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スノーフレーク  作者: 猫人鳥
episode7 開かずの蔵と記憶編
179/424

年齢

凛緒視点です。

 フクと一緒に街中を歩き、スノーフレークで一番だというホテルの前まで来た。

 30分程歩かされる事になったし、歩いている間の会話は一切なし。

 私が話しかけても、"あぁ"とか"はーん"とか、気の抜けた返事ばかりだった。

 その上守らないといけないはずの私を置いて、どんどん先を歩いて行ってしまう始末。

 これで本当にボディーガードなのかしら?


「お待ちしておりました、財前凛緒様。私がこのホテルの支配人です」

「どうも……」


 先を行ってしまうフクを追いかけるようにホテルに入ると、いきなり挨拶をされた。

 しっかりとホテルの制服に身を包んだ若い男性だ。

 若いというか、まだ中学生くらいだとさえ思える……

 身長が低めで、150cmあるかないかくらいだから、余計にそう見えるのかもしれないけど……?

 それにしてもこんなに若い人がホテルの支配人だなんて……


「こちらが本日より財前様の担当をさせていただく、エリンです。ほら、ご挨拶を」

「本日より担当させていただきます。エリンと申します」


 支配人の男性のすぐ後ろに控えていた女性が私の担当になるらしい……

 外国の方のようだけど、日本語がとてもお上手だ。


「挨拶なんざ後でやってくれ。行くぞ」

「副社長は相変わらずですね」

「支配人もな」


 フクに対し、支配人は呆れたように笑っている。

 仲がいいという様子ではないけど、不思議と似た雰囲気があるように思う……

 ……ん? そういえば支配人、名乗ってないわね?

 ここはスノーフレークで一番のホテルだというのに、支配人が名乗らないなんて、失礼じゃないかしら?

 奏海さんがそんな教育をされるはずもないし……


 いや、でもフクがこれだから……


「財前様、ご案内致します」

「ありがとう」


 案内をしてくれるエリンに続いて、ホテル内を進んでいく。

 フクは面倒そうに後ろからついてきている。


「ねぇ、エリンさん?」

「はい。なんでございましょうか?」

「あの支配人の歳はいくつなの?」

「今年で38になります」

「えっ!?」

「彼、若く見えますでしょう? ちなみに私は37ですよ、うふふっ」


 まさかそんな歳だったなんて……

 あんなに若いのに支配人なのかと疑問に思ったけど、見た目が若いというだけで、それなりの歳だったみたいだ。

 それにエリンさんも37には到底見えない程に若い。


「こちらのお部屋をお使い下さい。何かございましたら、全て私にお申し付け下さいね」

「えぇ、ありがとう」

「今何かご要望はございますか?」

「特にはないわ」

「かしこまりました」


 エリンさんは丁寧に頭を下げて、部屋から出ていった。

 この広いスイートルームにフクと2人になった。


「フクは何歳なの?」

「そんな事を知って何の意味がある?」

「ちょっとした雑談じゃない。答えたくないのなら、答えなくてもいいわ」

「32だ」

「あら、ふふっ!」

「何がおかしい?」

「スノーフレークの人って、皆若見えなのかと思ったのだけれど、そうでもないのね」

「どうせ俺は年相応だろうよ」

「いいえ、もっと老けて見えるわ」

「……あぁそうかい」

「もしかして、怒ったのかしら?」

「別に……」

「私は24よ?」

「聞いてねぇよ」


 フクって、意外とからかいがいがあって面白いのね。

 そもそもこの仕事だって、若くないという理由でフクが選ばれたみたいだし、気にしているのかもしれないわね。

 スノーフレークはまだ高校生の奏海さんが立ち上げた会社だけあって、従業員も若い人が多いという噂もあるからね。


読んでいただきありがとうございます(*^^*)

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