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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode7 開かずの蔵と記憶編
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監視

副社長視点です。

 ホテルを出て、財前家に向かって移動をしている。

 俺を尾行している奴は4人……俺から分かる範囲でだが。


「6人か……」

「まだまだだねー、7人だよ!」

「そうか」


 呟くようにいうと、バカにしたように笑いながらの乃々香の声が耳に響いた。

 無線はしっかりと届いているみたいだ。


「一応気づいてない奴もいるかと思って、サバを読んだ上での6人だったんだがな」

「じゃあ全然ダメじゃん。ちゃんと気をつけてないと危ないよ?」

「なら、こんな仕事を俺にさせるな。俺は強くないぞ」

「だから私がついてあげてるんじゃん! 安心して! 副社長の事は、そこそこに守るから!」

「そこそこってなんだよ」

「だって守る対象は、あのお嬢様でしょ?」

「ま、そうだが……俺も守れよ」

「気が向いたらね!」


 安心しろと言うわりには、そこそこだの気が向いたらだの……

 なんとも乃々香らしい。


 乃々香がどこから俺を見ているのかは分からんが、出来るだけ建物等々に囲まれていないような場所を進んでいく。

 何かあればどう行動すべきかという指示を乃々香が出してくるだろうし、俺がどういう行動をとるかも分かっていない今の段階で、あいつ等が俺に手を出してくるという可能性も低いだろう。

 だから特に気にする必要はない。


「にしても、外は眩しいな……」

「普段からちゃんと光を浴びないとダメだよー」

「お前だって浴びてないだろ。そんな遮光パーカー着てるんだから」

「私はまだ若いからいいんだよー! でも、副社長はもうね……」

「なんだよ?」

「若く見えないんだから……ふふっ、くくっ、あはははっ!」


 笑い過ぎだろ。

 さっきの依頼人との会話も、乃々香はずっと聞いてたからな。

 俺が若見えじゃないという話がツボったんだろう。


「お前ちゃんと記録してるんだろうな?」

「もちろんだよー! ちゃんと保存してるよ、副社長が奏海ちゃんを悪く言ったところとか……」

「お、おい……あれは演技だからな?」

「分かってるよー、ちゃんと、分かってるからね……」


 本当に分かってるのか?

 乃々香は奏海大好き人間だからな。

 さっきみたいなのを聞かれたら、何をされるか分からない。

 ちゃんと演技だと分かってればいいが……


 "カナミ、アイシテル"

 "カナミ、ダイスキダ"


 ……?

 急にカタコトのような俺の声が聞こえてきた。


「どう? 暇だったから、記録した副社長の声を編集して、作ってみたよ! まだ荒いけど、もう少しちゃんと編集したら、いい感じに告白のメッセージが作れると思うんだ!」

「……ったく、何やってんだよ」

「だって暇なんだもーん!」

「まぁ、勝手にやってろ」


 仮にいい感じのメッセージとやらが出来たとして、それを奏海が聞いても、俺には何の影響もない。

 強いていえば、空音に聞かれたら多少面倒というくらいの危害しか起きない。

 ずっと俺の見張りをしていて乃々香も暇なんだろうし、これくらいのイタズラは許容しておく。


 "カナミ、スキダ! オレト、ツキアッテ、クダッダダダイ"


「んー、面白くないな~」


 "アオイ、アイシテル!"


「おい、乃々香! それはやめろ!」

「あ、やっぱり? 面白いかと思ったんだけど……」

「そんなもんが葵に聞かれたら、俺だけじゃなくて、お前も危ないぞ!」

「そだね、やめとくー」


 葵は冗談が通じる相手じゃねぇ。

 ましてや俺の事を嫌ってる。

 そんなもんが聞かれたら、どうなるか……


「副社長、そこの角は右に曲がって」

「ん? おー」


 さっきまでふざけてはいても、すぐに冷静な判断に戻る。

 これが乃々香の凄いとこでもある……と思った矢先、


「おい、あんたスノーフレークの副社長なんだろ?」

「へへっ、ちょっと一緒に来てもらおうか?」


と、2人のがらの悪い男が絡んできた。

 まぁ、俺もがらは悪いが……


「悪いがついて行く理由がねぇな」

「そういわれてもなぁ、俺たちはあんたを連れていくだけで金がもらえる仕事をやってるんだ。来てもらう」

「いい仕事だな」


「おい、乃々香。どういうつもりだ?」

「暇だったからー。とりあえず、その2人は他の奴らとは別みたいだから、ここで捕まえておこうかなって」

「まぁいい、勝手にしろ」


 乃々香の暇潰しに付き合わされたって事か。

 まぁ、別にいいけどな……


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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