交遊関係
陽日視点です。
乃々香ちゃんの交遊関係を知りたくて、縁日のスーパーボールを誰に渡したのかを聞いていると、どんどん新しい名前が出て来てしまった……
しかも、お兄ちゃんのライバルになりそうな人が多い……
「その、ふーじーと日下部君は、どういう人達なの?」
「ふーじーは奏海ちゃんの家の偉い人で、日下部君は奏海ちゃんの運転手だよ」
大体皆、奏海ちゃんって人が関係してるみたいだ。
乃々香ちゃんも大親友って言ってたし、その人がお金持ちなんだろうな……
いや、そんな事より……
「何で幼馴染みのいっ君には渡さなかったのに、ふーじーと日下部君には渡したの?」
「え? うーん、ふーじーにはいつもお世話になってるし、日下部君にはお土産買ってくるって言っちゃったからね!」
「……そうなんだ」
そんなに深い理由はないみたいでよかったけど……
「陽日ちゃん、そんなに私のまわりの人が気になるの?」
「えっ! あ、ごめんね! 詮索してるみたいになっちゃって……」
「ううん、大丈夫だよ」
「ただ、あのまー君さんが、スーパーボールを大切にしてたみたいだったから、気になっただけなの。乃々香ちゃんとどんな関係なのかなって……」
「幼馴染みだよ!」
「うん、それは分かった」
お兄ちゃんの気持ちを知ってる以上は、ライバルを把握しておきたかったけど、これは乃々香ちゃんに失礼だった。
乃々香ちゃんに詮索されて嫌だったという様子はないけど、無理に聞くのは良くないよね……
でも気になるんだよな……
「私のまわりの人は、奏海ちゃんの知り合いばかりだよ。そもそも私、奏海ちゃんがいなかったら、誰とも関わってないし……」
「そうなの?」
「そうだよ! だから、奏海ちゃんは私の世界を広げてくれた恩人なんだ!」
一瞬乃々香ちゃんからいつもな明るい感じが消えた気がしたけど、すぐに戻った。
気のせい……だったのかな?
「でもね、奏海ちゃんの世界を広げてあげたのは私だから! それが私の誇りだからね!」
「なんかよく分かんないけど、本当に大親友なんだね! その奏海ちゃんと」
「そうだよ! 大親友なの! あははっ」
本当に楽しそうだ。
この乃々香ちゃんがここまで言うくらいだし、金持ちだから私は好きになれそうにない人だと思ったけど、そうでもないかもしれないな……
「でも凄いね、その奏海さんって人。運転手までいるんだね!」
「前に日下部君が困ってた時に、助けた事があるだよ。それで日下部君は凄い感謝してくれちゃってね、これでもかってくらいに私達に尽くしてくれるの」
「いい人だね!」
「でも日下部君のお姉さんの私からすると、ちょっと心配かな」
「ん? お姉さんなの? あ、乃々香ちゃんて、名字日下部だった?」
「ううん、くりばやしー」
「くりばやし?」
「うん。栗林乃々香だよ」
「じゃあ日下部君は……あ、弟的存在って事だね!」
「うん!」
そういえば乃々香ちゃんって最初、私にお姉さんになってほしいとかいう、訳分かんないこと言ってたな。
日下部君との関係も、そういうことなんだろう。
幼馴染みさんには恋人がいたり、お兄さん的存在だったりしてるし、ふーじーや日下部君も特に恋愛対象ではないみたいだ。
もうこれ以上聞くのはやめて……あ、いや、もう1人聞いておかないと……
「そういえば乃々香ちゃん?」
「ん?」
「陸君を助けた事があるんだよね?」
「陸君? あぁ、沢田さん家の……」
「一緒に助けたっていう、マジックお兄ちゃんっていうのは……?」
「あぁ、くー君の事だね」
くー君……
確か奏海さんを好きだっていう人だ。
「そっか、よかった!」
「よかった?」
「うん! いっぱい聞いてごめんね! ゆっくりしていってね」
「うん。ありがとう!」
交遊関係はよく分からないけど、とりあえずお兄ちゃんのライバルは、いなさそうだ!
だったらあとはお兄ちゃんの努力次第。
私は乃々香ちゃんのお姉さんになりたいんじゃなくて、乃々香ちゃんにお姉さんになってもらいたい。
その為にも、お兄ちゃんには頑張ってもらわないといけないな。
読んでいただきありがとうございます(*^^*)