食べ歩き
凛緒視点です。
休憩にご飯も食べたので、探し物再開だ。
「とりあえず私は子の間から探してみるわ」
「かぶらない方がいいよね? 私はどこから探そうか?」
「戌の間からお願いするわ」
「ん? いいけど、どうして戌なの? 反対から探して行くなら、亥の間じゃない?」
「亥の間はさっきの話になかったでしょ? 奥様が行かれた部屋から探した方がいいわ」
「あぁ~そうだね……それって、私は戌の次はどこ?」
「奥様の行動を逆に辿るのなら、辰の間と巳の間かしら? でも、部屋の近さで言えば、体操をされていたという未の間の方が近いわね」
朝食を食べただけの子の間よりは、体操をしたという未の間や、掃除をしたという辰と巳の間の方が、指輪を無くす確率は高いと思う。
となると、私が子の間を早々に探し終えて、辰と巳の間を探すというのが効率的だ。
エリンさんには、戌の間を探してもらったあと、未の間に言ってもらって、探し終えてから辰と巳の間の方にきた時に、入れ替わりで私が未の間に行けば……と、考えていると、
「凛緒ちゃん……記憶力かなりいいよね!」
と、エリンさんに言われてしまった……
「本当にすごいです! さっき私が言ったことを、全て覚えてらっしゃるんですね!」
「ごめんなさい、私は覚えていなくて……」
「いえいえ。言った私ですら、覚えておりませんから」
「た、たまたまよ。なんとなく覚えていただけで、もしかしたら間違って覚えたかもしれないわ」
「あってますよ! あと、多分さっきはいい忘れたと思いますが、洗濯物を庭に干しているので、庭にも行っています」
「庭、庭かぁ……かなり広いですね……」
「はい……でも、洗濯物はあの辺りにしか干しませんから」
「そうなんですね」
洗濯物を干したとなると、引っ掛かって指輪が取れてしまった可能性もある……
かなり落ちている可能性は高いな……
庭か……外だし、かなり広いし……
「やっぱり先に2人で庭を探しましょうか! 庭となると、暗くなってからでは探しにくくなってしまうでしょうし、明るい今のうちに探しておいた方がいいわ」
「そうだね!」
「よろしくお願いします。私も仕事が少し片付いたので、ご一緒させてもらいますね」
3人で庭に移動して、縁側を歩いてあると、
「痛っ!」
と、急にエリンさんがよろけてしまった……
「エリ、大丈夫? どうしたの?」
「なんか踏んじゃったみたい……」
「もしかして、指輪?」
「あ、ううん……なにコレ?」
エリンさんが足の下から出したのは、小さな茶色い塊だった。
ゴツゴツしているし、少しテカっているけど……
「あぁ……それは多分、お義父様が食べておられるあられのカスですね……大変申し訳ございません。食べ歩くのは止めるようにと、何度もお願いしているのですが、なかなか聞いていただけなくて……」
「そうなんですね……」
「大丈夫です、地味に痛いですけど……」
結構固めのあられだったようで、エリンさんは痛そうにしている……
少し注意深く縁側を見渡して見ると、他にもあられのカスは落ちていた……
結構だらしない方なのかしら?
「昨日ここで何か作っておられましたし、その時に食べていたんだと思います」
「なるほど……気を付けますね」
「申し訳ございません……」
もしかしたら他の部屋にも落ちているかもしれないという事だな。
絶対に踏みたくないし、私も気を付けよう……
読んでいただきありがとうございます(*^^*)




