買い物
凛緒視点です。
草むしりの依頼は散々に終わった。
依頼人様を何度も怒らせてしまい、何度も謝罪して、結局は報酬ももらわないというタダ働きになってしまった。
「お疲れ様でした。大変だったみたいですね」
「あの、申し訳ございません。私のせいで、その……」
「問題ありません。あとはこちらで対応しておきますので、次の仕事に向かって下さい」
「買い物リストは端末に送ってあります。先に購入してから、依頼人様のお家へ向かって下さいね」
「分かりました」
仕事を終えた事を、もらった端末で四ノ宮主任に連絡すると、特に怒られる事もなく、次の仕事へ向かうようにと言われた……
お客様へのフォローもして下さるみたいだけど、本当に申し訳ない……
もっと怒ってくれてもよかったのに……
「凛緒ちゃん。気を取り直して、次に行こう?」
「うん……」
エリンさんと近くのスーパーまでやってきた。
買い物リストの内容は、
ネギ、白菜、人参、椎茸、白滝、豆腐、卵、牛乳……
それとお菓子がいくつか……
ご飯は鍋か何かなのかしら……?
さっきの失敗を挽回するためにも、今度こそ! と、何度も買い忘れがないかを確認しながら買い物を終え、次の依頼人様の住所へとやってきた。
ピンポーン!
「はーい」
「スノーフレークから参りました」
「はいはーい」
出てきたのはお婆さんだ。
腰を痛めているようで、歩くのも大変そうだ……
だから買い物の代行をお願いしていたんだろう。
「こちら、ご依頼の品です」
「はーい。あら、どれどれ……」
お婆さんは、中身を確認してから、
「ちょっと、これはどういう事なのかしら?」
と、険しい顔で聞いてこられた。
買い忘れはなかったはずだけど……
「あの、何か問題が?」
「このお野菜、痛みが酷いじゃない! 他のはなかったの? それに、卵! こんな雑に入れて、割れていたらどうするの!」
「えっ……あ、その……」
「お豆腐も、水分が漏れるかもしれないでしょう! ちゃんと袋に入れ直しなさい! 袋だって全部を1つに纏めてしまって……あたしは腰が痛いのに……」
「申し訳ございません! お持ちします!」
「そこは、持つんじゃなくて、買い直すんじゃないの!? こんなのばっかり買ってきて置いて……」
「す、すぐに買い直して参りますので……」
「何置いて行こうとしてるんだい! ちゃんとこれも持っていきな!」
「はい!」
「早くしてちょうだいよ!」
畳み掛けるように散々怒られてしまった……
「……はぁ、私……ダメね……」
「凛緒ちゃん! 今は反省してる場合じゃないよ! 急がなきゃ!」
「そう……そうね!」
急いでスーパーへと戻り、野菜の目利き方法も調べつつ、厳選した野菜を買った。
卵も丁寧に入れてお豆腐にも袋を着けたし、袋自体も2つに分けた。
これで大丈夫だろうとまた持っていき、今度は遅いだなんだと散々に怒られてしまった……
私は買い物も上手く出来ないみたいだ。
ずっと使用人さんにやってもらって生活していたから……って、そんな言い訳が社会で通用する訳がない。
ずっと憧れていたスノーフレーク……
しかも、自分にならこなしていけると思っていた。
それが散々で……
私には向いていないようにさえ思えてきてしまった……
読んでいただきありがとうございます(*^^*)