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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode7 開かずの蔵と記憶編

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200/425

休息

凛緒視点です。

 洗面所にキッチンと、共に30分づつ探してみたけれど、指輪は出てこなかった。

 そう簡単に見つかるとは思っていなかったけど、もう2時間探していることになるので、流石に焦ってくる。


 ……お腹、空いてきたな……

 時計をみると15時だ……

 よくよく考えたら、お昼ご飯を食べていなかった。

 依頼を失敗した事で落ち込んで、食欲がなかったというのもあるけど。


「エリ、少し休憩して、食事にしましょう?」

「そうだね」

「申し訳ございませんが、少し抜けますね」

「はい。ありがとうございます」


 依頼人の女性に断りを入れてから、一度家を出させてもらった。


「エリ、ごめん……もっと早くにご飯の事も言うべきだったのに……」

「私の事は気にしなくていいんだよ」


 エリンさんは私に合わせてくれていたから、エリンさんだって何も食べていない。

 それなのに何も言わないで……


「エリは何が食べたい?」

「なんでもいいよー」

「じゃあ、コンビニとかでもいいかしら?」

「私はいいけど、凛緒ちゃんはそれでいいの?」

「えぇ。一度行ってみたいと思っていたの」


 皆が当たり前に出来る事が、私には出来ない。

 1人で生きていけるだけの生活力はある方だと思っていたけど、社会への適正能力はなかった。


 経験が足りていないから失敗するのならば、何事も経験あるのみだ。

 誰もが一度は行った事のあるコンビニにだって、まだ行った事がないし、こういう小さな事からでも初めてに挑戦していこうと思う。


「ここがコンビニだよー」

「コンビニおにぎりを食べてみたいわ」

「なら、こっち」


 エリンさんに案内してもらって、コンビニおにぎりの前まできた。

 結構色んな種類があるのね……どれにするか、迷ってしまうわ……


「細巻きタイプもあるし、サンドイッチとかもあるからね。レンジで温めると完成するスープとかも、結構クオリティが高くて美味しいよ」

「そうなのね」


 エリンさんはホテルに閉じ込められているような感じだから、コンビニには来たことがないかと思っていたけど、意外と詳しいみたいだ。


「これにするわ」

「うん。私は納豆の細巻きにする」

「エリ、納豆とか好きなのね」

「ふふっ、好きじゃないよ。日本に来て初めて食べた時、日本人って頭おかしいと思ったくらい」

「え、じゃあ、どうして?」

「あの人が、好きだから……かな? じゃあお会計してくるねー!」


 エリンさんは少し照れたように笑いながら、私の買おうとしていた梅とおかかのおにぎりも一緒に持って、レジへと行ってしまった。

 あの人っていうのはきっと、あの支配人の事なんだろうな……


 近くにあった外のベンチに座って、初めてのコンビニおにぎりを食べる……

 無理に三角形になっているし、もっとご飯も硬いものなんだろうと勝手に思っていたけれど、全然そんな事はなかった。

 やっぱり何事も経験だ。


「うぅ……やっぱり凄いにおい……ねばねば……」

「そう思うのなら、違うのにすればよかったじゃない」

「たくさん食べていれば、いつかは慣れるかなって……」

「支配人が納豆好きだからって、何も自分まで好きにならなくても」

「えっ! あ、うん……」


 照れてるエリンさん……

 普通に可愛いな。


「凛緒ちゃんにはいる? 相手が望んでいないと分かっていてでも、追いかけてしまいたくなるような人……」

「いないわね。だから、羨ましいわ」

「そう……」


 私を真っ直ぐに見つめながら、エリンさんはそうとだけ呟いていたけど、何を思っていたんだろう?


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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