表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode7 開かずの蔵と記憶編
197/424

買い物

凛緒視点です。

 草むしりの依頼は散々に終わった。

 依頼人様を何度も怒らせてしまい、何度も謝罪して、結局は報酬ももらわないというタダ働きになってしまった。


「お疲れ様でした。大変だったみたいですね」

「あの、申し訳ございません。私のせいで、その……」

「問題ありません。あとはこちらで対応しておきますので、次の仕事に向かって下さい」

「買い物リストは端末に送ってあります。先に購入してから、依頼人様のお家へ向かって下さいね」

「分かりました」


 仕事を終えた事を、もらった端末で四ノ宮主任に連絡すると、特に怒られる事もなく、次の仕事へ向かうようにと言われた……

 お客様へのフォローもして下さるみたいだけど、本当に申し訳ない……

 もっと怒ってくれてもよかったのに……


「凛緒ちゃん。気を取り直して、次に行こう?」

「うん……」


 エリンさんと近くのスーパーまでやってきた。

 買い物リストの内容は、


 ネギ、白菜、人参、椎茸、白滝、豆腐、卵、牛乳……

 それとお菓子がいくつか……

 ご飯は鍋か何かなのかしら……?


 さっきの失敗を挽回するためにも、今度こそ! と、何度も買い忘れがないかを確認しながら買い物を終え、次の依頼人様の住所へとやってきた。


ピンポーン!


「はーい」

「スノーフレークから参りました」

「はいはーい」


 出てきたのはお婆さんだ。

 腰を痛めているようで、歩くのも大変そうだ……

 だから買い物の代行をお願いしていたんだろう。


「こちら、ご依頼の品です」

「はーい。あら、どれどれ……」


 お婆さんは、中身を確認してから、


「ちょっと、これはどういう事なのかしら?」


と、険しい顔で聞いてこられた。

 買い忘れはなかったはずだけど……


「あの、何か問題が?」

「このお野菜、痛みが酷いじゃない! 他のはなかったの? それに、卵! こんな雑に入れて、割れていたらどうするの!」

「えっ……あ、その……」

「お豆腐も、水分が漏れるかもしれないでしょう! ちゃんと袋に入れ直しなさい! 袋だって全部を1つに纏めてしまって……あたしは腰が痛いのに……」

「申し訳ございません! お持ちします!」

「そこは、持つんじゃなくて、買い直すんじゃないの!? こんなのばっかり買ってきて置いて……」

「す、すぐに買い直して参りますので……」

「何置いて行こうとしてるんだい! ちゃんとこれも持っていきな!」

「はい!」

「早くしてちょうだいよ!」


 畳み掛けるように散々怒られてしまった……


「……はぁ、私……ダメね……」

「凛緒ちゃん! 今は反省してる場合じゃないよ! 急がなきゃ!」

「そう……そうね!」


 急いでスーパーへと戻り、野菜の目利き方法も調べつつ、厳選した野菜を買った。

 卵も丁寧に入れてお豆腐にも袋を着けたし、袋自体も2つに分けた。

 これで大丈夫だろうとまた持っていき、今度は遅いだなんだと散々に怒られてしまった……


 私は買い物も上手く出来ないみたいだ。

 ずっと使用人さんにやってもらって生活していたから……って、そんな言い訳が社会で通用する訳がない。


 ずっと憧れていたスノーフレーク……

 しかも、自分にならこなしていけると思っていた。

 それが散々で……

 私には向いていないようにさえ思えてきてしまった……

 

読んでいただきありがとうございます(*^^*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ