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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode7 開かずの蔵と記憶編
199/424

失せ物

凛緒視点です。

 草むしりと買い物の依頼は失敗してしまった。

 その理由は、言い訳にはなってしまうけれど、私が草むしりも買い物もしたことがなかったからだと思う。

 初めての事なんて、出来るかどうかも分からないのに、簡単な事だと決めつけて、依頼を軽視してしまった。

 それが何よりの失敗だ。


 残されたチャンスは、紛失物の捜索依頼……

 結婚指輪との事だから、かなり小さくて探すのは困難だろう。

 でも、探し物をしたことがないわけではないから、この依頼に関してだけは経験者だとも言える。

 私なら絶対に見つけられる! なんていう、依頼を軽視した発言は出来ないけど、誠心誠意探させて行く所存だ!


 財前家ほどではないけど、かなり大きな和式の家。

 この広さを探すというのは、相当骨の折れる作業だと思う。


ピンポーン!


「はーい」

「スノーフレークから来ました」

「はい、はい。お待ちしてましたよ。よろしくお願いしますね」


 家の中に招いてくれたのは、30代くらいの優しそうな女性。

 この人が依頼主かしらね?


「こちらへどうぞ」

「「ありがとうございます」」


 案内された一室で、エリンさんと2人でお茶をもらう。

 これだけ大きな家なのに、お手伝いさんとかはいないみたいだ。


「では早速ですが、状況を詳しく教えていただけますか? まず、指輪がなくなった事に気付かれたのはいつです?」

「昨日です。昨日の夜頃……お風呂に入る時に気付きました」

「いつまではありましたか?」

「それが全く覚えていなくて……確実なのは、その前の日の夜ですね。お風呂に入る時にはいつも気にしますから」

「そうですか……」


 丸1日となると、いつ何処で失くしたのかを特定するのは難しいな……


「買い物とか、外へ出掛けられたりは?」

「していません」

「では、家の中をどのように行動したかとか、可能な限りで教えて下さい」

「起きたらまず、顔を洗いに洗面所へ行きます。その後にキッチンで朝食を作り、"子の間"で食べますね」

「子の間、ですか?」

「ここの隣の部屋です。この家は、部屋ごとに十二支の名前がつけられているんですよ」

「なるほど……」


 これだけ大きいと、部屋に名前をつけた方がいいのか……

 家もそれを見習った方がいいように思う。

 いつもどの部屋だなんだと騒いでいるんだから……


「お昼頃に未の間で体操をしましたし、辰の間と巳の間の掃除もしましたね。後は戌の間で書類整理を……」

「絶対に入っていない部屋はありますか?」

「う~ん? 部屋同士も繋がっていますし、通り道として利用しておりますので、絶対に入っていないとは言えません。あ、でも、寅の間はお義父様がよくいらっしゃるので、入っていませんよ」

「分かりました」


 大分ややこしい家だ……

 部屋だけでも面倒だというのに、庭まであるし……

 とはいえ、指輪がそう簡単に落ちる訳はないのだから、通り道として利用しただけの部屋にある可能性は低いわね……


「明後日には主人が出張から帰ってきてしまうんです。ですからそれまでに見つけたくて……」

「尽力致します」


 とりあえずは順番に探していった方がいいでしょう。

 洗面所やキッチンといった場所のほうが、外してうっかりそのままという可能性があるし……


「私は洗面所の方を探すわ。エリはキッチンをお願いね」

「うん、分かった。じゃあ30分経っても見つけられなかったら、場所を交代しようね」

「えぇ」


 一度探した場所でも、違う人が探せば見るところも違うし、案外見つかったりもするものだ。

 エリンさんもそれをよく分かっているんだろう。

 今までの失敗を取り返すためにも、絶対に指輪を見つけないと!

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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