしたんですもんね? ワッシャーをしまった時に、落ちていた指輪も一緒にしまってしまったのでは?」

「そ、そうだ……さっき工具箱をみたら入ってて」


 やっぱりそうだったんだ……

 さっき奥さんは、昨日ここでお義父様が何かを作っていたと言っていた。

 それにあられのカスも落ちていたし、ワッシャーも落ちていた。


 辺りも気にせず道具を雑に出して作業をしていたのなら、誤ってしまってもおかしくない。

 隠していた訳じゃないのに見つからなかったんだから、よほど見つからないようなところにあった事を考えると、工具箱が一番だ。

 誤解がちゃんと解けそうでよかった。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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